1
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
.
(リリアの物語)
リリアがリアムと一緒にお城に戻ると、リリア専属のメイド、ベラが急いで走り寄ってきた。
ベラは黒いサラサラとした肩までの髪に、意志の強そうな瞳を持ったメイドだ。
歳はリリアよりも1つ下だが、幼い頃からリリアの世話係をしていたこともあり、2人はとても仲が良い。そんなベラの慌てた様子に、リリアは何があったのかと足早に問いただす。
『ベラ、どうしたの?』
「リリア様!カイト様が……」
その言葉にリリアを送りにきたリアムも反応をした。
「カイトがどうしたの?」
「カイト様の様子がおかしいのです……」
「すぐに案内して!」
リアムがそう言えば、ベラはすぐにカイトの元へと案内をしてくれた。カイトの部屋の前では、執事のウォルターが不安げな顔で中の様子を伺っていた。
『ウォルター。カイトの様子は?』
「リリア様。それがここ1週間ほどまともな食事を取っておらず、先ほどもお料理を用意したのですがいらないと返されてしまい……」
『カイトが?』
そんなことは今まで一度だってなかった。カイトは誰かのしてくれたことに対し、人1番感謝をするタイプだ。だから今まで料理を残す事も、ましてや用意してくれた食事に手をつけないことなんて、今までのカイトからは想像もできなかった。
リリアはドンドンとドアを叩くと、返事も待たずにカイトの部屋に入っていく。
まともな会話は1週間ぶりだろうか。同じ家にいても最近は距離が空きすぎて、カイトの変化にも気づかなかった。
『カイト!』
「……リリア。悪いけど出て行ってくれ」
そう言うカイトの瞳には覇気がなく、ただ虚な瞳でリリアを見つめるだけ。
『どうしちゃったの?そんなに痩せこけて』
人間がたった1週間でこんなに痩せこけるなんて、どう考えてもおかしい。そう思ったリリアは、カイトを問い詰める。
「別に。ただ食欲が出ないだけだ」
「カイト、今日何を食べた?」
「今日はティアの作ったマドレーヌは食べたな」
「じゃあ、昨日は?」
「昨日はティアの作ったケーキを食べたよ」
「それだけ?」
「あぁ」
「リリア、ちょっと外で話そう」
そう言うとリアムは、リリアを連れ、外に出た。
『カイト、大丈夫かしら……』
「……カイトは、たぶん悪魔のようなものに精神を蝕まれている。」
『悪魔?』
「うん。カイトからは、なんだか酷く濁った音がするんだ」
『……どうしたらいいの?』
「とりあえずティアが作ったお菓子が怪しい。まずはそれを辞めさせないと」
『……でも、学園に行けば私たちの言うことは聞いて貰えないわ』
「そうだね。……それにバロンもきっと、同じ症状が出ているはず」
『そんな……バロンまで……!』
そう言うと急に歩き始めるリリア。
「どこ行くの?」
『そんなのバロンのとこに決まってる!』
「バカなの?こんな時間に行っても会ってすらもらえないよ」
『だからって……!!』
そう言うリリアの瞳には薄っすらと涙が浮かんでいた。
「とりあえず、テオドール先生に電話で伝えよう。なにか調べてくれるかも」
『わかった……』
そう言うとリリアはテオドールに電話をしに向かった。
しばらくして戻ってきたリリアは、神妙な顔をして言った。
『明日テオドールの屋敷で、カイトとバロンを……拘束するって』
「……そっか。これはおそらくティアの呪いかなんかだろう。ティアと離すためには……それしかないね」
『うん……』
そしてその日はそのままリアムと別れた。
「リリア様、大丈夫ですか?」
ベラはリリアの身の回りの世話をしながら、不安げなリリアを気遣った。
『ベラ、ありがとう。大丈夫よ。』
「いえ、それよりリリア様見てください。このお花とっても綺麗ですよ」
そう言って花瓶の水を取り替えるベラ。
『本当ね』
リリアがそう微笑むと、ベラは
「はい!」
と大きな声で返事をし、そして花瓶を持った手を滑らせてしまった。
「あっ!!」
ガッシャーンーー
と音を立て割れる花瓶。花瓶からは水が流れ出す。
「も、申し訳ありません!」
『大丈夫?怪我はしてない?』
「はい……」
そう言うとすぐに花瓶の片付けを始めるベラ。
ベラが失敗をするのはよくあることだ。リリアはベラに怪我が無いと分かれば気にも止めず、そこから視線を外し、考え事をはじめた。
そして次の日、リリアはまだはやい早朝から学園に向かった。
早く着きすぎた……そう思ったが、リアムはもうすでに来て、準備をしていた。
『早いわね。おはよう』
「おはよ。ちゃんと寝れた?」
リアムがリリアの身体の心配をするなんて珍しい。リリアが少し驚いた顔でリアムを見つめれば、リアムはその視線に失礼だと言わんばかりに、不満げな表情を向けた。
「なに、せっかく心配してあげてるのに」
『ありがとう、リアム。いつも一緒にいてくれて。本当感謝してる』
そう真剣な眼差しで伝えるリリアに、リアムは頰を赤く染め、不機嫌そうな顔でそっぽを向いた。
「別に、そんなに大袈裟に感謝しろだなんて言ってない……」
『ふふふ、照れてるの〜?顔赤いよ〜?』
そうリアムのほっぺたを人差し指でツンツンとつついていると、そこに不機嫌そうなバロンが現れた。
「そこどいてくれる?」
その冷たい声に一瞬で現実に帰るリリア。
(そうだ……、バロンをティアから取り戻さなければ)
バロンの姿を見れば、カイト同様げっそりと痩せてしまったのが見て取れる。
『バロン……』
「なに?」
バロンはリリアに向けて冷たい視線を送る。変わり果ててしまった姿にリリアは言葉を詰まらせた。
『あ……あのね、私たちと一緒に来て欲しいの』
「なんで?」
『えっと……、それは』
「ティアが連れてくるように言ってるんだ」
「ティアが?」
その言葉を聞いて、少し機嫌を直したバロン。
そんなバロンを見てリリアは心が痛んだが、すぐに気を取り直し、バロンを連れテオドールの元に向かった。
テオドールにバロンを引き渡せば、テオドールはバロンを自分の屋敷に連れて行った。そしてカイトも同様にテオドールの屋敷に連れていくと、テオドールは地下にある部屋にカイトとバロンを1人ずつ閉じ込めた。
テオドールはリリアとリアムを集め、これからのことについて話し合いをした。
「これでしばらくは聖女との接触を止められるだろう。だが、問題はこれからだ。聖女のお菓子を辞めさせたとしても、今のまま他のものを食べなければこのまま餓死をしてしまうだろう」
『……ティアの作ったお菓子を食べなければ、カイトとバロンは前のように戻るんだよね?』
「それはわからないがあのまま食べさせるわけにはいかない。それは確かだろう」
「心の音をきくと、だいぶ心が蝕まれている。これで落ち着いてくれるといいけど……」
「今日はとりあえず様子を見ることにしよう。お前たちはここにいろ。聖女が接触してくるかもしれんからな」
『わかった』
「そうだね」
そう言い、テオドールは学園に戻って行った。
残された2人は、カイトとバロンの様子を見に行った。
『カイト、これ朝ごはん。食べて?』
「リリア……」
リリアを眺めそう呟くきり、何も話さないカイト。出された料理に手をつけることもなく、水すらも飲まないカイトに2人は心配の表情を向けた。
そして次に2人はバロンの元に料理を持っていった。
『バロン、ご飯だよ。食べて?』
そう言えば
「いらない。ティアの作ったもの以外食べたく無い」
そう強い言葉で言い放つバロン。
カイトに比べ、バロンは以前より気性が荒くなり、リリアへの当たりが強くなっている。
鋭い瞳で睨まれ、リリアは困惑をしていた。
「たぶん甘いものが好きなバロンだから、カイトよりも聖女の作ったお菓子をよく食べたんじゃないかな。だから症状がカイトより……」
そう悲しそうな顔でバロンを見つめるリアム。
そんなリアムを見て、リリアは
『大丈夫よ……!バロンはそんなに弱くないんだから』
まるで自分に言い聞かせるように呟いた。
そしてそのまま夜を迎えた。テオドールが屋敷に戻り、しばらく経った頃、カイトとバロンが苦しそうに叫び始めた。
「ティアの!ティアのお菓子をくれ!!」
そう大声で怒鳴るバロン。
隣の部屋ではカイトが
「ティアを呼んでくれ!お願いだ!!」
そう叫んでいるのが聞こえた。
「リリアは危ないから外で待ってて」
リアムはリリアにそう伝えると、テオドールと共に部屋に入って行った。
(バロンもカイトも……、どうしちゃったの?もう……どうしたらいいのかわからないよ……!)
しばらくして、テオドールは部屋に医者を呼びつけた。リリアが外で待っていると、2人の叫び声で騒がしかった部屋は、急に静かになった。
何があったのだろうと思い、部屋のドアに手を掛けたリリア。だが、それと同じタイミングで、部屋から出てきたテオドールにぶつかってしまう。
『痛っ……』
「ドアの前でボーッとするな。危ないだろ」
そう冷たくあしらわれるリリアは苛立ちを感じたが、すぐにそんな場合じゃないと気を引き締めた。
『ねえ、カイトは?バロンは?大丈夫なの??』
矢継ぎ早に聞くリリアに、テオドールは言った。
「大丈夫だ。暴れていたから薬で眠らせただけだ。そして明らかに栄養不足だったから点滴を繋いでおいた。これでしばらくは大丈夫だろう」
時刻は既に深夜0時を回っていたーー……。
(リリアの物語)
リリアがリアムと一緒にお城に戻ると、リリア専属のメイド、ベラが急いで走り寄ってきた。
ベラは黒いサラサラとした肩までの髪に、意志の強そうな瞳を持ったメイドだ。
歳はリリアよりも1つ下だが、幼い頃からリリアの世話係をしていたこともあり、2人はとても仲が良い。そんなベラの慌てた様子に、リリアは何があったのかと足早に問いただす。
『ベラ、どうしたの?』
「リリア様!カイト様が……」
その言葉にリリアを送りにきたリアムも反応をした。
「カイトがどうしたの?」
「カイト様の様子がおかしいのです……」
「すぐに案内して!」
リアムがそう言えば、ベラはすぐにカイトの元へと案内をしてくれた。カイトの部屋の前では、執事のウォルターが不安げな顔で中の様子を伺っていた。
『ウォルター。カイトの様子は?』
「リリア様。それがここ1週間ほどまともな食事を取っておらず、先ほどもお料理を用意したのですがいらないと返されてしまい……」
『カイトが?』
そんなことは今まで一度だってなかった。カイトは誰かのしてくれたことに対し、人1番感謝をするタイプだ。だから今まで料理を残す事も、ましてや用意してくれた食事に手をつけないことなんて、今までのカイトからは想像もできなかった。
リリアはドンドンとドアを叩くと、返事も待たずにカイトの部屋に入っていく。
まともな会話は1週間ぶりだろうか。同じ家にいても最近は距離が空きすぎて、カイトの変化にも気づかなかった。
『カイト!』
「……リリア。悪いけど出て行ってくれ」
そう言うカイトの瞳には覇気がなく、ただ虚な瞳でリリアを見つめるだけ。
『どうしちゃったの?そんなに痩せこけて』
人間がたった1週間でこんなに痩せこけるなんて、どう考えてもおかしい。そう思ったリリアは、カイトを問い詰める。
「別に。ただ食欲が出ないだけだ」
「カイト、今日何を食べた?」
「今日はティアの作ったマドレーヌは食べたな」
「じゃあ、昨日は?」
「昨日はティアの作ったケーキを食べたよ」
「それだけ?」
「あぁ」
「リリア、ちょっと外で話そう」
そう言うとリアムは、リリアを連れ、外に出た。
『カイト、大丈夫かしら……』
「……カイトは、たぶん悪魔のようなものに精神を蝕まれている。」
『悪魔?』
「うん。カイトからは、なんだか酷く濁った音がするんだ」
『……どうしたらいいの?』
「とりあえずティアが作ったお菓子が怪しい。まずはそれを辞めさせないと」
『……でも、学園に行けば私たちの言うことは聞いて貰えないわ』
「そうだね。……それにバロンもきっと、同じ症状が出ているはず」
『そんな……バロンまで……!』
そう言うと急に歩き始めるリリア。
「どこ行くの?」
『そんなのバロンのとこに決まってる!』
「バカなの?こんな時間に行っても会ってすらもらえないよ」
『だからって……!!』
そう言うリリアの瞳には薄っすらと涙が浮かんでいた。
「とりあえず、テオドール先生に電話で伝えよう。なにか調べてくれるかも」
『わかった……』
そう言うとリリアはテオドールに電話をしに向かった。
しばらくして戻ってきたリリアは、神妙な顔をして言った。
『明日テオドールの屋敷で、カイトとバロンを……拘束するって』
「……そっか。これはおそらくティアの呪いかなんかだろう。ティアと離すためには……それしかないね」
『うん……』
そしてその日はそのままリアムと別れた。
「リリア様、大丈夫ですか?」
ベラはリリアの身の回りの世話をしながら、不安げなリリアを気遣った。
『ベラ、ありがとう。大丈夫よ。』
「いえ、それよりリリア様見てください。このお花とっても綺麗ですよ」
そう言って花瓶の水を取り替えるベラ。
『本当ね』
リリアがそう微笑むと、ベラは
「はい!」
と大きな声で返事をし、そして花瓶を持った手を滑らせてしまった。
「あっ!!」
ガッシャーンーー
と音を立て割れる花瓶。花瓶からは水が流れ出す。
「も、申し訳ありません!」
『大丈夫?怪我はしてない?』
「はい……」
そう言うとすぐに花瓶の片付けを始めるベラ。
ベラが失敗をするのはよくあることだ。リリアはベラに怪我が無いと分かれば気にも止めず、そこから視線を外し、考え事をはじめた。
そして次の日、リリアはまだはやい早朝から学園に向かった。
早く着きすぎた……そう思ったが、リアムはもうすでに来て、準備をしていた。
『早いわね。おはよう』
「おはよ。ちゃんと寝れた?」
リアムがリリアの身体の心配をするなんて珍しい。リリアが少し驚いた顔でリアムを見つめれば、リアムはその視線に失礼だと言わんばかりに、不満げな表情を向けた。
「なに、せっかく心配してあげてるのに」
『ありがとう、リアム。いつも一緒にいてくれて。本当感謝してる』
そう真剣な眼差しで伝えるリリアに、リアムは頰を赤く染め、不機嫌そうな顔でそっぽを向いた。
「別に、そんなに大袈裟に感謝しろだなんて言ってない……」
『ふふふ、照れてるの〜?顔赤いよ〜?』
そうリアムのほっぺたを人差し指でツンツンとつついていると、そこに不機嫌そうなバロンが現れた。
「そこどいてくれる?」
その冷たい声に一瞬で現実に帰るリリア。
(そうだ……、バロンをティアから取り戻さなければ)
バロンの姿を見れば、カイト同様げっそりと痩せてしまったのが見て取れる。
『バロン……』
「なに?」
バロンはリリアに向けて冷たい視線を送る。変わり果ててしまった姿にリリアは言葉を詰まらせた。
『あ……あのね、私たちと一緒に来て欲しいの』
「なんで?」
『えっと……、それは』
「ティアが連れてくるように言ってるんだ」
「ティアが?」
その言葉を聞いて、少し機嫌を直したバロン。
そんなバロンを見てリリアは心が痛んだが、すぐに気を取り直し、バロンを連れテオドールの元に向かった。
テオドールにバロンを引き渡せば、テオドールはバロンを自分の屋敷に連れて行った。そしてカイトも同様にテオドールの屋敷に連れていくと、テオドールは地下にある部屋にカイトとバロンを1人ずつ閉じ込めた。
テオドールはリリアとリアムを集め、これからのことについて話し合いをした。
「これでしばらくは聖女との接触を止められるだろう。だが、問題はこれからだ。聖女のお菓子を辞めさせたとしても、今のまま他のものを食べなければこのまま餓死をしてしまうだろう」
『……ティアの作ったお菓子を食べなければ、カイトとバロンは前のように戻るんだよね?』
「それはわからないがあのまま食べさせるわけにはいかない。それは確かだろう」
「心の音をきくと、だいぶ心が蝕まれている。これで落ち着いてくれるといいけど……」
「今日はとりあえず様子を見ることにしよう。お前たちはここにいろ。聖女が接触してくるかもしれんからな」
『わかった』
「そうだね」
そう言い、テオドールは学園に戻って行った。
残された2人は、カイトとバロンの様子を見に行った。
『カイト、これ朝ごはん。食べて?』
「リリア……」
リリアを眺めそう呟くきり、何も話さないカイト。出された料理に手をつけることもなく、水すらも飲まないカイトに2人は心配の表情を向けた。
そして次に2人はバロンの元に料理を持っていった。
『バロン、ご飯だよ。食べて?』
そう言えば
「いらない。ティアの作ったもの以外食べたく無い」
そう強い言葉で言い放つバロン。
カイトに比べ、バロンは以前より気性が荒くなり、リリアへの当たりが強くなっている。
鋭い瞳で睨まれ、リリアは困惑をしていた。
「たぶん甘いものが好きなバロンだから、カイトよりも聖女の作ったお菓子をよく食べたんじゃないかな。だから症状がカイトより……」
そう悲しそうな顔でバロンを見つめるリアム。
そんなリアムを見て、リリアは
『大丈夫よ……!バロンはそんなに弱くないんだから』
まるで自分に言い聞かせるように呟いた。
そしてそのまま夜を迎えた。テオドールが屋敷に戻り、しばらく経った頃、カイトとバロンが苦しそうに叫び始めた。
「ティアの!ティアのお菓子をくれ!!」
そう大声で怒鳴るバロン。
隣の部屋ではカイトが
「ティアを呼んでくれ!お願いだ!!」
そう叫んでいるのが聞こえた。
「リリアは危ないから外で待ってて」
リアムはリリアにそう伝えると、テオドールと共に部屋に入って行った。
(バロンもカイトも……、どうしちゃったの?もう……どうしたらいいのかわからないよ……!)
しばらくして、テオドールは部屋に医者を呼びつけた。リリアが外で待っていると、2人の叫び声で騒がしかった部屋は、急に静かになった。
何があったのだろうと思い、部屋のドアに手を掛けたリリア。だが、それと同じタイミングで、部屋から出てきたテオドールにぶつかってしまう。
『痛っ……』
「ドアの前でボーッとするな。危ないだろ」
そう冷たくあしらわれるリリアは苛立ちを感じたが、すぐにそんな場合じゃないと気を引き締めた。
『ねえ、カイトは?バロンは?大丈夫なの??』
矢継ぎ早に聞くリリアに、テオドールは言った。
「大丈夫だ。暴れていたから薬で眠らせただけだ。そして明らかに栄養不足だったから点滴を繋いでおいた。これでしばらくは大丈夫だろう」
時刻は既に深夜0時を回っていたーー……。