一虎は…何をするかわからねぇ。


六花には手を出すなとは伝えたが…



あいつのマイキーに対する憎しみは異常さを感じる。




六花を傷つければマイキーを弱らせられると…


実際そうだ。


六花はマイキーにとってなくてはならねぇ存在だ。

と同時に……弱点でもある。




自分の腕の中で戸惑う六花…



こいつを守ってやりたい。



でも



今の俺にはそれは無理だ。



だから…



マイキーの傍にいろと、それしか言えないのだ。



できるなら抗争が終わるまで家から1歩も出るなと言いたい。




このまま……六花を奪い去ったら…




一緒にきてくれるだろうか。




……いや…



答えはNoだ。



そんなの決まってる。




マイキーが六花を1番に大事に想うように





六花にとってのマイキーも…





『マイキーは、私のヒーローなんだ』





1番大事な、掛け替えのない存在。





俺の想いは……




封印しなくちゃなんねぇんだ。




だから…




細くて小さな体を、ぎゅっ、と抱き締めた。














ど…………どうしたら………




圭介君に急に抱き締められた。



でも、彼は何も言わない。



私も…



どうしたらいいのか分からなくて…というか軽くパニック状態で……



何も言えない。




そして急に込み上げる恥ずかしさ…




「……け、圭介君……あ、あの…」




「悪い」




「あ」




圭介君は私を離すとすぐに背を向けてバイクに跨る。




「……じゃあな」



「っ…」




私が呼び止める暇もなく、圭介君はエンジン音を鳴らすと行ってしまった……




今のは一体…何？



「六花！」



圭介君が去った方向を見つめていると背後からかかった声にびくっとした。



「あ…三ツ谷君、けんちゃん…」



階段を降りて来たのはけんちゃんと三ツ谷君。


「…場地は？」


三ツ谷君の問いに私は首を横に振る。
それに三ツ谷君はため息をついた。

「場地のやろぅ…何考えてんだ」



「…まぁあいつはああいう奴だ」