「たしか……ぺーやん君が教えてくれたのはこの辺り……」



教えてもらった場所まで割と距離があって…広場についた時にはもう夕日がでていた。


早く探さないと……



「次はもうちょい頑張れよ。今日はマジしらけたわ」


丁度階段がある場所に差し掛かった時、声がして立ち止まる。


あ……



そこには数人の男と……



た、武道君！？



蹲っている武道君の姿だった。




「うっ…」



「帰ろうぜ、ラーメン食ってかえろーぜ」


あ、こっち来る！


私は慌てて草陰にしゃがんで隠れた。


あのタバコ吸ってる傷のある人…

多分あれがキヨマサって人かな。


あの中じゃ、1番貫禄があるし…



「あ、あの！」


去っていこうとするキヨマサ君達を呼び止める武道君。

相当殴られたのか…体がボロボロだ。


「なんだよ、しぶてえな、まだ起きてたの？」


「えっと…キヨマサ君たちって東京卍會っスよね？」


武道君の問いに階段を上がってたキヨマサ君が足を止める。



「オレ、トップの佐野って人か稀咲って人に会いたいんスけど…」



え………？




武道君の言葉に、ドクンッと胸が鳴った。



今……なんて言った？



稀、咲……？





『じゃあな、弁護士、先生…』






「っ…！」



背中がぞわりとして体を抱きしめる。




なぜ？



なんで……



なんで武道君……稀咲の名前を出したの？




だって……




稀咲はまだ…東卍とは関わっていない。




それに彼はなんて言った？



トップの…って言ったよね？


東卍のトップはマイキー。そしてナンバー2は…けんちゃんだ。


稀咲がトップ2なのは……




12年後の世界の話……




一体どういう事なのか…私は頭が混乱していた。




「……バット持ってこい」



「！」



キヨマサ君の言葉に私は瞳を開く。



マイキーに会いたいと言った武道君にキヨマサ君の表情が一変する。


完全にキレている顔だ。