キヨマサ君の指示で近くにいた男の子がバットを持ってくる。


嘘……



キヨマサ君はバットを振りかざすと、容赦なく武道君を殴る。


武道君は抵抗する暇もなく丸まっていて…



このままじゃ…武道君が死んでしまう！




「やべぇよ！キヨマサ！死んじまう！」



周りもさすがにまずいと思ったのかキヨマサ君を止めに入る。



た、武道君！



キヨマサ君の攻撃は止んだが、武道君が動かない…

気を失っているようだった。


武道君を助けなきゃ！

でも、今私が出て行って何ができる？



ふと思い浮かんだのはマイキーの顔。



マイキーに連絡したらきっと来てはくれるだろう。


でも…


黙っていてくれた三ツ谷君やぱー君に迷惑がかかってしまうのが分かっていた。


だめだ…マイキーを頼る訳にはいかない。


自分できたんだから、私がなんとかしなきゃ。



「おら！起きろ！花垣！」


「うっ…」


キヨマサ君が武道君を蹴ると、武道君が意識を取り戻した。



「次テメーの口から佐野くんの名前出てきたら…分かってんな？


殺すぞ」



キヨマサ君の威圧感に武道君がゴクリと喉を鳴らす。



「おい、テメェら、花垣がまた調子乗らないようにしめとけよ」


「え！まだやんのかよ…」



え…嘘でしょ…



キヨマサ君がいなくなって、他の人が武道君を囲む。



後ずさる武道君…



私はグッと手をにぎりしめる。




そしてすーっと息を吸い込んで…





「おまわりさーーん！こっちですー！！喧嘩ですーーー！」



ありったけの力を込めて、そう叫んだ。



ドラマとかでよくみる、あれだ。




「げほ…」



久々にこんな大声出した。




「やべぇ！サツだ！逃げるぞ！」



ちらばっていくメンバー達。


う、うまくいったみたい…


ちらっと武道君を見ると武道君も同じように逃げていってしまった。



あ……しまった…



武道君と話すつもりが…




あんなに殴られて…大丈夫かなぁ…




それに…




『オレ、トップの佐野って人か稀咲って人に会いたいんスけど…』




あの言葉の意味…





武道君…




あなた




何者なの？