「けんちんは…パーをみすてんのか」


「！そうじゃねぇだろ！」


「じゃあ、なんであの時あいつをおいていった！」


「っ…何度も何度も同じ事繰り返してんじゃねぇぞ！マイキー！」



「二人ともやめて！！」



私は声を上げた。



「今、二人が言い争ったって、起こった事実を変える事はできない！
とにかく今は長内の安否と、倒れたたけみっちの心配でしょ！」



そう言った私に二人は黙るが睨み合ったまま…



「とにかく、私もエマが心配だから今から病院に行く。一緒に行こうよ」



「…いかねぇ。」



「！マイキー！」



「俺もだ」



「けんちゃん！」



「けんちん…俺はぜってぇ意見はまげねぇ。」



「いってろ…もうお前とは無理だ」


「なっ！」



二人は背を向けると、別々の方向に歩いて行く。



「マイキー！けんちゃん！」



どうしよう……



本当にたけみっちが言った通り…内部抗争が始まってしまった…









「待って！マイキー！」



先を歩くマイキーに追いつくと、私はその腕を掴んだ。



「こんなのダメだよ！ちゃんとけんちゃんと話し合わなきゃ！」


「…………」


「このままじゃ、東卍が、」


「六花…」



マイキーが私の言葉を遮る。



「六花は…どう思う？」


「え？」


「けんちんと俺…どっちの意見が正しいと思う？」


「………」



マイキーの瞳が私を見下ろす。


その瞳はどこか冷たい…


でも


私は怯まない。



「…私は、けんちゃんの意見が正しいと思う」


「……」



「ぱー君の事が大切なマイキーの気持ちもわかる。でも…ぱー君がした事は立派な犯罪で…

罪を償うべき事だと思う。自ら自首したのなら…ぱー君の意思を、尊重すべきだと思う」



長内がした事も…決して許される事ではないし、罪を償わせるべきだ。

でも


どんな人間でも…人を刺して逃げるのは違う。



私の言葉に、マイキーはぐっ、と手を握りしめる。



「…けんちんの肩もつって、わけだな」



「！な、なんでそういう事になるの？」



「帰る」


「待ってよマイキー！ちゃんと話を、」



「聞きたくねぇよ」



「っ！」



黒くて…冷たい漆黒の瞳……



こっちにきてから…こんな瞳でマイキーに見られたのは初めてだった。



私は掴んでいたマイキーの手を離す。




マイキーはバブに乗ると、私を振り返る事なく……いってしまった……





マイキー……