「お姉ちゃん？」



手に掛かった温もりに私はハッとする。




下を見ると、ルナちゃんが私の手を握って見上げていた。




「あ…ごめんね！お姉ちゃん、怖い顔してたね」



「ううん！」



首をふるルナちゃんの頭を撫でる。




「さ、できたぞ！」



いい香りがして運ばれてきた煮込みハンバーグにルナちゃんとマナちゃんが跳ねて喜ぶ。



「わぁ！美味しそう！」



見事なハンバーグに私のお腹がきゅるる〜と間抜けな音を出した。




「六花お姉ちゃん、お腹の虫さん鳴いたよ！」



「あ、ははは…恥ずかしい…」












「今日は本当にありがとう。ご馳走様」



「送ってく」



玄関で一緒に靴を履く三ツ谷君。




「え！いいよ！ルナちゃん達起きたら大変だし！」



「2人とも寝たらぜってぇ起きねぇから。それに、もうすぐかぁちゃんも帰って来るから」



置き手紙もした、と笑う三ツ谷君。




「…ありがとう。じゃあ、途中まで」



「おお」



私は三ツ谷君と並んで月が照らす夜道を歩く。




「今日はありがとな。2人と遊んでくれて。すっげぇ喜んでた」



「とんでもない！こちらこそ、癒しをありがとう…可愛すぎて連れて帰りたくなっちゃうよ」



そう言った私に三ツ谷君が笑う。




「…それに…心配かけてごめん。

気を使ってくれたんだよね…


マイキーの事で」



私が不安そうにしてしまったから…




「違ぇよ。本当に腹減ってたんだって」




そう言って三ツ谷君は夜空の月を見上げる。



「……私のせい」



「え？」



「マイキーが…あんな風に1人で考え込んだのは…私のせい。


…圭介君がいなくなって、私…1人悲しいって顔して…


マイキーの気持ちを考えてなかった。


本当は…誰よりもマイキーが1番…


心を痛めていたのに。」




私が…



支えるべきだったのに…




「私がもっとしっかりしていたら…

不安でたまらないの…

マイキーが…消えちゃいそうで…」



「六花…」



「どこかに行っちゃいそうで…怖い」



私は自分の腕を掴んで立ち止まる。



「…大丈夫だ。マイキーはどこにもいかねぇよ。お前を追いて…どっかに消えたりなんてしねぇよ。

あいつにとっての六花は…生きる意味でもある。


お前がいなきゃ…マイキーはもう立ち上がれなかったかもしれねぇ。


今はまだ……場地の事、ひきずってるかもしれねぇ。


それは俺も同じだ。

でも…マイキーはまた前を向いて歩いていける。

六花がいるからだ。」



「三ツ谷君…」



「場地が言ってただろ。変わらず、マイキーの傍にいてやれって。


お前はお前のままでいい…


六花が傍に変わらずいれば


お前の想いがあいつを守ってくれる。」




私の……想い……