ぼーっと考えていた思考が明るい声でハッと現実に戻される。



「やっぱエマだー」



「げっ…」



突然現れたショートヘアの金髪女子にエマが明らかに嫌そうな顔。

エマと同じ制服を着てるから、同じ中学の子かな？


濃いメイクに長い爪、デコデコのネイル、複数ついた耳のピアス…いかにもギャル！といった女の子だ。



女の子は嫌そうな顔をするエマを無視して許可なく隣に座る。



「偶然〜！何？お茶してたの？」


「…みりゃ分かるでしょ」


「え〜ウチも混ぜてよ〜…って、誰？」


やっと女の子は私の存在に気づいたようで…


つけまつ毛ばっちりの瞳で私を見た。



「A中の制服じゃん。え？あのめっちゃ頭いい中学じゃん…なんでエマといんの？

何？カツアゲ？」



「違うわよっ！六花はウチの幼馴染！友達！親友！」



そう言ったエマに私はちょっと嬉しくなる。


親友って言ってもらえた。



「A中の子と！？エマが？…嘘だ〜」



ケラケラ笑う女の子にエマがだんだんイライラしてきているのが分かる。


こ、これは止めた方がいいのだろうか…


「ってかもういい！？ウチら女子会中だから！」



「いや〜エマに聞きたい事あってさ〜最近、マイキーどうしてる？」



とりあえず見守ってみようとアイスティーに手を伸ばしたが、まさかのマイキーの名前にピタリと止まる。



「え！？マ、マイキー？…ど、どうって…ふ、普通だけど！」


チラッとエマが私を気まづげに見る。



「ウチがメールしても全然返ってこないんだけど！電話も着拒されたし！」


「が、学校一緒なんだし自分で確認しなよ」



「マイキー給食の時しか起きてないじゃん！それにうちが顔出したらめっちゃ不機嫌丸出し！」


「そりゃそうだろうね…」



「それ以上近づこうものならけんちゃんが殴りかかってきそうな勢いだしさ」



「けんちゃんって気安く呼ばないでよ！」



「え？何？あんた達まだくっついてないの？だっさ！」


「うるさいなぁ！ほっといてよ！」



「はぁ…マイキーに会いたいなーウチ、もっかいマイキーとやり直したいんだよね」



「ちょっ！何言って！」



エマが信じらんないとばかりの顔。



「…………」



成程。




二人の会話をしばらく見守っていたが、ようやく意味が分かった…


エマのこの微妙に気まづそうな顔を見る限りと、この女の子の発言…


彼女はマイキーの元カノ、ってやつなわけね。