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ーミリアsideー
やっとのことで勇次郎くんに声をかける
「勇次郎くん、放課後時間ある?」
緊張のあまり、少し上擦った声。
「…今日はレッスンがあるから
7時過ぎになっちゃうんだけど
それでもよければ大丈夫だよ」
優しい声の勇次郎くん。
「ありがとう。
私も事務所に行かなきゃいけないから
7時頃また連絡するね」
「うん。わかった」
もしかしたら拒否されるかもと
少しだけ怖かった
でも勇次郎くんは、いつも優しい。
放課後、事務所に向かう。
事務所にはDolceのメンバーが先に来ていた。
「ミリアちゃん、おはよう(ございます)」
「みんなおはよー!今日もレッスンがんばってね」
元気な彼らを見てると
私も少し元気が湧いてきた
「目腫れてる…」
私の目を見て呟く沙良くん
「あぁ、ちょっと映画観たら号泣しちゃって」
心を見透かされているようで
沙良くんから目を逸らしてしまう
「…ふぅん。何かあったら言いなよ」
ぶっきらぼうな言葉とは裏腹に
優しい表情の沙良くんに
つい、甘えたくなってしまう
でも、あんなに真面目に
告白してくれた勇次郎くんに失礼だから、
弱い自分に喝を入れる。
「ありがとう。でも大丈夫!」
今日のレッスンは
ダンスとボイストレーニング
心を無にしてレッスンを受ける
レッスンが終わると、
沙良くんが私のことを待っていてくれた
「お疲れ様」
と、持っていた
キャラメルフラペチーノを私に渡す
「あ、ありがとう。
わざわざ買いに行ってくれたの?」
「うん。なんかミリアちゃん元気なかったから」
「そっかぁ…。ありがとう」
「ねぇ、俺じゃだめなの?」
「え?」
「俺、ミリアちゃんのこと
本当に大切にするよ?」
「…うん。ありがとう。
そう言ってもらえるのはすごい嬉しいんだけど…」
沙良くんがショボンとする。
「そっかぁ、アイツに告白でもされた?」
「…え!?なんで?」
「ミリアちゃん、わかりやすいから」
「そんなにわかりやすいかな…。」
「うん。」
「……。」
「…OKするの?」
「…わからない。
でも私の正直な気持ちを伝えなきゃとは思ってる」
「そっかぁ…。」
少し表情の曇る沙良くん
「ねぇ、最後のお願いだけ聞いてくれる?」
「なに??」
「今日、家まで送らせて」
「え、?」
(…正直、勇次郎くんと会う前に、
沙良くんと会っていたと思われたくない。
もし見られたら勇次郎くんのことを
また傷つけちゃうと思う)
「今日は…ごめん
ちょっと大切な用事があって、、」
「ふーん…アイツに会いに行くの?
だからボクが着いてったら邪魔なの?」
「え…。」
「うん。わかった。今日は我慢する
でも次は付き合ってもらうからね」
「…う、うん。ありがとう」
沙良くんって本当無表情なのに
人の気持ちには鋭いんだから…
(あ、もうすぐ7時だ…)
携帯を見ると勇次郎くんから
メッセージが入っていた
(なんだろ…?)
『ミリアちゃん、ごめん!
今日急用ができて行けなくなっちゃった。
ほんとごめん。』
(急用…か、、何かあったのかな?…)
『了解だよっ!忙しいのにごめんね、
また忙しくないとき時間空けてくれたら嬉しいな』
『ほんとに、ごめんね。また連絡するね』
勇次郎くんとの連絡はそこで終わった
見るからにショボンとする私に
沙良くんがこれで一緒に帰れるね、と
家まで送ってくれた。
「沙良くん、わざわざ送ってくれてありがとう」
「うん。…なんかボク頭痛くなっちゃったんだけど
頭痛薬持ってない?」
「あるよー。
じゃあ、用意するからちょっと上がって待ってて」
「おじゃましまーす。」
と沙良くんが家に上がる
頭痛薬と、水を持ってきて
テーブルに突っ伏す沙良くんに渡す
「大丈夫?帰れそう?」
「…帰れない。
って言ったらボクのこと泊めてくれる?」
「え!?それはちょっと困るんだけど…
でも薬が効くまではうちで休んでていいよ」
(頭痛いのにわざわざ送ってくれたんだよね
沙良くんも優しいな…)
ソファーに横たわる沙良くんに
毛布をかけてあげる。
ーピーンポーンーーー。
(誰だろ、こんな遅くに。)
「はーい。」
とドアを開けるとそこには、汗だくの勇次郎くん。
「急に、ごめん、でもどうしても会いたくて…」
ここまで走ってきてくれたのか、息が上がっている
「大丈夫?今、タオル持ってくるね」
玄関先の靴を見て勇次郎くんは
「誰かいるの?」
と少し怖い顔をした
「あ、あぁ。今ちょうど沙良くんが…」
「………そっか。」
勇次郎くんの瞳に光が消えた。
「お邪魔しちゃったみたいなら、僕帰るよ」
と呟き、帰ろうとする勇次郎くん
「え、?待って!行かないで!」
と涙ぐむ私
そこにリビングからやってきた沙良くん
「薬ありがと。じゃあ、ボクもう行くから」
と私の頭をポンポンと撫でる
沙良くんは勇次郎くんに
何かボソッとつぶやいて帰って行った
私は、勇次郎くんに
「今タオル持ってくるから
リビングで待ってて」
と勇次郎くんを家に招き入れた
リビングのテーブルの上には
さっきキッチンに片付けたはずの
コップと頭痛薬のゴミが
丁寧にまた置かれていた
(沙良くん…わざわざ疑われないように
コップ戻してくれたんだ…)
リビングに上がった勇次郎くんに
タオルとジュースを差し出す
「…急に、ごめん。」
勇次郎くんがわたしに謝る
「私こそ、びっくりさせちゃってごめんね。
勇次郎くんが来れなくなって
沙良くんが家まで送ってくれたんだけど、
急に頭が痛いって言うから
うちに上がって少し休んでもらってたの」
「そっか…。僕もごめん。
レッスンが終わって、お母さんから
光一郎が倒れたと連絡が来て
急いで駆けつけたんだけど
過労だったみたいで休めば治るみたい。
安心したらミリアちゃんに会いたくなって
気づけば走ってここまで来てた」
「そうだったんだね。大変だったね。
わざわざ走って会いにきてくれてありがとう。
わたしも今日どうしても話しがしたかったんだ」