「俺一人でなんとかしたかった。

でも…まぁ…無理そうだ。…うっ…


俺は………自分で死んだ。


マイキーが……一虎を殺す理由はねぇ。」



そう言うと、圭介君はたけみっちを見る。



「…たけみち…お前は…どこか真一郎君に似てる…」



「っ……」



たけみっちの瞳から涙が溢れ出す。



「マイキーを、東卍を……お前に託す！」



「うっ…ぅっ…ダメだよ、場地君！そんな事……っ言わないで！」



まるで……最後の言葉のようだ…



「千冬…」


「はい」


「…ペヤング…食いてぇな」


「っ…買って…来ますよ」



そう言った千冬君に、圭介君は笑う。



「半分こ……な」



震える千冬君の肩、そして頬をとめどなく流れる涙……



「ありがとな…千冬」


「場地さん……っ…」


千冬君にそう言うと、圭介君は支えていた私を見た。


「……千冬、たけみち…悪ぃな…はぁ…六花と…少し……はぁ…2人で話させて、くれ…」



え…



圭介君の言葉に千冬君とたけみっちは涙で濡れた顔を見合わせると静かに立ち上がって私達から少し離れた…



「六花…」


「…圭介、君…大丈夫…もうすぐ救急車がくる……だから…大丈夫だから…」


言葉ではそう言っているのに…涙が止まらない。


ポタポタ落ちる私の涙に圭介君が片手を伸ばすとそっ、と頬に触れる。


大きくて、暖かい手だ…



「巻き込んじまって……悪ぃな…」



そう言った圭介君に私はフルフルと首を横にふる。


「はぁ…一虎が…稀咲が…もしかしたら…お前に何かしようとするかもしれない…

分かってたのに…守ってやれ、なかった…」



「……違う…圭介君のせいなんかじゃない…私が…言われた事を守れなかった…

だから…っ…」


圭介君が刺されてしまった……


私がもっと気をつけていれば…周りを見ていれば…


「ごめん、ねっ…圭介君…っ」



頬にある彼の手を握りしめる。


「…違う…これは……俺がしたくてした事、だ……誰も悪くねぇ…


だから……泣くな…


六花は……笑ってる方が似合ってんだよ。」


「！」


そう言って笑った圭介君…




「…六花…約束…してくれ…よ。

俺が…いなくなっても……ぜってぇ…泣くな。」


「っなんで、そんな最後みたいな事言うの！そんな言葉、っ聞きたくない！」



首を横に振る私に頬にあった圭介君の手が頭の後ろに添えられた。




「……最後ぐれぇ……許されっかな」



「え…」




ポツリとはいた小さな声と共に…ぐっ…と圭介君の方へ顔を引き寄せられた…




あ………




触れ合った唇に……私は瞳を開く。





「……ずっと……好き、だったぜ。六花…」



「！！！」




そう言って笑った圭介君…




「な……んで……っなんでっ……っ今、言うのっ……！」



涙が止まらない。



なんで……っ…



「……約束…忘れんなよ…どんな事があっても……
六花は…六花のままでいろ。

変わらず……マイキーの傍に…いてやってくれよ……」



「圭介君も一緒だよっ！！これからも…っずっと！！一緒にっ……っいたい…よっ」


ぎゅっ、と圭介君に抱きついて、神様に願った。



お願い神様……


圭介君を助けてっ……



でも………



圭介君は私の髪を撫でた。





「…六花の笑顔は……太陽だ」



「！！…圭介…君？」



バサッ…と地に落ちた圭介君の手…


閉じられた…瞳…



「…圭介、君？……圭介君！！圭介君！！！
嫌だ……嫌だ…っ！！！！逝かないで！！！
逝っちゃだめっ！！！圭介君！！！」



「場地さん！！！！」



「場地君！！！」



「救急車……っ！救急車！！！！誰かっ……っ誰か！！！っ圭介君を…っ助けてっ！！！」



「ぅ…っ…六花ちゃ、ん…」



泣き崩れた私をたけみっちが支える。



なんでっ……なんでなんでなんでっ……！！




「圭介君っ！！！！！！！」