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「初めまして、私ティアと申します。王女様、どうぞよろしくお願い申し上げます。」
テオドールの授業が終わると、ティアが声をかけてきた。
『王女様だなんて、堅いわね。リリアでいいわよ』
「いえ、滅相もございません。それではリリア様とお呼びしてもよろしいでしょうか?」
「う〜ん……。まぁ、暫くはそれでいいわ。よろしくね、ティア」
そう微笑めば、ティアは私の横にいるカイトに目を向ける。
「これは失礼致しました!カイト様!挨拶が遅れてしまいました」
「いや、大丈夫だ。気にしないでいい。もっと気楽に接してくれ」
そう優しく微笑むカイトに、ティアは頬を染めた。
(はぁ。カイトったらまたそうやって、女の子をたぶらかして……)
どんなときでも優しいカイトは、知らず知らずのうちに女の子を魅了している。だが本人に全く自覚はない。
そんなティアを見つめ、カイトは言った。
「綺麗な瞳だな。まるで瞳の中で薔薇が咲いてるみたいだ」
カイトがそう言って微笑めば、ティアは驚いた顔をして涙を流した。
『……え!?カイト!何泣かせてるのよ』
「え?俺は褒めたつもりだったんだけど……」
『これだから天然たらしは……』
「リリア様、違うのです。あまりにも嬉しくて……。泣いてしまいすみません。」
そう涙を溢しながら微笑む姿は、同じ女性から見てもとても美しかった。
暫くしてカイトが先生に呼ばれ、ティアと2人きりになった。
『ティアは、カイトみたいな人がタイプなの?』
「え?」
突然のセリフに驚くティアは、言葉の意味を理解し、恥ずかしそうに視線を外した。
『ふふふ、大丈夫よ。私、口は固いから』
そう微笑めば、ティアもこちらを向き柔らかく微笑んだ。
「それでは、内密にお願いします」
『それにしてもカイトったら、こんなに可愛いティアに想われてるだなんて……。カイトにはもったいないわね』
「いえ、滅相もございません!私なんてカイト様の足元にも到底及びませんわ」
胸の前で手を振りながら必死に否定するティアに、リリアは優しく微笑む。
『そんなことないわよ。ティアはすごく可愛らしいし、それにカイトだってあんな王子様みたいに見えて、意外と残念なところもあるのよ?』
「そうなのですか?」
『ええ!』
「例えば、どんなところが……?」
『え?う〜ん……、そうね……。例えば普段は私達、専属のメイド達が朝の支度などを手伝ってくれるのだけど、週に1回だけメイド達がお休みの時があるの。その時は自分で支度をするんだけどね、カイトったら2回に1回は左右で違う靴下を履いてくるのよ?』
「……なんと!そんなお茶目なところがあるのですね」
『それに、カイトは野菜が苦手で食べれないの。特に人参。あと緑色のものは全部だめ。いつもこっそり残しては料理長に文句を言われてるんだから』
「ふふふ、可愛らしいですね」
『そう?それに、普段はすごい優しいんだけど、眠くなるとすっごいわがままになるのよ?』
クスッと笑いながら、ティアの方を向いたリリア。その瞬間、頭の上にどしっと重みを感じた。
「へぇ〜。リリアは何の話をしていたんだ?」
重みの正体は、カイト。座っていたリリアの頭の上に、両手を置き、その上に自分の顔を乗せて体重をかけている。
リリアの後ろ側で目を細め、じとーっとした瞳を向けているカイトを見て、ティアはクスッと微笑んだ。
『何の話って……、カイトはお茶目でかっこいい王子なのよって話よ?ね、ティア?』
「ええ、もちろんです!」
そう満天の笑顔を向けるティアに、カイトは驚いた。
「いつのまにかだいぶ仲良くなったようだな」
『もちろんよ。あ、もしかして、カイト嫉妬してるの?』
「はぁ……。そんなことはいいから早く次の授業に行くぞ」
『え?』
「次の授業は化学室だろ?」
『あれ?そうだっけ?』
「あ、そうでした!」
『バロンとリアムはもう行っちゃったの?』
「あぁ、あの2人ならもう向かったはずだ」
『も〜、酷〜い!一言声くらいかけてってくれればいいのに』
そう言い、頰を膨らませるリリア。カイトはそんなリリアのほっぺたを両手で挟み、頰の空気を抜いた。その様子を見て
「お二人はまるでカップルのようですね」
とティアは少し寂しそうな顔をした。
『え?私とカイトが?』
「そうか?」
不思議そうな顔をする2人は、さすが双子と言った具合に同時にコテンと首を傾げた。そんな息ぴったりの2人に、ティアはクスクスと笑った。
「あ、そろそろ行かなくては本当に遅れてしまいますわ」
「そうだな。行こう」
そう言うとカイトとティアは、廊下の方に向かった。なかなか来ないリリアを眺め、訝しげな顔をするカイトは、リリアに向かい声をかける。
「リリアは行かないのか?」
『え?あ、私テオドールのところに行ってから向かうから先に行ってきて』
リリアは2人を眺め、ふふふと含み笑いをした。
そんなリリアに眉を寄せるカイトだが、ティアに早く行きましょうと手を引かれ、渋々化学室へと向かっていった。