1
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
.
ある日、カイトとリリアはバロンの家に向かっていた。
今日の為にと、お城の専属シェフと共に練習をしたアップルパイを持って、リリアの口元が緩む。
「リリィ、なんだか嬉しそうだね」
『もちろんよ。この日のためにシェフとたくさんアップルパイの練習をしたんだから!早くカイトとバロンに食べてほしいな〜』
「それは楽しみだね。バロンが喜ぶ顔が目に浮かぶよ」
カイトはそう微笑むと、馬車の中から窓の外を眺めた。
馬車は予定よりもかなり早く進み、予程していた時刻よりも30分ほど早く着いた。早速、執事とともにバロンの元へと向かえば、バロンは剣術の練習をしていた。
普段はどこかふわふわとした可愛らしい少年だが、剣を持ち果敢に攻めていく姿は、とてもこの前のバロンからは想像がつかない。
「バロンは本当に剣が好きなんだね。なんだかとても生き生きしている!」
『この前のバロンとはまるで別人ね』
そんな姿をしばらく見ていれば、こちらに気付いたのかバロンがかけてやってきた。
「カイト!リリア!来てたのなら声をかけてくれれば良かったのに」
「ごめんごめん。君があまりにも真剣に練習していたから」
『うん。すごく素敵だったわよ!』
「ほんと?ありがとう」
「ところで今日は、リリィがアップルパイを焼いてきてくれたんだ。」
「え!ほんとに!?すっごい楽しみ!ちょうどお腹空いてた頃だし、はやく食べたいな〜」
「じゃあ、執事にお茶の準備をして貰おう。」
ところ変わって〇〇家の中庭。
まるで森をそのまま切り取ったかのような緑豊かなこの場所には、美しい花たちが咲き乱れている。
3人は、その中心部に置かれたテーブルとイスに座り、お茶の用意を待っていた。
『このお庭、本当に素敵ね!』
「そうでしょ?僕この場所がお気に入りなんだ。」
「本当に、まるで森の中にいるようだね」
「冬になると、辺り一面にアングレカムの花が咲き乱れるんだよ」
『へぇ〜、アングレカムが…』
「それに!この場所はね……ず〜っと昔のお爺さまの、とっても大切な場所に繋がる、隠し扉が隠されているんだ!」
そう言って楽しそうにクスクスと笑うバロン。
「へぇ〜!なんだか、ワクワクするね。もう見つけたのかい?」
「それがいくら探しても全然見つからないんだよね〜。」
「そうなのか。気になるな……」
『大切な場所かぁ〜、どんなところなのかしら……』
「う〜ん……。きっと宝物が隠されてるんだよ!」
『宝物?』
「うん。爺さまは剣士だったから、剣とか!」
『剣かぁ〜…。』
「ははは、リリィはあまり剣に興味が無いみたいだね」
『うーん、可愛いお人形や素敵なお洋服がたくさんあるほうがいいわ』
「女の子だもんね」
バロンはそんなリリアを見てクスクスと笑った。
『それより、はやくアップルパイ食べようよ!せっかく温めてくれたのに冷めちゃうよ?』
いつのまにか目の前に置かれていたアップルパイと紅茶を眺め、リリアは2人を急かした。
「そうだったね。ごめんごめん。」
「いい匂い〜。いただきま〜す」
バロンは大きな口でアップルパイを頬張る。
その瞬間、大きな瞳を輝かせるバロン。そのまま両手で頰を覆い、幸せそうに瞳を閉じた。
「ん〜〜!美味しい!!」
そんなバロンの姿を見つめ、カイトとリリアは顔を見合わせて笑った。
「え、なんで2人とも笑ってるの〜??」
「いや、なんでもないよ。それよりそんなに美味しかったのかい?」
「うん!僕、こんなに美味しいアップルパイ初めて食べたよ」
「そうだろ?リリィの作るアップルパイは特別に美味しいんだ」
『ふふふ、2人とも大袈裟過ぎ!』
「だって本当に美味しいんだもん!ねぇ、また今度も作ってくれる??」
『もちろんいいわよ』
「やったぁ〜」
そう言って、にっこりと笑う姿はとても可愛らしかった。
アップルパイを食べ終えると3人は庭の探索をした。
もちろんバロンのおじいさまの隠した、隠し扉を見つけるために。
「それにしてもここの庭すごい広いね」
「そのまま森と繋がっているからね〜。でもあんまり森の方に行ったら危ないよ?」
「へぇ〜…、森と繋がってるんだ。……ところで、リリィの姿がさっきから見えないけど?」
「え?リリアならさっきそこで……」
と見つめる先にはもう誰もいない。
「………どうしよう。嫌な予感がする」
「むしろ、嫌な予感しかしないよ」
そう言うと、森に繋がる道に向けて一目散に走る2人。
「リリア〜」
「リリィ〜」
大きな声で叫ぶもののリリアは一向に見当たらない。
気持ちばかりが焦っていく……。
しばらく進むと道は二手に分かれていた。
「リリィ、どっちに行ったんだろ……」
「1つはこのまま僕の家に戻る道、もう一つは森の奥深くに繋がる道。僕もこの先にはまだ行ったことがないんだ……」
「そうなのか……。そのままバロンの家に向かってくれていればいいけど」
「そうだね……。僕が森へ向かう道を進むから、カイトは家に向かう道を進んで?」
「え!だって、この先危ないかもしれないんだろ?1人じゃ危ないよ」
「でもこのままリリアが見つからないと……。もうすぐ夕暮れになる。夜の森は夜行性の動物が動き出す。昼の森とは全然違う」
「たしかにそうだけど……。じゃあ、僕も一緒に森に向かう道を進むよ。」
「だめだよ。もしリリアが家に戻っていた場合、僕らそれを知らずにどんどん奥に進んでいくことになる」
「……そっか。わかった。僕はバロンの家に向かう。リリィがいてもいなくても、確認したらすぐにそっちに向かうよ」
「うん!よろしく。じゃ、またあとで」
そう言って2人は別れた。
ずんずんと森への道を歩いていくバロンは、ふとある事に気がついた。
「あれは……、もしかして……」
バロンの視線の先には、女性用の靴らしきもの……
急いで近づいてみれば、それはピンク色の子供用の靴だった。
「これは、リリアの……?」
こんな森に誰か他の子供が入り込むなど、到底考えられない。そう思い、バロンは歩く足を早めた。
「リリア〜。いないの〜?返事してよ〜」
そう大声で呼ぶものの依然としてリリアの声は聞こえない……。
(なんか、おかしいな……)
ここまでの道は、先程カイトと別れた二手道以外は、迷う必要のないまっすぐな道。でもこんなに森の奥深くまで、たった7歳の女の子が1人で歩いてくるだろうか……。迷子になったとしてもUターンをして歩いて帰ればいいだけだ。なのに、どうしてこんな森の奥深くにリリアの靴があるのだろう……。
何故かわからないが嫌な予感がバロンを襲った。
するとーー
バサバサッ……!
鳥の羽ばたく音とともに1人の少女の叫び声が聞こえた
「きゃーーー!誰かーーー!!」
急いで声の方に走り出すバロン。
走り出したその先には、大勢のサルの姿ーー……
そして、そのサルたちに囲まれるように、中央でうずくまるリリアの姿があった。
ある日、カイトとリリアはバロンの家に向かっていた。
今日の為にと、お城の専属シェフと共に練習をしたアップルパイを持って、リリアの口元が緩む。
「リリィ、なんだか嬉しそうだね」
『もちろんよ。この日のためにシェフとたくさんアップルパイの練習をしたんだから!早くカイトとバロンに食べてほしいな〜』
「それは楽しみだね。バロンが喜ぶ顔が目に浮かぶよ」
カイトはそう微笑むと、馬車の中から窓の外を眺めた。
馬車は予定よりもかなり早く進み、予程していた時刻よりも30分ほど早く着いた。早速、執事とともにバロンの元へと向かえば、バロンは剣術の練習をしていた。
普段はどこかふわふわとした可愛らしい少年だが、剣を持ち果敢に攻めていく姿は、とてもこの前のバロンからは想像がつかない。
「バロンは本当に剣が好きなんだね。なんだかとても生き生きしている!」
『この前のバロンとはまるで別人ね』
そんな姿をしばらく見ていれば、こちらに気付いたのかバロンがかけてやってきた。
「カイト!リリア!来てたのなら声をかけてくれれば良かったのに」
「ごめんごめん。君があまりにも真剣に練習していたから」
『うん。すごく素敵だったわよ!』
「ほんと?ありがとう」
「ところで今日は、リリィがアップルパイを焼いてきてくれたんだ。」
「え!ほんとに!?すっごい楽しみ!ちょうどお腹空いてた頃だし、はやく食べたいな〜」
「じゃあ、執事にお茶の準備をして貰おう。」
ところ変わって〇〇家の中庭。
まるで森をそのまま切り取ったかのような緑豊かなこの場所には、美しい花たちが咲き乱れている。
3人は、その中心部に置かれたテーブルとイスに座り、お茶の用意を待っていた。
『このお庭、本当に素敵ね!』
「そうでしょ?僕この場所がお気に入りなんだ。」
「本当に、まるで森の中にいるようだね」
「冬になると、辺り一面にアングレカムの花が咲き乱れるんだよ」
『へぇ〜、アングレカムが…』
「それに!この場所はね……ず〜っと昔のお爺さまの、とっても大切な場所に繋がる、隠し扉が隠されているんだ!」
そう言って楽しそうにクスクスと笑うバロン。
「へぇ〜!なんだか、ワクワクするね。もう見つけたのかい?」
「それがいくら探しても全然見つからないんだよね〜。」
「そうなのか。気になるな……」
『大切な場所かぁ〜、どんなところなのかしら……』
「う〜ん……。きっと宝物が隠されてるんだよ!」
『宝物?』
「うん。爺さまは剣士だったから、剣とか!」
『剣かぁ〜…。』
「ははは、リリィはあまり剣に興味が無いみたいだね」
『うーん、可愛いお人形や素敵なお洋服がたくさんあるほうがいいわ』
「女の子だもんね」
バロンはそんなリリアを見てクスクスと笑った。
『それより、はやくアップルパイ食べようよ!せっかく温めてくれたのに冷めちゃうよ?』
いつのまにか目の前に置かれていたアップルパイと紅茶を眺め、リリアは2人を急かした。
「そうだったね。ごめんごめん。」
「いい匂い〜。いただきま〜す」
バロンは大きな口でアップルパイを頬張る。
その瞬間、大きな瞳を輝かせるバロン。そのまま両手で頰を覆い、幸せそうに瞳を閉じた。
「ん〜〜!美味しい!!」
そんなバロンの姿を見つめ、カイトとリリアは顔を見合わせて笑った。
「え、なんで2人とも笑ってるの〜??」
「いや、なんでもないよ。それよりそんなに美味しかったのかい?」
「うん!僕、こんなに美味しいアップルパイ初めて食べたよ」
「そうだろ?リリィの作るアップルパイは特別に美味しいんだ」
『ふふふ、2人とも大袈裟過ぎ!』
「だって本当に美味しいんだもん!ねぇ、また今度も作ってくれる??」
『もちろんいいわよ』
「やったぁ〜」
そう言って、にっこりと笑う姿はとても可愛らしかった。
アップルパイを食べ終えると3人は庭の探索をした。
もちろんバロンのおじいさまの隠した、隠し扉を見つけるために。
「それにしてもここの庭すごい広いね」
「そのまま森と繋がっているからね〜。でもあんまり森の方に行ったら危ないよ?」
「へぇ〜…、森と繋がってるんだ。……ところで、リリィの姿がさっきから見えないけど?」
「え?リリアならさっきそこで……」
と見つめる先にはもう誰もいない。
「………どうしよう。嫌な予感がする」
「むしろ、嫌な予感しかしないよ」
そう言うと、森に繋がる道に向けて一目散に走る2人。
「リリア〜」
「リリィ〜」
大きな声で叫ぶもののリリアは一向に見当たらない。
気持ちばかりが焦っていく……。
しばらく進むと道は二手に分かれていた。
「リリィ、どっちに行ったんだろ……」
「1つはこのまま僕の家に戻る道、もう一つは森の奥深くに繋がる道。僕もこの先にはまだ行ったことがないんだ……」
「そうなのか……。そのままバロンの家に向かってくれていればいいけど」
「そうだね……。僕が森へ向かう道を進むから、カイトは家に向かう道を進んで?」
「え!だって、この先危ないかもしれないんだろ?1人じゃ危ないよ」
「でもこのままリリアが見つからないと……。もうすぐ夕暮れになる。夜の森は夜行性の動物が動き出す。昼の森とは全然違う」
「たしかにそうだけど……。じゃあ、僕も一緒に森に向かう道を進むよ。」
「だめだよ。もしリリアが家に戻っていた場合、僕らそれを知らずにどんどん奥に進んでいくことになる」
「……そっか。わかった。僕はバロンの家に向かう。リリィがいてもいなくても、確認したらすぐにそっちに向かうよ」
「うん!よろしく。じゃ、またあとで」
そう言って2人は別れた。
ずんずんと森への道を歩いていくバロンは、ふとある事に気がついた。
「あれは……、もしかして……」
バロンの視線の先には、女性用の靴らしきもの……
急いで近づいてみれば、それはピンク色の子供用の靴だった。
「これは、リリアの……?」
こんな森に誰か他の子供が入り込むなど、到底考えられない。そう思い、バロンは歩く足を早めた。
「リリア〜。いないの〜?返事してよ〜」
そう大声で呼ぶものの依然としてリリアの声は聞こえない……。
(なんか、おかしいな……)
ここまでの道は、先程カイトと別れた二手道以外は、迷う必要のないまっすぐな道。でもこんなに森の奥深くまで、たった7歳の女の子が1人で歩いてくるだろうか……。迷子になったとしてもUターンをして歩いて帰ればいいだけだ。なのに、どうしてこんな森の奥深くにリリアの靴があるのだろう……。
何故かわからないが嫌な予感がバロンを襲った。
するとーー
バサバサッ……!
鳥の羽ばたく音とともに1人の少女の叫び声が聞こえた
「きゃーーー!誰かーーー!!」
急いで声の方に走り出すバロン。
走り出したその先には、大勢のサルの姿ーー……
そして、そのサルたちに囲まれるように、中央でうずくまるリリアの姿があった。