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「カイト、僕リリアのこと好きになっちゃったみたい」
そう告げられたのは、カイトとリリアが8歳になる誕生日パーティーでの事。
「え?リリィのことが好きって、恋愛として好きってことか?」
「うん。僕、なんか最近おかしいんだ。リリアを見てると、胸がドキドキするって言うか……」
親友からの突然のセリフに驚き、戸惑うカイト。
バロンのことはもちろん大切で、恋だって応援したい。だが、その相手が自分の妹となると、少し複雑な気持ちだ。
「……そうか。なんとなく、そうなのかなとは思ったけど」
「え! そうなの!? もしかして、リリアにもバレてる!?」
「うーん…、それはどうだろうな」
(でも、きっとリリアもバロンのことが……)
そうは思ったものの、余計なことを言って拗らせるのは嫌なので、黙っておく。
するとそこにタイミング良く現れたリリア。
『あ、バロン!たくさん食べてる?』
「うん! 食べてるよ!」
『そっか。あのね、実はあっちに私が作ったアップルパイもあるから、食べてね』
「え! ほんと!? すぐ取ってくる」
そう言って、本当にすぐに取りに行くバロンに、2人は笑いをこぼした。
「バロンは本当面白いな」
『うん。本当にね』
そう言ってバロンを見つめるリリアの瞳は、とてもキラキラしていた。
「リリアはバロンのこと好きなのか?」
『え!? あ、えーっと……好きかも』
照れて頬を染めるリリアは、まだ幼い少女ながらにとても美しかった。
(これバロンが聞いたらすごい喜ぶだろうな……)
と思いつつ、カイトは自然の成り行きを見守ることにした。
そしてカイトとリリアがバロンと出会ってから、あっという間に1年が過ぎ去った。
バロンの家に遊びにきた2人は、バロンの家で古い童話の本を見つけた。それはとても童話の絵本とは思えないような、しっかりとした造りの本だった。
リリアは何故か自然とその本に手が伸びた。
『……天に帰りし、天使ミラ?』
「あぁ、リリアはこの童話知らない?」
『うん。カイトも知らないよね?』
「ああ。聞いたこともないな」
「そうなんだ。僕も何回かしか読んだことはないんだけどね。あ、でもそう言えば父さんが、代々伝わる大切な本だって言ってたような……」
『へぇ、どんな本なの?』
「え?」
「覚えてないの?」
「うん。僕あんまり、本とか読まないから」
『へぇ、本って面白いのに』
そう言ういうと、リリアは絵本を開き読み始めた。
『あるところに、ミラという天使がいた。
ミラは美しい天使で、いつも天の上から地上を見守っていた。
ある時ミラは、神の司令で地上に降りた。
そして、そこで王子と運命の恋をした。
だが、それは長くは続かなかった。
司令を終えて天に帰ることになったのだ。
ミラは泣く泣く天に戻って行った。
天に帰ると、ミラはいつも地上を眺めていた。
どうしても愛する人を忘れることができなかった。
ミラは神との約束を破り、地上に降りることにした。
愛する彼に伝えたかった。
"愛している"と。
だがミラが地上に降り立つ前に
神はミラの羽をもぎ取った。
ミラは地上に降りることはできたが
羽を取られたせいで致命傷をおった。
王子は姿の変わり果てたミラを見て嘆き悲しんだ。
そして、国中の者に助けを求めた。
すると1人の聖女が現れた。
聖女はあっという間に天使の傷を治した。
王子は言った。
"ミラを救ってくれたお礼として
なんでも願いを叶えてやろう"
聖女は言った。
ミラを天に返してください。
その言葉には王子も驚いた。
聖女は天使が………』
急に黙り込むリリアに、黙って聞いていたカイトとバロンは不思議そうにリリアの方を見つめた。
「どうしたの?」
『これ……』
と指差す先は、クレヨンでぐちゃぐちゃに落書きをされ、読むことができなくなっていた。
「わ!酷い落書き」
そう驚くバロンにカイトは言う。
「バロンが描いたんじゃないの?」
「え?僕が描いたのかな?」
「そう。これはバロンがまだまだ小さな時に、落書きをしてしまったんだ」
「え?父さん!」
『アルマンド様!』
いつのまにか入ってきたアルマンドに驚く3人。
「そんなに驚かなくても……、それにしてもその本どこで見つけたんだ?ずっと見当たらなくて探していたんだ」
『え?普通にここにあったわよ?ところでこの続きはどうなるの?』
「確か、天使は天に帰り、そして王子は聖女と結婚をする。そう言う話だったかと……」
『……え?聖女と結婚しちゃうの?』
「ええ。天使は天に帰らなきゃいけない、何か重要な理由があったような……。随分昔に読んだ話なので忘れてしまいましたが」
「も〜、父さんは忘れん坊なんだから!」
「いや、バロンが落書きしなきゃこんなことにはならなかっただろ?」
「え?まぁ、確かにね。ごめんね、リリア」
『大丈夫よ。それにしても、随分可哀想な物語ね』
「そうかな?天使は天に戻れて、王子はこの聖女様と結婚できてハッピーエンドじゃない?ほら、この聖女様リリアに似てるし」
「確かに、リリアそっくりだな」
『どこがハッピーエンドなのよ。ミラは王子と結婚出来ずに天に戻って行ったのよ?しかも、王子は聖女様と結婚しちゃうし』
「え?なんかリリア怒ってる?」
少し不機嫌なリリアに、戸惑うバロン。
『だって、こんな話可哀想じゃない。愛する人と結ばれないなんて』
「え?」
「すまないな、バロン。リリアは、物語はハッピーエンドしか認めないんだ」
カイトは苦笑しながら、バロンの方をむいた。
『だって、物語はハッピーエンドじゃないと後味悪いじゃない。ご飯だって、いくら苦手なものが出されても、最後に美味しいデザートが待ってると思えば頑張って食べれるでしょ?』
「リリアはいつもそんなこと思いながら、ご飯食べてるのか?」
『もちろんよ』
「ははは、王女様は面白い方ですな」
そう言って無邪気に笑うアルマンドは、やはりどこかバロンに似ている。
『ねぇ、ところでこのお話に出てくる天使とか聖女って本当にいたのかしら?』
「天使も聖女も昔は実在していたようですが、最近ではあまり聞きませんね」
『へぇ……。天使ってどんな感じなのかしらね』
「さぁ。詳しくはわかりませんが、羽をもがれてしまえば、さほど人間と変わらないのだと何かの文献で読んだことがあります」
『へぇ……』
「そんなことより、そろそろ外で遊ばない?」
バロンは外で遊びたくてうずうずしているようだ。
『そうね。じゃあ、アルマンド様私たちは失礼致しますわ』
「ええ。くれぐれも危ないことはなさらぬようにお願いしますね。バロンもしっかりお2人を守るんだぞ」
「任せて、父さん!」
ニコニコと無邪気に笑うバロンに、アルマンドは少し苦笑いを浮かべた。
「カイト、僕リリアのこと好きになっちゃったみたい」
そう告げられたのは、カイトとリリアが8歳になる誕生日パーティーでの事。
「え?リリィのことが好きって、恋愛として好きってことか?」
「うん。僕、なんか最近おかしいんだ。リリアを見てると、胸がドキドキするって言うか……」
親友からの突然のセリフに驚き、戸惑うカイト。
バロンのことはもちろん大切で、恋だって応援したい。だが、その相手が自分の妹となると、少し複雑な気持ちだ。
「……そうか。なんとなく、そうなのかなとは思ったけど」
「え! そうなの!? もしかして、リリアにもバレてる!?」
「うーん…、それはどうだろうな」
(でも、きっとリリアもバロンのことが……)
そうは思ったものの、余計なことを言って拗らせるのは嫌なので、黙っておく。
するとそこにタイミング良く現れたリリア。
『あ、バロン!たくさん食べてる?』
「うん! 食べてるよ!」
『そっか。あのね、実はあっちに私が作ったアップルパイもあるから、食べてね』
「え! ほんと!? すぐ取ってくる」
そう言って、本当にすぐに取りに行くバロンに、2人は笑いをこぼした。
「バロンは本当面白いな」
『うん。本当にね』
そう言ってバロンを見つめるリリアの瞳は、とてもキラキラしていた。
「リリアはバロンのこと好きなのか?」
『え!? あ、えーっと……好きかも』
照れて頬を染めるリリアは、まだ幼い少女ながらにとても美しかった。
(これバロンが聞いたらすごい喜ぶだろうな……)
と思いつつ、カイトは自然の成り行きを見守ることにした。
そしてカイトとリリアがバロンと出会ってから、あっという間に1年が過ぎ去った。
バロンの家に遊びにきた2人は、バロンの家で古い童話の本を見つけた。それはとても童話の絵本とは思えないような、しっかりとした造りの本だった。
リリアは何故か自然とその本に手が伸びた。
『……天に帰りし、天使ミラ?』
「あぁ、リリアはこの童話知らない?」
『うん。カイトも知らないよね?』
「ああ。聞いたこともないな」
「そうなんだ。僕も何回かしか読んだことはないんだけどね。あ、でもそう言えば父さんが、代々伝わる大切な本だって言ってたような……」
『へぇ、どんな本なの?』
「え?」
「覚えてないの?」
「うん。僕あんまり、本とか読まないから」
『へぇ、本って面白いのに』
そう言ういうと、リリアは絵本を開き読み始めた。
『あるところに、ミラという天使がいた。
ミラは美しい天使で、いつも天の上から地上を見守っていた。
ある時ミラは、神の司令で地上に降りた。
そして、そこで王子と運命の恋をした。
だが、それは長くは続かなかった。
司令を終えて天に帰ることになったのだ。
ミラは泣く泣く天に戻って行った。
天に帰ると、ミラはいつも地上を眺めていた。
どうしても愛する人を忘れることができなかった。
ミラは神との約束を破り、地上に降りることにした。
愛する彼に伝えたかった。
"愛している"と。
だがミラが地上に降り立つ前に
神はミラの羽をもぎ取った。
ミラは地上に降りることはできたが
羽を取られたせいで致命傷をおった。
王子は姿の変わり果てたミラを見て嘆き悲しんだ。
そして、国中の者に助けを求めた。
すると1人の聖女が現れた。
聖女はあっという間に天使の傷を治した。
王子は言った。
"ミラを救ってくれたお礼として
なんでも願いを叶えてやろう"
聖女は言った。
ミラを天に返してください。
その言葉には王子も驚いた。
聖女は天使が………』
急に黙り込むリリアに、黙って聞いていたカイトとバロンは不思議そうにリリアの方を見つめた。
「どうしたの?」
『これ……』
と指差す先は、クレヨンでぐちゃぐちゃに落書きをされ、読むことができなくなっていた。
「わ!酷い落書き」
そう驚くバロンにカイトは言う。
「バロンが描いたんじゃないの?」
「え?僕が描いたのかな?」
「そう。これはバロンがまだまだ小さな時に、落書きをしてしまったんだ」
「え?父さん!」
『アルマンド様!』
いつのまにか入ってきたアルマンドに驚く3人。
「そんなに驚かなくても……、それにしてもその本どこで見つけたんだ?ずっと見当たらなくて探していたんだ」
『え?普通にここにあったわよ?ところでこの続きはどうなるの?』
「確か、天使は天に帰り、そして王子は聖女と結婚をする。そう言う話だったかと……」
『……え?聖女と結婚しちゃうの?』
「ええ。天使は天に帰らなきゃいけない、何か重要な理由があったような……。随分昔に読んだ話なので忘れてしまいましたが」
「も〜、父さんは忘れん坊なんだから!」
「いや、バロンが落書きしなきゃこんなことにはならなかっただろ?」
「え?まぁ、確かにね。ごめんね、リリア」
『大丈夫よ。それにしても、随分可哀想な物語ね』
「そうかな?天使は天に戻れて、王子はこの聖女様と結婚できてハッピーエンドじゃない?ほら、この聖女様リリアに似てるし」
「確かに、リリアそっくりだな」
『どこがハッピーエンドなのよ。ミラは王子と結婚出来ずに天に戻って行ったのよ?しかも、王子は聖女様と結婚しちゃうし』
「え?なんかリリア怒ってる?」
少し不機嫌なリリアに、戸惑うバロン。
『だって、こんな話可哀想じゃない。愛する人と結ばれないなんて』
「え?」
「すまないな、バロン。リリアは、物語はハッピーエンドしか認めないんだ」
カイトは苦笑しながら、バロンの方をむいた。
『だって、物語はハッピーエンドじゃないと後味悪いじゃない。ご飯だって、いくら苦手なものが出されても、最後に美味しいデザートが待ってると思えば頑張って食べれるでしょ?』
「リリアはいつもそんなこと思いながら、ご飯食べてるのか?」
『もちろんよ』
「ははは、王女様は面白い方ですな」
そう言って無邪気に笑うアルマンドは、やはりどこかバロンに似ている。
『ねぇ、ところでこのお話に出てくる天使とか聖女って本当にいたのかしら?』
「天使も聖女も昔は実在していたようですが、最近ではあまり聞きませんね」
『へぇ……。天使ってどんな感じなのかしらね』
「さぁ。詳しくはわかりませんが、羽をもがれてしまえば、さほど人間と変わらないのだと何かの文献で読んだことがあります」
『へぇ……』
「そんなことより、そろそろ外で遊ばない?」
バロンは外で遊びたくてうずうずしているようだ。
『そうね。じゃあ、アルマンド様私たちは失礼致しますわ』
「ええ。くれぐれも危ないことはなさらぬようにお願いしますね。バロンもしっかりお2人を守るんだぞ」
「任せて、父さん!」
ニコニコと無邪気に笑うバロンに、アルマンドは少し苦笑いを浮かべた。