警察のサイレンが近づいてきて、マイキーは私の手を引いて走る。



「はぁ、はぁ……」



「一旦散らばるか！マイキー」


「ああ」


「じゃあ俺はあっちに」



「はぁ…」




なんだか……クラクラする…



何だろう…



息が上がってくるしい……



前を走る皆の背中がぼやけて見える。




「六花、もう少しだ……六花？」



「どうした、マイキー！」





だめだ………



気が……




遠く……なる…



足が宙に浮く感覚になり私の視界が反転した。



「！！六花！！」



マイキーの声が聞こえて…



プツリと私の記憶が途切れた。








2005年10月31日…


東京卍會150人対バルハラ300人…


東卍の勝利に終わったこの抗争は死者1名、逮捕者1名を出すこととなった。



そしてこの抗争が…



後に…




血のハロウィンと呼ばれる事となる。








「……ん…」



ゆっくり瞳を開くと…眩しい光に目がくらむ。



真っ白のカーテンと天井…



ここ、は……



腕を動かすと、どうやら点滴に繋がれているようだ。



病院…？



「六花！！」



シャ！とカーテンが開いて顔を出した人物に私は少し驚いた。



「…あれ…エ、マ？」



「六花！あぁ！よかった！目が覚めた！？」



エマは安心したように肩を撫で下ろす。




「えっと……あ…私…倒れた？」



そうだ……



マイキー達と逃げてて…意識無くなったんだ…




「軽い脳震盪みたい。…顔の腫れは…ちょっとかかるって…」


「そっか……あの…マイキーは…」



「ああ、呼んでくるね！皆待ってるから」



エマが病室を出て、私はゆっくり上半身を起き上がらせる。



「いっ、たたた…」



頬もだが、全身が痛い…