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そして9年の月日が流れたーー
無事、17歳を迎えた3人。
カイトはスラっと背が伸び、幼く可愛らしい少年の顔立ちから美しい青年へと成長をした。
金色の髪にオレンジ色の瞳は、まるで初代国王のジャックに瓜二つ。優しい性格は小さな頃からそのままに、王子として恥じないような、賢く誠実な青年だ。
リリアは、真っ白な美しい肌に、腰まで伸びたピンク色の髪。彼女が一つ歩けば、その足元から花が浮き上がるのではないかと錯覚するような……、まるで天使の生まれ変わりと言われるほどに美しい少女。彼女もまた優しく、賢い少女へと成長をしていた。
そしてバロンはと言うと、身長だけはぐっと伸びたが、相変わらず少年の頃のまま、可愛らしい美男子というような、まだあどけなさが残っている。
性格はあの頃のまま、今でも無邪気な少年のようだ。
そしてもう1人、3人には仲の良い友人ができた。
その名はリアム・ーー。
リアムは真っ白の肌に、くるくるとした癖っ毛のある真っ白の髪の毛、そしてライトブルーの瞳の持ち主。
周りからは白雪の王子と呼ばれるほどに美しい美貌を持った青年だ。だが、なかなかクールと言うか、口が悪いと言うか……、気難しい彼は、影では氷の王子とも呼ばれている。
リアムを含めたこの4人は、上流貴族のみが通うことを許される〇〇学園に入学し、平和な毎日を送っていた。
「リリア、今日もアップルパイある?」
そう嬉しそうに聞くのはバロン。17歳になった今でも、リリアの作るアップルパイが大好きな彼は、毎日のようにリリアにアップルパイをせがんでいる。
「バロン、それ昨日も言ってなかった?」
「だってリリアの作るアップルパイって、本当に美味しいんだもん〜」
『ありがとう、バロン。でもごめんね。今日は作ってないの。』
「暇そうに見えても、いちよう王女だもんね」
『ちょっと、それどう言う意味?』
「そのままの意味だけど」
しれっとそんなことを言うリアムに、リリアは少しご立腹だ。そして、そんなリアムに文句を言おうとするリリアに、カイトが話しかける。
「そういえば、さっきテオドールが言ってたんだが、今日転入生が入ってくるらしい」
テオドールはカイト達の通う〇〇学園の教師の1人である。テオドール自体も、かなり名のある貴族のうちの1人で、学園内でも随分と権力を持っている。
腰まで伸ばされた緑色の髪を1つに結い、眼鏡をかけた姿がカッコ良いと生徒から人気があるが、好き嫌いの激しい性格から苦手に思っている生徒も多い。
『テオドールが?なんて言ってたの?』
「その転入生が下級貴族らしいんだが、伝統あるこの学園に下級貴族が入ってくるのが許せないって言ってたよ」
『あ〜。確かに、テオドールは貴族階級にうるさいからね〜』
「でもなんでそんな下級貴族がこの学園に入れたの〜?」
とバロンは不思議そうに首を傾げる。
「それはその子が聖女の生き残りで、聖女の力ってものを持っているからだそうだ」
『へぇ〜。聖女様って今の時代もいたんだね〜』
「聖女は存在するよ。王女なのにそんなことも知らないわけ?」
そう鼻で笑うリアム。
『何よ!いちいち突っかかってこないでよね。』
「別に突っかかってない。ただ思ったことを言っただけ」
「まぁまぁ、2人とも落ち着いて。」
「そうそう!リアムばっかりリリアとイチャイチャしないでよね〜」
「この状況を、イチャイチャと捉えられるバロンの脳内ってどうなってるわけ?」
もはやリアムは、そんなバロンに呆れている。
『でも聖女様だからって下級貴族なんだよね?』
「ああ。だが随分と昔に途絶えてしまっていたはずの聖女の力を持つ少女だから、学園としてはぜひ入園させたいみたいなんだ」
『へぇ〜、そうなんだ』
「それでもテオドールはかなり反対したらしい。だがそんな反対を押し切ってでも、学園側が無理やり、聖女様を入園させたようだな」
『え、だってテオドールだって、この学園のかなりの権力者だよね?』
「ああ。そんなテオドールの反対を押し切ってでも入園させたわけだから、相当な実力の持ち主なんじゃないか?」
『そうなんだ〜。』
「へぇ〜。それは楽しみだね」
そういうリアムの表情からは、一切の感情を感じない。
『それ、本当に思ってる?表情、無だけど』
「は?人の表情も見分けられないなんて君の洞察力、どうかしてるんじゃない?」
『リアムの表情筋が衰えてるだけじゃないの?』
「じゃあ、バロンはどう思う?」
「え〜、いつもより少し楽しそう。でも、本当はそんなに興味ないんじゃないかな〜」
それにはリアムも少し驚いたようだ。
「バロンって、動物の勘みたいのすごいよね」
「え、そう?ありがとう」
『それ褒めてるの?』
「リリアも少し見習えば」
『……いちいち癪に触るわね』
そしてしばらくして、テオドールが少女を連れてクラスへとやってきた。
テオドールは明らかに不機嫌そうな顔で彼女を見ると、自己紹介をするようにと声をかける。
「みなさん、はじめまして。私、ティアと申します。私は皆様と違い下級貴族出身で、あまり快く思わない方もいらっしゃると思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。」
ティアと名乗った少女は、ツヤツヤのブラウンの髪に、ルビー色の透き通った瞳を持つ、とても可愛らしい少女であった。
可愛らしい少女はニコリと微笑む。
すると、クラスの何人かの男子は頬を染め、歓声をあげた。
「ティアちゃん、可愛い〜」
「本当に天使みたいだ」
そんな言葉がクラスの至る所から聞こえる。
リリアは、ふとみんなの感想が気になり、いつもの3人の顔を眺めた。
カイトは転入生の方を向き、いつものように優しい微笑みを浮かべ、バロンはいつも通りニコニコしてリリアを眺めている。リアムはと言うと、少し眉を下げ、転入生に向けて冷たい視線を送っていた。
(……いつも通りのみんなで良かった)
そう、ふと心の中で思う自分に、少しの違和感を感じつつ、リリアは転入生を見つめた。
無事、17歳を迎えた3人。
カイトはスラっと背が伸び、幼く可愛らしい少年の顔立ちから美しい青年へと成長をした。
金色の髪にオレンジ色の瞳は、まるで初代国王のジャックに瓜二つ。優しい性格は小さな頃からそのままに、王子として恥じないような、賢く誠実な青年だ。
リリアは、真っ白な美しい肌に、腰まで伸びたピンク色の髪。彼女が一つ歩けば、その足元から花が浮き上がるのではないかと錯覚するような……、まるで天使の生まれ変わりと言われるほどに美しい少女。彼女もまた優しく、賢い少女へと成長をしていた。
そしてバロンはと言うと、身長だけはぐっと伸びたが、相変わらず少年の頃のまま、可愛らしい美男子というような、まだあどけなさが残っている。
性格はあの頃のまま、今でも無邪気な少年のようだ。
そしてもう1人、3人には仲の良い友人ができた。
その名はリアム・ーー。
リアムは真っ白の肌に、くるくるとした癖っ毛のある真っ白の髪の毛、そしてライトブルーの瞳の持ち主。
周りからは白雪の王子と呼ばれるほどに美しい美貌を持った青年だ。だが、なかなかクールと言うか、口が悪いと言うか……、気難しい彼は、影では氷の王子とも呼ばれている。
リアムを含めたこの4人は、上流貴族のみが通うことを許される〇〇学園に入学し、平和な毎日を送っていた。
「リリア、今日もアップルパイある?」
そう嬉しそうに聞くのはバロン。17歳になった今でも、リリアの作るアップルパイが大好きな彼は、毎日のようにリリアにアップルパイをせがんでいる。
「バロン、それ昨日も言ってなかった?」
「だってリリアの作るアップルパイって、本当に美味しいんだもん〜」
『ありがとう、バロン。でもごめんね。今日は作ってないの。』
「暇そうに見えても、いちよう王女だもんね」
『ちょっと、それどう言う意味?』
「そのままの意味だけど」
しれっとそんなことを言うリアムに、リリアは少しご立腹だ。そして、そんなリアムに文句を言おうとするリリアに、カイトが話しかける。
「そういえば、さっきテオドールが言ってたんだが、今日転入生が入ってくるらしい」
テオドールはカイト達の通う〇〇学園の教師の1人である。テオドール自体も、かなり名のある貴族のうちの1人で、学園内でも随分と権力を持っている。
腰まで伸ばされた緑色の髪を1つに結い、眼鏡をかけた姿がカッコ良いと生徒から人気があるが、好き嫌いの激しい性格から苦手に思っている生徒も多い。
『テオドールが?なんて言ってたの?』
「その転入生が下級貴族らしいんだが、伝統あるこの学園に下級貴族が入ってくるのが許せないって言ってたよ」
『あ〜。確かに、テオドールは貴族階級にうるさいからね〜』
「でもなんでそんな下級貴族がこの学園に入れたの〜?」
とバロンは不思議そうに首を傾げる。
「それはその子が聖女の生き残りで、聖女の力ってものを持っているからだそうだ」
『へぇ〜。聖女様って今の時代もいたんだね〜』
「聖女は存在するよ。王女なのにそんなことも知らないわけ?」
そう鼻で笑うリアム。
『何よ!いちいち突っかかってこないでよね。』
「別に突っかかってない。ただ思ったことを言っただけ」
「まぁまぁ、2人とも落ち着いて。」
「そうそう!リアムばっかりリリアとイチャイチャしないでよね〜」
「この状況を、イチャイチャと捉えられるバロンの脳内ってどうなってるわけ?」
もはやリアムは、そんなバロンに呆れている。
『でも聖女様だからって下級貴族なんだよね?』
「ああ。だが随分と昔に途絶えてしまっていたはずの聖女の力を持つ少女だから、学園としてはぜひ入園させたいみたいなんだ」
『へぇ〜、そうなんだ』
「それでもテオドールはかなり反対したらしい。だがそんな反対を押し切ってでも、学園側が無理やり、聖女様を入園させたようだな」
『え、だってテオドールだって、この学園のかなりの権力者だよね?』
「ああ。そんなテオドールの反対を押し切ってでも入園させたわけだから、相当な実力の持ち主なんじゃないか?」
『そうなんだ〜。』
「へぇ〜。それは楽しみだね」
そういうリアムの表情からは、一切の感情を感じない。
『それ、本当に思ってる?表情、無だけど』
「は?人の表情も見分けられないなんて君の洞察力、どうかしてるんじゃない?」
『リアムの表情筋が衰えてるだけじゃないの?』
「じゃあ、バロンはどう思う?」
「え〜、いつもより少し楽しそう。でも、本当はそんなに興味ないんじゃないかな〜」
それにはリアムも少し驚いたようだ。
「バロンって、動物の勘みたいのすごいよね」
「え、そう?ありがとう」
『それ褒めてるの?』
「リリアも少し見習えば」
『……いちいち癪に触るわね』
そしてしばらくして、テオドールが少女を連れてクラスへとやってきた。
テオドールは明らかに不機嫌そうな顔で彼女を見ると、自己紹介をするようにと声をかける。
「みなさん、はじめまして。私、ティアと申します。私は皆様と違い下級貴族出身で、あまり快く思わない方もいらっしゃると思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。」
ティアと名乗った少女は、ツヤツヤのブラウンの髪に、ルビー色の透き通った瞳を持つ、とても可愛らしい少女であった。
可愛らしい少女はニコリと微笑む。
すると、クラスの何人かの男子は頬を染め、歓声をあげた。
「ティアちゃん、可愛い〜」
「本当に天使みたいだ」
そんな言葉がクラスの至る所から聞こえる。
リリアは、ふとみんなの感想が気になり、いつもの3人の顔を眺めた。
カイトは転入生の方を向き、いつものように優しい微笑みを浮かべ、バロンはいつも通りニコニコしてリリアを眺めている。リアムはと言うと、少し眉を下げ、転入生に向けて冷たい視線を送っていた。
(……いつも通りのみんなで良かった)
そう、ふと心の中で思う自分に、少しの違和感を感じつつ、リリアは転入生を見つめた。