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4
ティアはすぐに人気者になっていった。下級貴族ではありながらも、圧倒的な聖女の力を持つ彼女は、生徒の中でも一目置かれる存在となった。
それは、彼女の元々の明るさも大いに関係している。誰にでも人懐っこく優しい彼女は、すぐにスクールカースト上位のメイに気に入られ、一緒に行動をするまでになった。
「わぁ〜、聖女様今日も人気だね〜」
そんなことを呑気に言いつつ、リリアの作ったアップルパイを頬張るバロン。
『本当だね〜。って、もう。また口にアップルパイのカス付けてるよ〜!』
そう言ってバロンの口元についたカスを摘むリリア。
「ね〜、こんなとこで何イチャついてるの?」
そんな2人を見て、リアムはため息をつきながら、少し呆れた顔をした。
「いいでしょ〜?」
無邪気に笑うバロンと
『別に、イチャついてないし……』
と照れているリリア。
そんな様子を横目で見て、リアムは思った。
(あー、もう。早くくっついちゃえばいいのに……)
リリアがバロンに恋をしたのはいつだっただろうー……。
きっとそれはどんだけ考えてもわからない。
何か大きな出来事があったわけではなく、ただ変わらない日常の中で、ゆっくりゆっくり沈んでいった恋だから。
いつも会うたびに、リリアの作るアップルパイを褒めてくれるバロン。無邪気なその笑顔に、優しいその声に、可愛らしいその喋り方に……、どんどんリリアは恋焦がれていった。
カイトもその事には薄々と気づいていた。
月日が流れ、リアムと一緒に行動するようになってからも、リリアの恋は変わらず一定の距離を保ったまま。
リリア以外の女の子と特に仲良くすることもなく、かと言ってリリアを特別扱いする事もなく、なかなか気持ちの読めないバロン。
言葉にはしないがカイトもリアムも、リリアの恋をこっそりと応援していた。
「早く行かないと次の授業始まるよ?」
「あ、本当だ〜。次の授業ってなんだっけ〜?」
『次は、スポーツだったわよね』
「そうだよ。今日は男女ペアでバドミントンだって」
『男女ペア!?へぇ〜、そうなんだ〜。』
明らかにバロンを見て誘って欲しそうな雰囲気のリリアを見て、リアムが助け舟を入れる。
「バロンは誰と組むの?」
「え、僕?う〜ん……。リリアは?」
『え!?私は……、ええっと……カイト!カイトと組む!』
せっかくバロンがリリアに聞いてくれたのにも関わらず、焦ってカイトの名前を出すリリアに呆れるリアム。
「え!?」
「そっかぁ〜。じゃあ、僕は誰か余った人にペア組んでもらうよ〜。」
『う、うん。ごめんね』
自分で断っておきながら落胆しているリリアに向かって、こっそりと声をかけるリアム。
「もう、何やってんの。」
『だって……』
文句の一つでも言ってやろうと思ったのに、泣きそうな顔をしているリリアの顔を見て、リアムは口を閉じた。
「ほらほら〜、リリアもリアムも早く行かないと遅れちゃうよ〜」
『う、うん!今行く〜』
ところ変わってここは体育館。
『カイト〜、一緒にペア組も〜』
「すまない、もう決まってしまったんだ」
『え!』
カイトに断られたリリアは、バロンを見つめるがバロンは既に聖女・ティアと組む事が決まっていた
「はぁ。リリア、しょうがない。一緒に組も。」
『しょうがない!?リアム、酷くない?』
「いや、そう言う意味じゃなくて。」
『じゃあ、どう言う意味よ?』
「最初からバロン誘っておけば良かったのに」
『うう……。いや、待って私はリアムでも嬉しいよ?』
「はいはい、そうゆうのいいから。とにかくもっと頑張らないと、誰かさんに取られちゃうよ?」
『誰かさんって……?』
とリアムの視線を追えば、視線の先にはバロンと仲良く話しているティアの姿。
楽しそうに話している2人にショックを受けるリリア。今にも泣いてしまいそうなリリアに焦るリアム。
「ごめん、そんなに気にしなくても大丈夫だって。ほら、リリアのほうがずっと長い間バロンと一緒にいるわけだし」
『こんなに長くいるのに……何も進展ないけどね』
「それは……。大丈夫だって。」
『……』
そしてリリアは複雑な気持ちのまま、スポーツの授業を終えた。
リリアは、授業が終わり、すぐにバロンの元に向かった。
『バロン』
そこにはティアと話に花を咲かせるバロンがいた。
「リリア!どうしたの?」
「あ、王女様!」
『え?一緒に教室まで戻ろうかと思って。あら、聖女様、ごきげんよう。』
「ごめん〜。僕、今からティアにクッキーをご馳走になるんだ〜。」
『そ、そうなんだ。じゃあ、大丈夫よ!』
「あ!良かったら王女様もご一緒にいかがですか?」
『え?私は遠慮しておくわ。ありがとう。』
そう言ってリアムのところに戻れば、リアムは驚いた顔をしていた。
(常にリリアから離れなかったあのバロンが、聖女と一緒にいるだなんて……)
その頃、リリアは放心状態だった。
あのバロンが初めてリリアの誘いを断ったのだ。
(初めて……、バロンに初めて断られた。)
今まで他の女性に興味を持ったことも、これと言ってリリア以外の女性に話しかけに行くこともなかったバロンに、聖女・ティアが現れたことで少しずつ変化が見られていた。
ティアはすぐに人気者になっていった。下級貴族ではありながらも、圧倒的な聖女の力を持つ彼女は、生徒の中でも一目置かれる存在となった。
それは、彼女の元々の明るさも大いに関係している。誰にでも人懐っこく優しい彼女は、すぐにスクールカースト上位のメイに気に入られ、一緒に行動をするまでになった。
「わぁ〜、聖女様今日も人気だね〜」
そんなことを呑気に言いつつ、リリアの作ったアップルパイを頬張るバロン。
『本当だね〜。って、もう。また口にアップルパイのカス付けてるよ〜!』
そう言ってバロンの口元についたカスを摘むリリア。
「ね〜、こんなとこで何イチャついてるの?」
そんな2人を見て、リアムはため息をつきながら、少し呆れた顔をした。
「いいでしょ〜?」
無邪気に笑うバロンと
『別に、イチャついてないし……』
と照れているリリア。
そんな様子を横目で見て、リアムは思った。
(あー、もう。早くくっついちゃえばいいのに……)
リリアがバロンに恋をしたのはいつだっただろうー……。
きっとそれはどんだけ考えてもわからない。
何か大きな出来事があったわけではなく、ただ変わらない日常の中で、ゆっくりゆっくり沈んでいった恋だから。
いつも会うたびに、リリアの作るアップルパイを褒めてくれるバロン。無邪気なその笑顔に、優しいその声に、可愛らしいその喋り方に……、どんどんリリアは恋焦がれていった。
カイトもその事には薄々と気づいていた。
月日が流れ、リアムと一緒に行動するようになってからも、リリアの恋は変わらず一定の距離を保ったまま。
リリア以外の女の子と特に仲良くすることもなく、かと言ってリリアを特別扱いする事もなく、なかなか気持ちの読めないバロン。
言葉にはしないがカイトもリアムも、リリアの恋をこっそりと応援していた。
「早く行かないと次の授業始まるよ?」
「あ、本当だ〜。次の授業ってなんだっけ〜?」
『次は、スポーツだったわよね』
「そうだよ。今日は男女ペアでバドミントンだって」
『男女ペア!?へぇ〜、そうなんだ〜。』
明らかにバロンを見て誘って欲しそうな雰囲気のリリアを見て、リアムが助け舟を入れる。
「バロンは誰と組むの?」
「え、僕?う〜ん……。リリアは?」
『え!?私は……、ええっと……カイト!カイトと組む!』
せっかくバロンがリリアに聞いてくれたのにも関わらず、焦ってカイトの名前を出すリリアに呆れるリアム。
「え!?」
「そっかぁ〜。じゃあ、僕は誰か余った人にペア組んでもらうよ〜。」
『う、うん。ごめんね』
自分で断っておきながら落胆しているリリアに向かって、こっそりと声をかけるリアム。
「もう、何やってんの。」
『だって……』
文句の一つでも言ってやろうと思ったのに、泣きそうな顔をしているリリアの顔を見て、リアムは口を閉じた。
「ほらほら〜、リリアもリアムも早く行かないと遅れちゃうよ〜」
『う、うん!今行く〜』
ところ変わってここは体育館。
『カイト〜、一緒にペア組も〜』
「すまない、もう決まってしまったんだ」
『え!』
カイトに断られたリリアは、バロンを見つめるがバロンは既に聖女・ティアと組む事が決まっていた
「はぁ。リリア、しょうがない。一緒に組も。」
『しょうがない!?リアム、酷くない?』
「いや、そう言う意味じゃなくて。」
『じゃあ、どう言う意味よ?』
「最初からバロン誘っておけば良かったのに」
『うう……。いや、待って私はリアムでも嬉しいよ?』
「はいはい、そうゆうのいいから。とにかくもっと頑張らないと、誰かさんに取られちゃうよ?」
『誰かさんって……?』
とリアムの視線を追えば、視線の先にはバロンと仲良く話しているティアの姿。
楽しそうに話している2人にショックを受けるリリア。今にも泣いてしまいそうなリリアに焦るリアム。
「ごめん、そんなに気にしなくても大丈夫だって。ほら、リリアのほうがずっと長い間バロンと一緒にいるわけだし」
『こんなに長くいるのに……何も進展ないけどね』
「それは……。大丈夫だって。」
『……』
そしてリリアは複雑な気持ちのまま、スポーツの授業を終えた。
リリアは、授業が終わり、すぐにバロンの元に向かった。
『バロン』
そこにはティアと話に花を咲かせるバロンがいた。
「リリア!どうしたの?」
「あ、王女様!」
『え?一緒に教室まで戻ろうかと思って。あら、聖女様、ごきげんよう。』
「ごめん〜。僕、今からティアにクッキーをご馳走になるんだ〜。」
『そ、そうなんだ。じゃあ、大丈夫よ!』
「あ!良かったら王女様もご一緒にいかがですか?」
『え?私は遠慮しておくわ。ありがとう。』
そう言ってリアムのところに戻れば、リアムは驚いた顔をしていた。
(常にリリアから離れなかったあのバロンが、聖女と一緒にいるだなんて……)
その頃、リリアは放心状態だった。
あのバロンが初めてリリアの誘いを断ったのだ。
(初めて……、バロンに初めて断られた。)
今まで他の女性に興味を持ったことも、これと言ってリリア以外の女性に話しかけに行くこともなかったバロンに、聖女・ティアが現れたことで少しずつ変化が見られていた。