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不死鳥・アイオーンのおかげで、ブラッドリーの毒も消え、無事お城に帰還することのできたカイト。
2人の父、現在の国王であるチャールズは、伝説とされる不死鳥の存在に驚き、カイトに質問攻めをした。
「……だから、アイオーンが助けてくれたんだ。」
「そうか。それにしても、なんと危ない事をしたんだ!わかっているのか、カイト」
「はい、父上。……申し訳ありません」
「はぁ……。だが今回は動物の声が聞ける能力を持っていたからこそ起きてしまった事件だ。まだ、お前にこの能力は早すぎるのかもしれないな……」
「すみません」
「カイト。お前に物心がつき、能力を使いこなせる様になるまでは、その能力は封じ込めていた方が良い」
「……ですが!」
「もう少しでリリアの命も奪うところだったのだぞ」
「……はい。申し訳ありません」
「まぁ、今回は2人とも無事だったから良かったものの、もし何かあったら……。私も、お前たちの母、シャーロットもどれだけ悲しむことか……!」
そう言いカイトを強く抱きしめる国王。
その瞬間、カイトの目に初めて涙が浮かんだ。王子とは言え、まだ7つの子供。どれだけ怖い思いを我慢していたのだろう。カイトは国王の元、声を押し殺しシクシクと涙を流した。
数日後ーー
国王は遥か遠い国の呪術師を呼びつけた。
「カイト。しばらくの間この能力とはお別れだ」
「……はい、父上。」
そして呪術師の指導のもと、左耳にピアスを開け、呪術師の念を込めた。これによってカイトは、動物と話すことのできる能力を封じ込まれた。
「今の気持ちはどうだ?」
「うーん……。なんだか不思議な感じ。だけど本当にもう聞こえないのか……?」
「そうだな。じゃあ、外に行き試してみよう」
そう言うと、外に向かう2人。外につけば庭園の中には、たくさんの鳥達で溢れていた。
「どうだ?鳥達の声が聞こえるか?」
(ピピピピ……、ピピ、ピピ)
「……本当に聞こえないよ。なんだか不思議な気持ち」
「ははは。普通の人間には聞こえないのが当たり前なのだがな。まぁ、しばらくのうちは不便もあるかもしれぬが、すぐに慣れるだろう」
「はい、父上」
「国王陛下、アルマンド様がいらっしゃいました」
そこにやってきたのは執事のセバスチャンだ。もう何十年もこの城で働いており、かなりの古株の彼は、カイトの方を見ると優しく微笑んだ。
「そうか。ではカイト、私はもう行く」
「はい、父上。」
国王はカイトを一瞥すると、ゆっくりと城の中に歩いて行った。
国王が立ち去るとカイトは空を見上げた。左耳のピアスを触り、もう一度鳥たちに話しかける。
「鳥たちよ、もう俺の声が聞こえないのか……?」
(…………)
返事はなかった。少し悲しそうな顔で空を見つめるカイト。カイトはそのまま、城にいるリリアの元へ向かった。
「リリア、一緒に散歩に行かないか?」
『カイト!もちろん行く!』
「今日は中庭を探索に行こう」
『うん!ところで……カイト。本当にもう動物とお話しできないの?』
「あぁ。そうみたいだな」
『そっか……。私が野生のうさぎを見たいと言い出したせいで……。本当にごめんね』
「リリアのせいじゃない。俺自身のせいだ。それにまた大きくなればピアスは外してもらえる。聞こえないのは今だけだよ」
『それでも……』
「リリア、本当に気にしないでくれ」
リリアはそうは言いながらも、少し悲しそうな顔のカイトを見つめ心が痛んだ。
カイトとリリアが中庭に辿り着くと、そこには1人の少年がいた。歳は2人と同じくらい、もしくは少し下に見える。少年は中庭のレンガを、片足で飛んで遊んでいた。
「やぁ、ごきげんよう」
カイトが話しかければ、少年はびっくりした顔でカイトを見つめた。
「え?きみ達、だれ?」
「俺はカイトだ。君は?」
「バロン!そっちの子は?」
『私はリリアよ』
「カイトとリリアね!よろしく!」
バロンは金の髪に翡翠の瞳。どこかふんわりとしたような可愛らしい雰囲気の少年だ。
「ところでこんなとこで何してるんだ?」
「父上に連れられて来たんだけど、ここで待ってろって言われて」
『へぇ、お父様が……。』
「もしかして、アルマンド様の?」
「あー、そうそう!それ、僕のお父さん!」
「やっぱり。じゃあ君も将来、騎士になるのか?」
「え?よく知ってるね!僕、この国を守る騎士になりたいんだ!この国の王子をお守りするんだよ!」
「そうか。ありがとう」
『良かったね、カイト』
「え?どうして?」
「だって、俺がこの国の王子だから」
『私はこの国の王女よ』
「ええ!!本当に!??」
「あぁ、本当だ」
「……あ、えっと!申し訳ありません!!敬語も使わずに!!」
「いや、気にしないでくれ。君、歳はいくつなんだ?」
「僕は今年で7歳です!」
『じゃあ、私たちと一緒ね』
「そうだな。だから敬語はいらない。バロン、俺たちの友達になってくれるか?」
「え……、本当にいいの?」
「もちろん。俺たち、友達が全然いなくて飽き飽きしてたんだ。俺たちのことは、カイトとリリアと呼んでくれ」
『そうだ!バロン!今度一緒に遊ぼうよ』
「いいよ!……って言っても何するの?」
『そうね、バロンはいつも何をして遊んでるの?』
「僕はいつも剣術の練習をしているよ。今度カイトも一緒にやらない?あ、でも怒られてしまうかな」
「いや、大丈夫だ」
『カイトばっかりずるい!』
「リリアも一緒にやるかい?」
そう言って微笑むバロンは、とても幼く見える。
『いいの??』
「うん。僕は全然いいけど…」
「リリアは辞めといた方がいいんじゃないか?父上にバレたら、バロンの方が怒られてしまうだろ?」
『そう、だよね……』
「リリア、ごめんね?でも剣術じゃなくても、僕いろんな遊びを知ってるよ」
「そうだな。剣術以外にも楽しいことはいっぱいあるさ」
『2人ともありがとう。バロンは次はいつお城に来るの?』
「う〜ん、どうだろう。父上が次にいつ来るのか、僕にはわからないんだよね」
「そうなのか。じゃあ、今度は俺たちがバロンのところに遊びに行ってもいいか?」
「え?いいの!?」
「ああ。また執事から連絡してもらうよ」
「執事?さすが王子様だね〜!」
「でもバロンだって、アルマンド様の息子だろう?執事の1人くらいいるんじゃないのか?」
「え?僕の家は執事なんていないよ。一流の騎士になるためには、自分のことは自分でできるようにならないといけないからねっ」
『さすが、〇〇家ね。私たちも見習わなくちゃ』
「そうだな」
「そんなすごいことじゃないよ。父さんが言ってたけど、王子様と王女様ってかなり勉強ができないといけないんでしょ?」
『確かに、毎日お勉強ばかりで、大変は大変かも』
「ああ。勉強は俺よりも妹のリリアの方が得意なんだ」
「そうなの?じゃあ、リリアはすごく賢いんだね!」
『まぁね〜!』
「それにリリアの作るアップルパイは本当に格別だぞ?」
「え!リリア、アップルパイ作れるの??僕アップルパイ大好き!」
「そうだ!今度バロンにも作ってあげたらどうだ?」
『もちろん、いいわよ。』
「ほんと!?僕すっごく楽しみにしてるよ!」
「バロン、もう帰るぞ」
そう呼ぶのは、バロンの父であるアルマンド。
この国の1番騎士として名高い男だ。短く切り揃えられた金色の髪に、鋭い瞳、たくましい腕。いかにも騎士と言った風貌の彼は、自身の息子を呼ぶと、そこに王子と王女がいることに気が付いた。
「これは失礼致しました。まさかバロンが殿下とご一緒だったとは…。」
「いや、いいんだ。気にしないでくれ。」
「バロンが何か無礼をいたしませんでしたか?」
「いや、バロンはもう友達だ。気にしないでくれ」
『そうそう。ところで、今度そちらにお邪魔してもよいかしら?』
アルマンドは少し驚いた顔をし、リリアの顔を見つめた。
「もちろんでございます。」
そう、アルマンドが微笑みを見せれば
「やったぁー!」
バロンは無邪気な顔で嬉しそうに笑った。
そしてカイトとリリアはそんなバロンを見て、楽しそうに微笑んだ。
不死鳥・アイオーンのおかげで、ブラッドリーの毒も消え、無事お城に帰還することのできたカイト。
2人の父、現在の国王であるチャールズは、伝説とされる不死鳥の存在に驚き、カイトに質問攻めをした。
「……だから、アイオーンが助けてくれたんだ。」
「そうか。それにしても、なんと危ない事をしたんだ!わかっているのか、カイト」
「はい、父上。……申し訳ありません」
「はぁ……。だが今回は動物の声が聞ける能力を持っていたからこそ起きてしまった事件だ。まだ、お前にこの能力は早すぎるのかもしれないな……」
「すみません」
「カイト。お前に物心がつき、能力を使いこなせる様になるまでは、その能力は封じ込めていた方が良い」
「……ですが!」
「もう少しでリリアの命も奪うところだったのだぞ」
「……はい。申し訳ありません」
「まぁ、今回は2人とも無事だったから良かったものの、もし何かあったら……。私も、お前たちの母、シャーロットもどれだけ悲しむことか……!」
そう言いカイトを強く抱きしめる国王。
その瞬間、カイトの目に初めて涙が浮かんだ。王子とは言え、まだ7つの子供。どれだけ怖い思いを我慢していたのだろう。カイトは国王の元、声を押し殺しシクシクと涙を流した。
数日後ーー
国王は遥か遠い国の呪術師を呼びつけた。
「カイト。しばらくの間この能力とはお別れだ」
「……はい、父上。」
そして呪術師の指導のもと、左耳にピアスを開け、呪術師の念を込めた。これによってカイトは、動物と話すことのできる能力を封じ込まれた。
「今の気持ちはどうだ?」
「うーん……。なんだか不思議な感じ。だけど本当にもう聞こえないのか……?」
「そうだな。じゃあ、外に行き試してみよう」
そう言うと、外に向かう2人。外につけば庭園の中には、たくさんの鳥達で溢れていた。
「どうだ?鳥達の声が聞こえるか?」
(ピピピピ……、ピピ、ピピ)
「……本当に聞こえないよ。なんだか不思議な気持ち」
「ははは。普通の人間には聞こえないのが当たり前なのだがな。まぁ、しばらくのうちは不便もあるかもしれぬが、すぐに慣れるだろう」
「はい、父上」
「国王陛下、アルマンド様がいらっしゃいました」
そこにやってきたのは執事のセバスチャンだ。もう何十年もこの城で働いており、かなりの古株の彼は、カイトの方を見ると優しく微笑んだ。
「そうか。ではカイト、私はもう行く」
「はい、父上。」
国王はカイトを一瞥すると、ゆっくりと城の中に歩いて行った。
国王が立ち去るとカイトは空を見上げた。左耳のピアスを触り、もう一度鳥たちに話しかける。
「鳥たちよ、もう俺の声が聞こえないのか……?」
(…………)
返事はなかった。少し悲しそうな顔で空を見つめるカイト。カイトはそのまま、城にいるリリアの元へ向かった。
「リリア、一緒に散歩に行かないか?」
『カイト!もちろん行く!』
「今日は中庭を探索に行こう」
『うん!ところで……カイト。本当にもう動物とお話しできないの?』
「あぁ。そうみたいだな」
『そっか……。私が野生のうさぎを見たいと言い出したせいで……。本当にごめんね』
「リリアのせいじゃない。俺自身のせいだ。それにまた大きくなればピアスは外してもらえる。聞こえないのは今だけだよ」
『それでも……』
「リリア、本当に気にしないでくれ」
リリアはそうは言いながらも、少し悲しそうな顔のカイトを見つめ心が痛んだ。
カイトとリリアが中庭に辿り着くと、そこには1人の少年がいた。歳は2人と同じくらい、もしくは少し下に見える。少年は中庭のレンガを、片足で飛んで遊んでいた。
「やぁ、ごきげんよう」
カイトが話しかければ、少年はびっくりした顔でカイトを見つめた。
「え?きみ達、だれ?」
「俺はカイトだ。君は?」
「バロン!そっちの子は?」
『私はリリアよ』
「カイトとリリアね!よろしく!」
バロンは金の髪に翡翠の瞳。どこかふんわりとしたような可愛らしい雰囲気の少年だ。
「ところでこんなとこで何してるんだ?」
「父上に連れられて来たんだけど、ここで待ってろって言われて」
『へぇ、お父様が……。』
「もしかして、アルマンド様の?」
「あー、そうそう!それ、僕のお父さん!」
「やっぱり。じゃあ君も将来、騎士になるのか?」
「え?よく知ってるね!僕、この国を守る騎士になりたいんだ!この国の王子をお守りするんだよ!」
「そうか。ありがとう」
『良かったね、カイト』
「え?どうして?」
「だって、俺がこの国の王子だから」
『私はこの国の王女よ』
「ええ!!本当に!??」
「あぁ、本当だ」
「……あ、えっと!申し訳ありません!!敬語も使わずに!!」
「いや、気にしないでくれ。君、歳はいくつなんだ?」
「僕は今年で7歳です!」
『じゃあ、私たちと一緒ね』
「そうだな。だから敬語はいらない。バロン、俺たちの友達になってくれるか?」
「え……、本当にいいの?」
「もちろん。俺たち、友達が全然いなくて飽き飽きしてたんだ。俺たちのことは、カイトとリリアと呼んでくれ」
『そうだ!バロン!今度一緒に遊ぼうよ』
「いいよ!……って言っても何するの?」
『そうね、バロンはいつも何をして遊んでるの?』
「僕はいつも剣術の練習をしているよ。今度カイトも一緒にやらない?あ、でも怒られてしまうかな」
「いや、大丈夫だ」
『カイトばっかりずるい!』
「リリアも一緒にやるかい?」
そう言って微笑むバロンは、とても幼く見える。
『いいの??』
「うん。僕は全然いいけど…」
「リリアは辞めといた方がいいんじゃないか?父上にバレたら、バロンの方が怒られてしまうだろ?」
『そう、だよね……』
「リリア、ごめんね?でも剣術じゃなくても、僕いろんな遊びを知ってるよ」
「そうだな。剣術以外にも楽しいことはいっぱいあるさ」
『2人ともありがとう。バロンは次はいつお城に来るの?』
「う〜ん、どうだろう。父上が次にいつ来るのか、僕にはわからないんだよね」
「そうなのか。じゃあ、今度は俺たちがバロンのところに遊びに行ってもいいか?」
「え?いいの!?」
「ああ。また執事から連絡してもらうよ」
「執事?さすが王子様だね〜!」
「でもバロンだって、アルマンド様の息子だろう?執事の1人くらいいるんじゃないのか?」
「え?僕の家は執事なんていないよ。一流の騎士になるためには、自分のことは自分でできるようにならないといけないからねっ」
『さすが、〇〇家ね。私たちも見習わなくちゃ』
「そうだな」
「そんなすごいことじゃないよ。父さんが言ってたけど、王子様と王女様ってかなり勉強ができないといけないんでしょ?」
『確かに、毎日お勉強ばかりで、大変は大変かも』
「ああ。勉強は俺よりも妹のリリアの方が得意なんだ」
「そうなの?じゃあ、リリアはすごく賢いんだね!」
『まぁね〜!』
「それにリリアの作るアップルパイは本当に格別だぞ?」
「え!リリア、アップルパイ作れるの??僕アップルパイ大好き!」
「そうだ!今度バロンにも作ってあげたらどうだ?」
『もちろん、いいわよ。』
「ほんと!?僕すっごく楽しみにしてるよ!」
「バロン、もう帰るぞ」
そう呼ぶのは、バロンの父であるアルマンド。
この国の1番騎士として名高い男だ。短く切り揃えられた金色の髪に、鋭い瞳、たくましい腕。いかにも騎士と言った風貌の彼は、自身の息子を呼ぶと、そこに王子と王女がいることに気が付いた。
「これは失礼致しました。まさかバロンが殿下とご一緒だったとは…。」
「いや、いいんだ。気にしないでくれ。」
「バロンが何か無礼をいたしませんでしたか?」
「いや、バロンはもう友達だ。気にしないでくれ」
『そうそう。ところで、今度そちらにお邪魔してもよいかしら?』
アルマンドは少し驚いた顔をし、リリアの顔を見つめた。
「もちろんでございます。」
そう、アルマンドが微笑みを見せれば
「やったぁー!」
バロンは無邪気な顔で嬉しそうに笑った。
そしてカイトとリリアはそんなバロンを見て、楽しそうに微笑んだ。