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ー勇次郎 sideー
あれから隣の席のミリアちゃんとは
よく話すようになった
「ねぇ、勇次郎くん。最近アイドルの仕事はどう?」
「うーん。夏にライブが決定して、
毎日レッスンで忙しいよ」
「そうなんだぁ。
でも勇次郎くんと愛蔵くんって
いつも息ぴったりだよね」
「はっ!?ありえないよ、あんなやつ」
(ありえない。
よりにもよってあいつと息がぴったりだと?)
「そうなの?え、仲良くないの?」
不思議そうな顔で見つめるミリアちゃん
「ただ、同じユニットなだけ。
連絡先とか知らないし」
「え、連絡先知らないの!?」
ありえないと言った顔の彼女
(別に同じユニットだからって
連絡するわけでもあるまいし)
「うん。必要ない」
はっきり言い切るとミリアちゃんは
「なんだか…勇次郎くんらしいね」
と笑った。
「そうかな…。」
優しく笑う彼女の笑顔に
深くにも胸が熱くなった
そんな気持ちを隠すように僕は
「そこの問題間違ってるよ」
と少し意地悪く笑った
「そこの問題は答え、5だよ。」
「えー…なんでー?」
答えを聞いてもわからない彼女に
「相変わらず数学苦手なんだね」
と、なんだか懐かしくて嬉しくなった
「そういえば、あの時もよく教えてもらってたね」
「そうだね。ミリアちゃん、
あの時いつも教科書忘れてきてたよね」
懐かしい思い出が蘇る。
「うっ…。耳が痛い。
でも勇次郎くん文句一つ言わず
いつも見せてくれてたよね」
「……まぁね。」
中学時代、アイドルを始めた彼女が
女子に嫌がらせを受けているのは知っていた
そのせいで毎日教科書を忘れてくることも。
でも一度も弱音を吐くこともせず
人前で泣くこともなく
いつも笑っている彼女を、僕は
かっこいいと思ったー。
夢のためにがんばる彼女を
とても強い人間だと思った
「私ね、あの時、勇次郎くんのこと
きっと王子様って
こういう人なんだなって思ったんだよ」
「へっ!??」
急にそんなことを言い出す彼女に
きっと真っ赤になっている顔を見られるのが嫌で
「よくそんなこと言って恥ずかしくないね」
ってちょっと不機嫌気味に怒る。
「そういえばあの時もずっと隣の席だったね」
そうだ、あの時こんな日々が続くのだと思っていた
彼女が突然転校するまではー。