「有り得ない！！本当有り得ない！」



「有り得ないのはエマだから！」



別に私とエマは喧嘩してるわけじゃない。



頭を抱えてキレてるエマと…頭を抱えて呆れてる私。




「何やってんだ？あいつら」



集会場に響く2人の声にドラケンとマイキーが首を傾げた。



「マイキー、そういやタケミッち呼んどいたぞ、言われた通り」



「ん〜そっか〜」



自分で武道を集会に呼べと言ったマイキーだが、特に興味なさげ。



で、一方の六花とエマ…





「……なんで、そういう思考になるの」



「うっ……」



少し怒ったように眉を寄せた私にエマが気まずげに視線を逸らすと、プ…と拗ねたように頬を膨らます。



「なんで！見ず知らずの人ナンパしてやっちゃおうなん「声が大きいよ！！」



わぁー！と手を上げたエマが私の口を塞ぐ。



「けんちゃんに聞こえちゃう！」



「聞かれたくないことをしようとしたのはエマでしょ…」



「うぅ〜六花そんな怖い顔で怒んないでよ〜反省してるったら〜」


半べそになるエマに、私ははぁ…とため息をついた。


エマは何を考えたのか…


けんちゃんにもっと気にしてほしくてナンパした見ず知らずの人とカラオケで…致そうとしたらしい。

でも相手が迫ったらびびって急に逃げたというのだ……

なぜそんな思考になったのか謎すぎる。



「エマ…その相手が逃げたからよかったものの、すっごく危ない目にあってたかもしれないんだよ？…もっと自分を大事にしてよ」



「……ごめん。…だって…けんちゃんの気持ちに…自信がもてないんだもん」



シュンとしたエマに私は横に座るとコテンと頭をあてる。



「大丈夫！けんちゃんはエマ一筋だし、エマの事が大切だっていうのは見ててわかる！
だから…けんちゃんを信じようよ。

お姉ちゃんが保証してあげる！！」


「六花〜惚れる〜」


「惚れるのはやめて」



え〜ん、と私に抱きつくエマの背をよしよし、と撫でる。



「なにやってんの？」



「ん？妹の成長を見守る姉…」



えへ、と笑った私にマイキーはなんだそりゃ、と眉を寄せた。