彼の妹…


そう聞いて、一気に体の力が抜けた気がした。


「じゃ、じゃあ…あの、」


コツンと靴音がして、マイキーがこちらに一歩近づいた。



「あ………」



マイキーはそのまま私の肩を掴んで引き寄せると、漆黒の瞳が近づく。



そのまま…



私達は口付けを交わした。




触れるだけの、優しいキス…



瞳を見開いた私にマイキーはニッと少し子供っぽく笑った。



「六花の知りたかった答えに、なっただろ？」


そう言われてカァっと顔が熱くなった。


「なっ、なっ、なっ…」


完全に


マイキーにはバレていたのか



私の気持ち。



いや



私も分かっていたのだ。



認めないようなフリをしていただけ。




自分の



マイキーに対する気持ち。




東京卍會は極悪組織だ。



だからそのトップを好きになんてなるはずがない。

なっちゃいけない。


どこかでそう思っていた。


でも彼は



マイキーは



私の前ではそんな酷い人じゃなくて


冷酷でもない。


ちゃんと暖かい心も持っていて



優しい。




「ゆでだこみたいになってるな」


至近距離から見つめる彼の瞳。


最初は怖いとすら感じていたのに


今は


その瞳に胸が鳴る。



「…マイキー私…」



彼の腕を戸惑いがちに掴む。



「あなたを、好きになった」



そう伝えた私に肩にあったマイキーの手が私の頬に添えられた。


そして彼は笑った。



「知ってる」



そう言って。



私達は見つめ合って



どちらからともなく口付けた。