「うわ〜凄い人だね」


初めて来たお祭りは、凄い人だかりでしかも慣れない浴衣なので油断したら肩がぶつかってしまいそうだ。


人酔いしそう…



エマとヒナちゃんの後ろを離れないように歩いていると、ふと見知った顔が遠目に見えた。


あれ？あれって……


ぺーやん君？



人混みに紛れたその姿に私は歩みを止めた。



なんで特攻服着てるんだろう…



ぺーやん君は人混みを抜けると、神社の裏手側に歩いて行った。



「………」


「六花！早くー」


「あ、う、うん！」



エマに呼ばれて私は小走りでそちらに向かう。



ぺーやん君…どうしたんだろ…



「お待たせー」


エマが手を振った先にけんちゃんとたけみっちがいた。



「あれ？マイキーは？」


「マイキー君、一緒じゃないの？」


「六花の浴衣一番に見るーって意気込んでたんだけど着替えのとこまで来ようとするから先に行っとくように追い出したんだよね」



「ま、マイキー君らしいというか、なんというか…」



「でも、いないね。先に夜店行ったのかなぁ？」


「電話もでねぇな」


けんちゃんが携帯を見ながら言う。



「もしかしてすれ違った？」


「あ、じゃあ私一回戻ってみるよ」


連絡がとれないならしょうがないし。



「え！一緒に回って待ってようよ！」



「で、でも…」



４人を見つめる。



カップルのお邪魔はできないよなぁ…


それに


やっぱり



「ううん、やっぱりマイキー探しに行くよ。初めてのお祭りは…マイキーと行きたい」











「やっぱり出ないなぁ」



呼び出し音がなるだけで…マイキーは電話にでない。


皆と別れてマイキーの家の方向に戻っていた。




「……あれ？」




ふと近くの広場から出て来た人物に私は立ち止まる。



「圭介君？」



「！」



声を掛けると圭介君は驚いたように瞳を開いた。



「六花…お前なんで」


「あ…私はマイキーの家に行く途中で。…圭介君は…」


ちらっと圭介君が出て来たのは廃材置き場になってる広場だ。



「……ちょっとな。マイキー探してんならこの奥にいるぞ。…その様子だと祭りに行くんだろ」



え？マイキーがなんでこんな場所に…




「俺にあったってマイキーには言うなよ」


「え？」



なんで？



「似合ってんじゃん。浴衣。…豚にも衣装、だな」



「……ま、孫にも衣装、ね」


豚に真珠と混ざってる？？