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次の日学園に着けば、バロンはリリアの方を向くとこもなくティアの方に向かった。
それを遠目に見つめていれば、今日も聖女様はみんなにクッキーを配っているのが見える。
「リリィ、元気ないね。大丈夫かい?」
カイトがリリアの頭を撫でる。
『カイト……。大丈夫じゃない。』
「昨日のこと聞いたよ?随分辛い思いしたんだね。
でも当たり前だけどさ、僕はいつだってリリィの味方だから」
……カイトがそう言ってから幾日が経っただろう。
カイトは、今ではリリアと話をすることすらなくなってしまった。リリアの隣にいるのはリアムだけ。
『そうか……。聖女はいつの時代もヒロインだもんね。私はきっと悪役令嬢の立ち位置なんだ……。』
「いつにも増してネガティブなこと言うね。」
『だってさ、そばにいてくれるのはもうリアムだけだよ?』
「まぁ、そうだけどさ……」
ここ数日で、事態は悪化した。
ティアがリリアを悪役令嬢に仕立てるべく、様々な罠を仕掛けたのだ。
最初はリリアに中立だった周りも、カイトもいつのまにかみんなティアに加担した。
『そうだよね……。だれも聖女様が嘘をついてるなんて思わないんだよ。きっと。あ〜、リアム〜。どうしよう。泣いちゃいそうだよ〜……』
「あのね、リリア。
リリアがどれだけみんなに嫌われてしまったとしても、僕はリリアのこと、世界で1番大切に思ってるよ?」
その言葉を聞いて、リリアの瞳からは涙が溢れ出した。
『ありがとう、リアム……。』
「うん。」
クラスにいれば、まるでティアを虐める悪役だと言わんばかりに、周りのみんなはリリアを軽蔑する。
今まで王女だからと守られてきたが、王子のカイトがティアの側に付いた、たったそれだけのことでリリアを守るものは何一つと無くなった。
「そうだ!この前テオドール先生が聖女のことで協力してくれるって言ってたんだよね?」
『あぁ、そういえばそんなこと言ってたかも』
「よし。じゃあ、今からテオドール先生のとこ行ってみよう」
そうしてテオドールの元にやってきた2人。
「2人揃ってどうした?ついに聖女のことで協力する気になったか?」
『うん。むしろ私が協力をお願いしにきたのよ。』
「そうか。王女がそんなことを言うだなんて、何かよっぽどのことがあったのか?」
『……』
言い淀むリリアに代わり、リアムが答える。
「カイトが聖女側に付いたんです。」
「なんだと……!もう、そこまで事態は進んでいるのか」
「え?どう言うことですか?テオドール先生はこうなることがわかっていたと言うことですか?」
「まぁ、粗方そうなることは予測はしていた。実は最近聖女について、俺1人で調べていたんだ。」
「聖女について……ですか?」
「あぁ。我が〇〇家の保管している重要な文献を探ったところ、ある重大なことがわかった。」
『重大なこと?』
「聞いて驚くなよ。この国の唯一の聖女は、先代の王妃だ。理由はわからないが、これは機密事項として口外されていない。」
「え?じゃあ、リリアのお祖母様が本物の聖女だったってことですか?」
「そうだ。そして驚くのはそれだけじゃない。その聖女はピンク色の髪にピンクの瞳……。そう、リリア王女にそっくりなんだ。」
『私に?』
「そうだ。」
「でもそれってどう言うことですか?リリアは聖女の力は持っていない」
「それなんだが、先代の王妃に聖女の力が芽生えたのは18歳の誕生日からだったそうだ。だからもしかしたら王女も18になれば覚醒するのかもしれないな」
『……でもそしたらティアは何者なの?聖女は国に1人しか生まれないと聞いたことがあるけど』
「今この学園にいる聖女・ティアが何者かはわからないが、もう一つわかっていることがある。聖女だった先代の王妃の名前はティアだ。」
『え!?もしかして生まれ変わり!?』
「いや、それは無いだろう。恐らくティアという名前はその先代の王妃から勝手に取ったと考える方が無難だ」
「でも、聖女の名前や見た目などは口外されていないはず。それを知っているとなると……」
「そこに関してもまだわからないことばかりだが……。ところでリアムは、何故、聖女になびかない?」
「あぁ……。先生、神判の家系って知っていますか?または神の加護を受けた家系。」
「あぁ。文献では見たことがあるが……、まさか……」
「そうなんです。僕の家系はその血を引いていて、人の嘘がわかるんです。聖女ティアからは、何か……とても不穏な音が聞こえる。」
「そうなのか……。神判の家系と言うことは、リアムも人の心が読めるのか?」
『え!?』
「いえ、僕は次男なので、嘘か本当かを見極められるくらいで、人の心は読めません。家系を継ぐはずの兄は全ての人の心の声が聞こえると言っていましたが、その能力を疎まれ、殺されてしまいました……」
『そう、だったんだ……』
「そうか。」
「はい。それで僕気になっていることがあるのですが……」
「なんだ?」
「聖女がいつも使っているクッキー……、なんだかすごく嫌な感じがするんです。」
『そう言えば前もそう言ってたよね』
「あぁ。なんて言ったら良いのかはわからないんだけど、とにかく食べてはいけない。そう警鐘が鳴るんだ」
「クッキーか……、そう言えばバロンや王子もこの前随分美味しそうに食べていたな。」
『バロン……、甘いもの好きだったから……』
そう呟くリリアの瞳は、悲しみに暮れていた。
(バロンは本当は甘いものは好きじゃ無い。ただリリアが好きだから、甘いものを好きなふりをしていただけ。それを知ったらリリアはどう思うんだろう。
でも今のバロンは、前までのバロンとは別人だ。
聖女と仲良くし始めた頃から……いや、クッキーを食べ始めた頃から……、バロンの音はまるで不協和音のように歪な音が鳴っている)
そんなことを思いながらリアムは、リリアを眺めていたーー……
次の日学園に着けば、バロンはリリアの方を向くとこもなくティアの方に向かった。
それを遠目に見つめていれば、今日も聖女様はみんなにクッキーを配っているのが見える。
「リリィ、元気ないね。大丈夫かい?」
カイトがリリアの頭を撫でる。
『カイト……。大丈夫じゃない。』
「昨日のこと聞いたよ?随分辛い思いしたんだね。
でも当たり前だけどさ、僕はいつだってリリィの味方だから」
……カイトがそう言ってから幾日が経っただろう。
カイトは、今ではリリアと話をすることすらなくなってしまった。リリアの隣にいるのはリアムだけ。
『そうか……。聖女はいつの時代もヒロインだもんね。私はきっと悪役令嬢の立ち位置なんだ……。』
「いつにも増してネガティブなこと言うね。」
『だってさ、そばにいてくれるのはもうリアムだけだよ?』
「まぁ、そうだけどさ……」
ここ数日で、事態は悪化した。
ティアがリリアを悪役令嬢に仕立てるべく、様々な罠を仕掛けたのだ。
最初はリリアに中立だった周りも、カイトもいつのまにかみんなティアに加担した。
『そうだよね……。だれも聖女様が嘘をついてるなんて思わないんだよ。きっと。あ〜、リアム〜。どうしよう。泣いちゃいそうだよ〜……』
「あのね、リリア。
リリアがどれだけみんなに嫌われてしまったとしても、僕はリリアのこと、世界で1番大切に思ってるよ?」
その言葉を聞いて、リリアの瞳からは涙が溢れ出した。
『ありがとう、リアム……。』
「うん。」
クラスにいれば、まるでティアを虐める悪役だと言わんばかりに、周りのみんなはリリアを軽蔑する。
今まで王女だからと守られてきたが、王子のカイトがティアの側に付いた、たったそれだけのことでリリアを守るものは何一つと無くなった。
「そうだ!この前テオドール先生が聖女のことで協力してくれるって言ってたんだよね?」
『あぁ、そういえばそんなこと言ってたかも』
「よし。じゃあ、今からテオドール先生のとこ行ってみよう」
そうしてテオドールの元にやってきた2人。
「2人揃ってどうした?ついに聖女のことで協力する気になったか?」
『うん。むしろ私が協力をお願いしにきたのよ。』
「そうか。王女がそんなことを言うだなんて、何かよっぽどのことがあったのか?」
『……』
言い淀むリリアに代わり、リアムが答える。
「カイトが聖女側に付いたんです。」
「なんだと……!もう、そこまで事態は進んでいるのか」
「え?どう言うことですか?テオドール先生はこうなることがわかっていたと言うことですか?」
「まぁ、粗方そうなることは予測はしていた。実は最近聖女について、俺1人で調べていたんだ。」
「聖女について……ですか?」
「あぁ。我が〇〇家の保管している重要な文献を探ったところ、ある重大なことがわかった。」
『重大なこと?』
「聞いて驚くなよ。この国の唯一の聖女は、先代の王妃だ。理由はわからないが、これは機密事項として口外されていない。」
「え?じゃあ、リリアのお祖母様が本物の聖女だったってことですか?」
「そうだ。そして驚くのはそれだけじゃない。その聖女はピンク色の髪にピンクの瞳……。そう、リリア王女にそっくりなんだ。」
『私に?』
「そうだ。」
「でもそれってどう言うことですか?リリアは聖女の力は持っていない」
「それなんだが、先代の王妃に聖女の力が芽生えたのは18歳の誕生日からだったそうだ。だからもしかしたら王女も18になれば覚醒するのかもしれないな」
『……でもそしたらティアは何者なの?聖女は国に1人しか生まれないと聞いたことがあるけど』
「今この学園にいる聖女・ティアが何者かはわからないが、もう一つわかっていることがある。聖女だった先代の王妃の名前はティアだ。」
『え!?もしかして生まれ変わり!?』
「いや、それは無いだろう。恐らくティアという名前はその先代の王妃から勝手に取ったと考える方が無難だ」
「でも、聖女の名前や見た目などは口外されていないはず。それを知っているとなると……」
「そこに関してもまだわからないことばかりだが……。ところでリアムは、何故、聖女になびかない?」
「あぁ……。先生、神判の家系って知っていますか?または神の加護を受けた家系。」
「あぁ。文献では見たことがあるが……、まさか……」
「そうなんです。僕の家系はその血を引いていて、人の嘘がわかるんです。聖女ティアからは、何か……とても不穏な音が聞こえる。」
「そうなのか……。神判の家系と言うことは、リアムも人の心が読めるのか?」
『え!?』
「いえ、僕は次男なので、嘘か本当かを見極められるくらいで、人の心は読めません。家系を継ぐはずの兄は全ての人の心の声が聞こえると言っていましたが、その能力を疎まれ、殺されてしまいました……」
『そう、だったんだ……』
「そうか。」
「はい。それで僕気になっていることがあるのですが……」
「なんだ?」
「聖女がいつも使っているクッキー……、なんだかすごく嫌な感じがするんです。」
『そう言えば前もそう言ってたよね』
「あぁ。なんて言ったら良いのかはわからないんだけど、とにかく食べてはいけない。そう警鐘が鳴るんだ」
「クッキーか……、そう言えばバロンや王子もこの前随分美味しそうに食べていたな。」
『バロン……、甘いもの好きだったから……』
そう呟くリリアの瞳は、悲しみに暮れていた。
(バロンは本当は甘いものは好きじゃ無い。ただリリアが好きだから、甘いものを好きなふりをしていただけ。それを知ったらリリアはどう思うんだろう。
でも今のバロンは、前までのバロンとは別人だ。
聖女と仲良くし始めた頃から……いや、クッキーを食べ始めた頃から……、バロンの音はまるで不協和音のように歪な音が鳴っている)
そんなことを思いながらリアムは、リリアを眺めていたーー……
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