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ジャック・カルロイは、動物の襲撃を抑え、動物王との協定を確約したことを称され、この国の王として崇められた。
ウィリアム・キャンベルはその腕を認められ、この国を守る第一騎士として名を馳せることとなる。
動物の襲撃も無くなり、人々の平和を取り戻したジャック。人々と動物たちを守りぬくと言う、重大な任務を追いながらも、天界へ戻ってしまった天使・ミラへの恋心を忘れられずにいた。
毎日国の為に必死に動きながら、夜になればミラを想い、祈りを捧げるジャック。
その姿を天界から眺め、天使・ミラは悩んでいた。
初めて間近で見た人間。
動物王のために涙を流し、人々と動物達のことを考え、白髪になるほど悩んでしまう心優しい青年。
そして勇ましく、命を賭けて約束を守ると言った姿が今でもミラの心に深く焼きついていた。
ミラは、幾日も幾日も天界の上からジャックを眺めては、はぁ。とため息をついた。
そしてある日、ミラは同じ天使であるアリアに相談をした。
「わたし、恋をしてしまったの。」
アリアはミラの大親友だ。
天使の中でも優秀なミラとは違い、アリアはいつもドジばかりして、周りを困らせている。
アリアの中でミラは特別だった。優秀で優しいミラは、まるでアリアのお守り係と、陰で噂をされるほどに、いつも失敗ばかりのアリアを助けてくれていた。
そんな大親友の恋を応援しないわけがない。
「がんばって!私どんな恋でも応援するわ!」
そう……。その一言で、ミラは天界から地上に降りることを選んだのだ。
神の命令では無い、地上への立ち入りは禁止をされている。もし地上に降りるのであれば、天使の羽を奪われてしまう……。
だが、それでもーー…
ジャックへの想いが止められなかったのだ。
決心したミラは、天使の自分を捨て、地上に降りることを選んだ。なるべく神に気づかれぬよう、神が他の地域を眺めている時にこっそり逃げ出した。
気づかれる前に急いで、急いでーー……。
だが神はそんなに甘くはなかった。
ミラが地上に着く前に、羽を奪われてしまったのだ。
堕ちていく少女・ミラ。
そのまま地上にぶつかり致命傷の傷を負った。
そこに気付いた人々が集まり、その騒ぎに気づいたジャックが現れた。
ジャックは驚いた。
倒れているのは、あの時動物王と自分を救ってくれた天使ミラではないか。ジャックはミラをすぐに城へ運び、医者を呼んだ。
だが天使の傷を癒やすことのできる医者はいなかった。ジャックは泣いた。無力な自分が悔しくて。
そして、我々の命の恩人であるミラを助けてくれたものには、何でも欲しいもの与えると約束をし、国中の者に尋ねたのである。
しばらくして現れたのは、聖女・ティア。
この少女もまた美しい少女であった。ピンク色のサラサラとなびく髪に、ローズクウォーツのような優しいピンクの瞳。
優しい雰囲気を纏った彼女は、ミラを見ると悲しそうな顔をし、ミラに祈りを捧げた。
するとみるみるとミラは回復をし、意識を取り戻したのだ。
ミラが目を覚ますと聖女・ティアは言った。
「王様、どうか私をあなた様の妃にしてください」
ミラは思った。この人は何を言っているのだろうと。
そして知った。今までの事の成り行きをーー……
ティアは元々、ジャックの妃になりたくて、自分を助けたのだ。頭では理解できたはずなのに、どうしても心はついていかなかった。
羽を奪われてまで地上に降りてきたのに……
神の教えに背いてでもジャックと一緒にいたい、そう思ってやっとの思いでここまできたのに……。
ジャックを愛している。ただ、それだけなのに
どうしてこんなことになってしまったのだろう。
ミラは元はといえば天使だ。だから人を憎む気持ちや、人を羨む醜い気持ちは、元々持っていないはずだった。
だから最初は自分のしてしまった大きな罪を悔やんだ。
神に背き、神の教えに背いたからこそ、翼をもがれ、最愛のジャックすらも他のものに奪われようとしている。
……こんなことになるのならば、いっそのこと聖女に助けられることもなく、ジャックの腕の中で死んでしまいたかった。そう思った。
その想いは次第に大きくなり、
目の前の聖女と名乗る女を見て、思ってしまったのだ。
この女が憎いーー……と。
全てを賭けて、命からがらやって来たこの世界で、命を捨ててでも欲しかったものを、他の女がサラリと盗んでいこうとしているのだ。
天使の心は崩れ堕ちた。そしてその痛みは、ゆっくりと深く根を張る。
だがジャックはそこで聖女に言った。
「僕はミラを愛している。ミラを妃にしたいのだ。
だから、悪いが他の願いに変えてくれないだろうか……」
ミラの澱んだ心は、その一言で報われた。
愛するジャックと同じ気持ちだったのだ。
そして愛するジャックが自分を妃にしたいと申し出てくれている。ミラは泣いて喜んだ。
だが聖女は言い放つ。
「それはできません。私はこの願いのもと、こちらの少女を助けたのです。一国の王としてできない約束をするのはどうなのでしょう。王様として、ご自分の発言には責任を持たれたほうが良いのではないでしょうか」
そう聖女に言われてしまっては、王としては要求を受け入れるしかなかった。
聖女・ティアはジャックと2人の話し合いを希望した。
そしてしばらくの時が経ち、ジャックがミラの元に戻ってきた。ジャックはミラに告げた。
「私は、聖女・ティアと婚約をする。だが私は心から君を愛している。それだけは忘れないでくれ。君は天に戻っておくれ。それが私の唯一の願いだ。」
そう告げられ、ミラは落胆した。いや、落胆という言葉では表せられないほど、醜い感情がミラを襲った。
ーージャックは私を愛している。なのにどうして結ばれないのだろう……。
邪魔をした聖女・ティアが憎らしかった。憎らしい……そんな言葉では表せないほど、ミラの心の中にはどんよりと暗く醜い感情が覆っていた。
もがれた羽はもう2度と生えてこない。
だからミラはもう2度と天に戻ることは出来ないのだ。
だが、それはジャックには伝えられなかった。
ジャックの顔があまりにも辛そうだったから……。
愛するジャックの最後の願い、本当は叶えてあげたかった。でも、もうそれすらもできなかったのだ。
「神に見捨てられた子……。」
ミラは、神がこの世界に干渉しないのは知っていた。
これも神がわざわざ与えた試練ではないであろう。
そんなことはわかっていたが、神を恨むことでしか、ミラは自分を保つことができなかった。
ミラは、愛するジャックに最後に一つだけお願いをした。
「生まれ変わったらまた、私と恋に落ちてね」
ジャックは泣きそうな瞳でミラを眺め、何度も、何度も頷いた。
「私は君の事をいつまでも想うーー…」
ミラは旅立った。遠い遠い国へ。
だが人間とは違い、年のとらないこの姿。
愛する人を失ったあと、ゆっくりと流れる月日は
あまりにも地獄のような日々だった。
ミラが旅立った後、ジャックとティアは正式に結婚をした。
そしてまだ名前のなかったこの国は、カルティア王国という名がつけられたーー。
さぁ、ここから本当の物語が始まる。
だがその前に読者のみなさまに聞きたいことがある。
さて、今回のヒロインは誰だったのだろう。
神に見捨てられた天使・ミラ?
それとも王と結婚を許された聖女・ティア?
愛してやまないジャックと結ばれることのなかった天使・ミラは、悲劇のヒロインなのだろうか?
そして急にやってきて、簡単にもジャックを奪っていった聖女・ティアは悪役?
いやいや、それとも天使・ミラの話は前置きで、聖女・ティアが本物のヒロイン?
どちらが悪役、どちらがヒロイン……?
さあ、その結果は、
最後まで物語を読んで確かめていただきたい。
本物のヒロインは誰だったのかをーー……。
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ジャック・カルロイは、動物の襲撃を抑え、動物王との協定を確約したことを称され、この国の王として崇められた。
ウィリアム・キャンベルはその腕を認められ、この国を守る第一騎士として名を馳せることとなる。
動物の襲撃も無くなり、人々の平和を取り戻したジャック。人々と動物たちを守りぬくと言う、重大な任務を追いながらも、天界へ戻ってしまった天使・ミラへの恋心を忘れられずにいた。
毎日国の為に必死に動きながら、夜になればミラを想い、祈りを捧げるジャック。
その姿を天界から眺め、天使・ミラは悩んでいた。
初めて間近で見た人間。
動物王のために涙を流し、人々と動物達のことを考え、白髪になるほど悩んでしまう心優しい青年。
そして勇ましく、命を賭けて約束を守ると言った姿が今でもミラの心に深く焼きついていた。
ミラは、幾日も幾日も天界の上からジャックを眺めては、はぁ。とため息をついた。
そしてある日、ミラは同じ天使であるアリアに相談をした。
「わたし、恋をしてしまったの。」
アリアはミラの大親友だ。
天使の中でも優秀なミラとは違い、アリアはいつもドジばかりして、周りを困らせている。
アリアの中でミラは特別だった。優秀で優しいミラは、まるでアリアのお守り係と、陰で噂をされるほどに、いつも失敗ばかりのアリアを助けてくれていた。
そんな大親友の恋を応援しないわけがない。
「がんばって!私どんな恋でも応援するわ!」
そう……。その一言で、ミラは天界から地上に降りることを選んだのだ。
神の命令では無い、地上への立ち入りは禁止をされている。もし地上に降りるのであれば、天使の羽を奪われてしまう……。
だが、それでもーー…
ジャックへの想いが止められなかったのだ。
決心したミラは、天使の自分を捨て、地上に降りることを選んだ。なるべく神に気づかれぬよう、神が他の地域を眺めている時にこっそり逃げ出した。
気づかれる前に急いで、急いでーー……。
だが神はそんなに甘くはなかった。
ミラが地上に着く前に、羽を奪われてしまったのだ。
堕ちていく少女・ミラ。
そのまま地上にぶつかり致命傷の傷を負った。
そこに気付いた人々が集まり、その騒ぎに気づいたジャックが現れた。
ジャックは驚いた。
倒れているのは、あの時動物王と自分を救ってくれた天使ミラではないか。ジャックはミラをすぐに城へ運び、医者を呼んだ。
だが天使の傷を癒やすことのできる医者はいなかった。ジャックは泣いた。無力な自分が悔しくて。
そして、我々の命の恩人であるミラを助けてくれたものには、何でも欲しいもの与えると約束をし、国中の者に尋ねたのである。
しばらくして現れたのは、聖女・ティア。
この少女もまた美しい少女であった。ピンク色のサラサラとなびく髪に、ローズクウォーツのような優しいピンクの瞳。
優しい雰囲気を纏った彼女は、ミラを見ると悲しそうな顔をし、ミラに祈りを捧げた。
するとみるみるとミラは回復をし、意識を取り戻したのだ。
ミラが目を覚ますと聖女・ティアは言った。
「王様、どうか私をあなた様の妃にしてください」
ミラは思った。この人は何を言っているのだろうと。
そして知った。今までの事の成り行きをーー……
ティアは元々、ジャックの妃になりたくて、自分を助けたのだ。頭では理解できたはずなのに、どうしても心はついていかなかった。
羽を奪われてまで地上に降りてきたのに……
神の教えに背いてでもジャックと一緒にいたい、そう思ってやっとの思いでここまできたのに……。
ジャックを愛している。ただ、それだけなのに
どうしてこんなことになってしまったのだろう。
ミラは元はといえば天使だ。だから人を憎む気持ちや、人を羨む醜い気持ちは、元々持っていないはずだった。
だから最初は自分のしてしまった大きな罪を悔やんだ。
神に背き、神の教えに背いたからこそ、翼をもがれ、最愛のジャックすらも他のものに奪われようとしている。
……こんなことになるのならば、いっそのこと聖女に助けられることもなく、ジャックの腕の中で死んでしまいたかった。そう思った。
その想いは次第に大きくなり、
目の前の聖女と名乗る女を見て、思ってしまったのだ。
この女が憎いーー……と。
全てを賭けて、命からがらやって来たこの世界で、命を捨ててでも欲しかったものを、他の女がサラリと盗んでいこうとしているのだ。
天使の心は崩れ堕ちた。そしてその痛みは、ゆっくりと深く根を張る。
だがジャックはそこで聖女に言った。
「僕はミラを愛している。ミラを妃にしたいのだ。
だから、悪いが他の願いに変えてくれないだろうか……」
ミラの澱んだ心は、その一言で報われた。
愛するジャックと同じ気持ちだったのだ。
そして愛するジャックが自分を妃にしたいと申し出てくれている。ミラは泣いて喜んだ。
だが聖女は言い放つ。
「それはできません。私はこの願いのもと、こちらの少女を助けたのです。一国の王としてできない約束をするのはどうなのでしょう。王様として、ご自分の発言には責任を持たれたほうが良いのではないでしょうか」
そう聖女に言われてしまっては、王としては要求を受け入れるしかなかった。
聖女・ティアはジャックと2人の話し合いを希望した。
そしてしばらくの時が経ち、ジャックがミラの元に戻ってきた。ジャックはミラに告げた。
「私は、聖女・ティアと婚約をする。だが私は心から君を愛している。それだけは忘れないでくれ。君は天に戻っておくれ。それが私の唯一の願いだ。」
そう告げられ、ミラは落胆した。いや、落胆という言葉では表せられないほど、醜い感情がミラを襲った。
ーージャックは私を愛している。なのにどうして結ばれないのだろう……。
邪魔をした聖女・ティアが憎らしかった。憎らしい……そんな言葉では表せないほど、ミラの心の中にはどんよりと暗く醜い感情が覆っていた。
もがれた羽はもう2度と生えてこない。
だからミラはもう2度と天に戻ることは出来ないのだ。
だが、それはジャックには伝えられなかった。
ジャックの顔があまりにも辛そうだったから……。
愛するジャックの最後の願い、本当は叶えてあげたかった。でも、もうそれすらもできなかったのだ。
「神に見捨てられた子……。」
ミラは、神がこの世界に干渉しないのは知っていた。
これも神がわざわざ与えた試練ではないであろう。
そんなことはわかっていたが、神を恨むことでしか、ミラは自分を保つことができなかった。
ミラは、愛するジャックに最後に一つだけお願いをした。
「生まれ変わったらまた、私と恋に落ちてね」
ジャックは泣きそうな瞳でミラを眺め、何度も、何度も頷いた。
「私は君の事をいつまでも想うーー…」
ミラは旅立った。遠い遠い国へ。
だが人間とは違い、年のとらないこの姿。
愛する人を失ったあと、ゆっくりと流れる月日は
あまりにも地獄のような日々だった。
ミラが旅立った後、ジャックとティアは正式に結婚をした。
そしてまだ名前のなかったこの国は、カルティア王国という名がつけられたーー。
さぁ、ここから本当の物語が始まる。
だがその前に読者のみなさまに聞きたいことがある。
さて、今回のヒロインは誰だったのだろう。
神に見捨てられた天使・ミラ?
それとも王と結婚を許された聖女・ティア?
愛してやまないジャックと結ばれることのなかった天使・ミラは、悲劇のヒロインなのだろうか?
そして急にやってきて、簡単にもジャックを奪っていった聖女・ティアは悪役?
いやいや、それとも天使・ミラの話は前置きで、聖女・ティアが本物のヒロイン?
どちらが悪役、どちらがヒロイン……?
さあ、その結果は、
最後まで物語を読んで確かめていただきたい。
本物のヒロインは誰だったのかをーー……。
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