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次の日リリアとリアムは、カイトとバロンの元へ向かった。2人は点滴を繋がれたまま、まだ眠っている。
「よっぽど疲れが溜まってたのかな」
『そうよね、ご飯も食べてなかったみたいだし……』
「そうだね。もう少し発見が遅ければ倒れてたかもね」
リアムのその言葉に、リリアはハッとした。もし、ベラに言われていなかったら……、自分は気づくことができただろうか。
いつも失敗ばかりのベラだが、それでも周りをよく見てくれているベラにリリアは心から感謝をした。
その日、先に起きたのはカイトだった。
カイトは自身に繋がれた点滴を見ると、不満そうな顔をして、
「今すぐにティアを呼んでくれ」
そう言った。
『ティアは今会えないの。ごめんね』
「なぜだ?」
「ティアは聖女だからお祈りするのに忙しいんだよ」
「……そうか」
不満げながらもなんとか納得してくれた様子のカイトは、それでもやはり用意した朝食には一切手をつけなかった。
バロンは依然眠ったまま……。
そしてその日からあっという間に3日が経った。
バロンが目を覚ましたと聞くと、リリアは一目散にバロンの元に向かった。
『バロン!!』
「……リリア?そんなに慌ててどうしたの?」
少しぽけーっとした表情でリリアに質問をするバロンは、洗脳が解けたのか以前のバロンのように見えた。
『バロン、もう大丈夫なの?』
「大丈夫って、何が?それより、僕お腹空いた〜」
『うん!』
その言葉に瞳を潤ませるリリア。
(やっと……ご飯を食べる気になれたのね!)
すぐにテオドールが料理を運び、バロンの部屋のテーブルに朝食が並んだ。
「わぁ〜、美味しそう!」
と言いながら、すぐに朝食に手を伸ばすバロン。
あっという間にご飯を完食したバロンは、
「久しぶりにリリアの作るアップルパイが食べたいな〜」
そう言って無邪気に笑った。
『うん!すぐに作るわね』
そう言い、泣き出しそうな瞳を隠し、リリアはすぐにキッチンへ向かった。
キッチンで涙を堪えながら、アップルパイを使っていれば、そこにリアムがやってきた。
「良かったね、君の王子が元に戻って」
『え?』
一瞬、その言葉の意味が理解できなかった。
(あ……、そっか。洗脳が解けた今はバロンと同じ気持ちなんだ……。えっと……、同じ……気持ち?)
心の中でどこか腑に落ちない気持ちを感じながら、リリアはアップルパイ作りに集中をした。
そして2人を監禁してから5日ほどが経った。カイトとバロンの洗脳は解け、2人は以前のような2人に戻り、事態はこのまま収束すると思われた。
……が、2人ともしっかりとご飯を食べるようになったにも関わらず、何故かどんどん痩せこけていくカイトとバロン。
「何かが変だ……」
顎に手を当て考え込むリアムに、テオドールも賛同する。
「あぁ。これだけ食べているのにも関わらず、どんどん体重が落ちていくのはおかしい」
「それに……」
『それに、何?』
「洗脳は解けてきているはずなのに、何故か心の音は鈍いまま……というか、以前よりももっと嫌な音が聞こえるんだ。」
『どうゆうこと?洗脳は解けてきてるんだよね?』
「うん。洗脳は確かに解けてきている。でも、2人の音はなんて言うか……、心と言うより、身体の奥からギシギシと何かが壊れているような……そんなすごく嫌な音なんだ」
『……え?でも……この先どうしていけばいいのかしら』
ティアのお菓子を辞めさせることには成功したものの、次の一手を考えていないリリア達は、これからどうしていけばいいのからさっぱりわからなかった。
そして、その夜……。
リリアとリアムが、カイト達の部屋に向かうと、バロンの部屋の中からバロンの咳き込む音が聞こえてきた。
急いで中を覗けば、バロンは口から大量の血を流してうずくまっていた。
『バロン!!どうしたの!?大丈夫!?』
驚いたリリアはすぐにバロンの元に駆け寄った。
「リ、リア……。大、丈夫っ……だよ!これくらい……平、気だから……」
そう言いながら、ゴホゴホッと更に咳き込み、バロンはまた大量の吐血をした。
リアムが急いでテオドールと医者を呼んだ。
リリアはあまりの出来事に泣き出してしまい、部屋から追い出されてしまった。
(どうして……どうしてこんなことに……!)
しばらく部屋の外で泣いていれば、処置を終わらせた医者とテオドール、リアムが部屋の中から出てきた。
「一命は取り留めてある……。だが、容態は安定していない」
そう呟くテオドール。
リアムは唇を噛み締め、悔しそうな顔をしている。
「……僕、ティアに会ってくる」
「なんだと!?それがどれだけ危ないことなのかわからないのか?」
「そんなの……わかってる!だけど、このままじゃ、バロンもカイトも……!!」
『私も行く!』
「待ってくれ。俺も一緒に行かせてくれ」
そう言って部屋から出てきたカイト。
「カイト……。もしまたティアに洗脳されたらどうするんだよ。」
「すまない。だが、俺にも行かせてほしいんだ」
リアムとテオドールは目を見合わせた。2人が怪訝な表情を浮かべる中、唯一リリアだけはカイトに賛成をした。
『行こう。カイトがいたほうが、ティアは下手に手出ししないと思う』
「まぁ、確かに。ティアのカイトを想う気持ちは本物だとは思うけど」
「……そう言うことなら仕方ないな。俺はここでバロンのことを見ているから、お前達はティアに接触し、バロンの症状について聞いてきてくれ」
テオドールはバロンを横目で見つめ、リリア、カイト、リアムを順に見つめた。
『うん。バロンのこと頼むわね』
「ああ。」
テオドールの屋敷を出ると外は真っ暗だった。
だが、バロンの状況を考えると少しでも早く動くべきだろうと、すぐにティアのいるであろう寮に向かった。
カイトとリリアは近くの公園で、リアムがティアを連れてくるのを待っていた。
『リアム、大丈夫かしら……』
「リアムなら大丈夫だろ」
カイトは少し神妙な顔をしていた。
『カイト……、ティアに会うの不安?』
「え?」
『だってなんか神妙な顔してるから』
「ああ、別に不安なわけではないんだ。ただ、俺にはティアが悪いやつには思えないんだ」
そう呟くカイトの顔は、どこか寂しそうに見えた。
『……カイトとバロンを洗脳してたんだよ!? それにバロンは今だって……!』
リリアは信じられない!と声を荒げた。
「わかってる。それはわかってるんだ。俺たちを洗脳しようとしていた……、それに俺の身体は……もう……」
カイトは全てを理解したうえで、それでもティアを信じたいようだった。
(なんで、そこまでティアの肩を持つの……?)
リリアはそんなカイトが信じられなかった。
次の日リリアとリアムは、カイトとバロンの元へ向かった。2人は点滴を繋がれたまま、まだ眠っている。
「よっぽど疲れが溜まってたのかな」
『そうよね、ご飯も食べてなかったみたいだし……』
「そうだね。もう少し発見が遅ければ倒れてたかもね」
リアムのその言葉に、リリアはハッとした。もし、ベラに言われていなかったら……、自分は気づくことができただろうか。
いつも失敗ばかりのベラだが、それでも周りをよく見てくれているベラにリリアは心から感謝をした。
その日、先に起きたのはカイトだった。
カイトは自身に繋がれた点滴を見ると、不満そうな顔をして、
「今すぐにティアを呼んでくれ」
そう言った。
『ティアは今会えないの。ごめんね』
「なぜだ?」
「ティアは聖女だからお祈りするのに忙しいんだよ」
「……そうか」
不満げながらもなんとか納得してくれた様子のカイトは、それでもやはり用意した朝食には一切手をつけなかった。
バロンは依然眠ったまま……。
そしてその日からあっという間に3日が経った。
バロンが目を覚ましたと聞くと、リリアは一目散にバロンの元に向かった。
『バロン!!』
「……リリア?そんなに慌ててどうしたの?」
少しぽけーっとした表情でリリアに質問をするバロンは、洗脳が解けたのか以前のバロンのように見えた。
『バロン、もう大丈夫なの?』
「大丈夫って、何が?それより、僕お腹空いた〜」
『うん!』
その言葉に瞳を潤ませるリリア。
(やっと……ご飯を食べる気になれたのね!)
すぐにテオドールが料理を運び、バロンの部屋のテーブルに朝食が並んだ。
「わぁ〜、美味しそう!」
と言いながら、すぐに朝食に手を伸ばすバロン。
あっという間にご飯を完食したバロンは、
「久しぶりにリリアの作るアップルパイが食べたいな〜」
そう言って無邪気に笑った。
『うん!すぐに作るわね』
そう言い、泣き出しそうな瞳を隠し、リリアはすぐにキッチンへ向かった。
キッチンで涙を堪えながら、アップルパイを使っていれば、そこにリアムがやってきた。
「良かったね、君の王子が元に戻って」
『え?』
一瞬、その言葉の意味が理解できなかった。
(あ……、そっか。洗脳が解けた今はバロンと同じ気持ちなんだ……。えっと……、同じ……気持ち?)
心の中でどこか腑に落ちない気持ちを感じながら、リリアはアップルパイ作りに集中をした。
そして2人を監禁してから5日ほどが経った。カイトとバロンの洗脳は解け、2人は以前のような2人に戻り、事態はこのまま収束すると思われた。
……が、2人ともしっかりとご飯を食べるようになったにも関わらず、何故かどんどん痩せこけていくカイトとバロン。
「何かが変だ……」
顎に手を当て考え込むリアムに、テオドールも賛同する。
「あぁ。これだけ食べているのにも関わらず、どんどん体重が落ちていくのはおかしい」
「それに……」
『それに、何?』
「洗脳は解けてきているはずなのに、何故か心の音は鈍いまま……というか、以前よりももっと嫌な音が聞こえるんだ。」
『どうゆうこと?洗脳は解けてきてるんだよね?』
「うん。洗脳は確かに解けてきている。でも、2人の音はなんて言うか……、心と言うより、身体の奥からギシギシと何かが壊れているような……そんなすごく嫌な音なんだ」
『……え?でも……この先どうしていけばいいのかしら』
ティアのお菓子を辞めさせることには成功したものの、次の一手を考えていないリリア達は、これからどうしていけばいいのからさっぱりわからなかった。
そして、その夜……。
リリアとリアムが、カイト達の部屋に向かうと、バロンの部屋の中からバロンの咳き込む音が聞こえてきた。
急いで中を覗けば、バロンは口から大量の血を流してうずくまっていた。
『バロン!!どうしたの!?大丈夫!?』
驚いたリリアはすぐにバロンの元に駆け寄った。
「リ、リア……。大、丈夫っ……だよ!これくらい……平、気だから……」
そう言いながら、ゴホゴホッと更に咳き込み、バロンはまた大量の吐血をした。
リアムが急いでテオドールと医者を呼んだ。
リリアはあまりの出来事に泣き出してしまい、部屋から追い出されてしまった。
(どうして……どうしてこんなことに……!)
しばらく部屋の外で泣いていれば、処置を終わらせた医者とテオドール、リアムが部屋の中から出てきた。
「一命は取り留めてある……。だが、容態は安定していない」
そう呟くテオドール。
リアムは唇を噛み締め、悔しそうな顔をしている。
「……僕、ティアに会ってくる」
「なんだと!?それがどれだけ危ないことなのかわからないのか?」
「そんなの……わかってる!だけど、このままじゃ、バロンもカイトも……!!」
『私も行く!』
「待ってくれ。俺も一緒に行かせてくれ」
そう言って部屋から出てきたカイト。
「カイト……。もしまたティアに洗脳されたらどうするんだよ。」
「すまない。だが、俺にも行かせてほしいんだ」
リアムとテオドールは目を見合わせた。2人が怪訝な表情を浮かべる中、唯一リリアだけはカイトに賛成をした。
『行こう。カイトがいたほうが、ティアは下手に手出ししないと思う』
「まぁ、確かに。ティアのカイトを想う気持ちは本物だとは思うけど」
「……そう言うことなら仕方ないな。俺はここでバロンのことを見ているから、お前達はティアに接触し、バロンの症状について聞いてきてくれ」
テオドールはバロンを横目で見つめ、リリア、カイト、リアムを順に見つめた。
『うん。バロンのこと頼むわね』
「ああ。」
テオドールの屋敷を出ると外は真っ暗だった。
だが、バロンの状況を考えると少しでも早く動くべきだろうと、すぐにティアのいるであろう寮に向かった。
カイトとリリアは近くの公園で、リアムがティアを連れてくるのを待っていた。
『リアム、大丈夫かしら……』
「リアムなら大丈夫だろ」
カイトは少し神妙な顔をしていた。
『カイト……、ティアに会うの不安?』
「え?」
『だってなんか神妙な顔してるから』
「ああ、別に不安なわけではないんだ。ただ、俺にはティアが悪いやつには思えないんだ」
そう呟くカイトの顔は、どこか寂しそうに見えた。
『……カイトとバロンを洗脳してたんだよ!? それにバロンは今だって……!』
リリアは信じられない!と声を荒げた。
「わかってる。それはわかってるんだ。俺たちを洗脳しようとしていた……、それに俺の身体は……もう……」
カイトは全てを理解したうえで、それでもティアを信じたいようだった。
(なんで、そこまでティアの肩を持つの……?)
リリアはそんなカイトが信じられなかった。