SWEET HOLIDAY
name change
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(なんか私のもんじゃ焼きの減りが早い気が…あ!)
桑原と飛影は次々に書いた文字をたいらげていったため自分たちのもんじゃ焼きだけでは足りなくなり、名前の分まで彼女の目を盗み戦力の一部とし始めていた。
(も~二人のバカ!)
名前は二人に文句を言おうと口を開いたが…
「ったく桑原も飛影もどうしようもねえな。まあ食っちまったもんはしょうがねーか。名前、何食いてー?」
名前が何か言う前に、彼女のもんじゃ焼きがかなり侵食されていることに気づいた幽助。
名前にメニューを広げてみせる。
「え…ありがとう」
思いがけない幽助の気づかいに驚き、名前はメニューを眺める。
「カバ並みの腹を持つ名前じゃ、食い足りねーと思ってよ」
「~っもう!さすがにカバはないよ!」
憎まれ口を叩くのは忘れない彼に、名前は唇を尖らせた。
(でも、幽助って意外と気が利くよね。優しいしさ…)
メニューに目を向けるフリをしつつ、ちらっと幽助の顔を見る名前。
オメーらいい加減にしろよ、と幽助は桑原たちに怒っている。
その顔も、戦っている時の真剣だけどどこかワクワクした顔も、弾けるような笑顔も。
全部全部、名前は大好きで…
彼にからかわれて言い争う時間だって、嫌いじゃない。
「名前、何にするか決めたか?」
「え!?ま、まだ…」
突然幽助に話しかけられ、名前はドキッとする。
今の今まで、彼のことを考えていたのだから。
「おせーからオレが決めるな。焼きそばでも作ってやるよ」
「幽助が作ってくれるの!?」
それはけっこう嬉しいかも、と心踊る名前。
「任せとけ。ついでにオレと蔵馬の分も頼むか」
幽助が三人分の焼きそばを注文する様子を、少し頬を染め幸せそうに名前は見つめる。
(もう勝負はついた、かな…)
蔵馬はそんな彼女に目をやると、何かを悟ったように片方の口角を軽く上げたのだった。
・・・
「今日は楽しかったなあ」
夜空を見上げながら歩き、気持ちをかみしめるように呟いたのは名前。
隣には幽助がいる。
先程五人は別れ、二人は帰り道が途中まで同じため共に家路を歩んでいた。
「幽助が作ってくれた焼きそばもおいしかった!幽助って屋台の焼きそば屋さんとかラーメン屋さんが似合いそうかも。らっしゃい!ってハチマキ巻いてさ」
「オレそんなキャラか?」
「ねえ言ってみてよ、らっしゃい!って」
「や~だね」
「ちぇ~」
幽助は冗談っぽくむくれる名前の横顔を見つめた。
彼女の隣にいるのはいつも自分でありたいと思う。
だがタイミングが掴めず、いつまでたっても名前に気持ちは伝えられていないままだ。
「なに、また見てんのかよ?」
幽助が気づけば、名前はボーリング場で皆でとった写真を取り出し眺めている。
「うん!だって嬉しくてさ。私、今日の記念になるものがほしかったから…だからプリクラも撮ってみたかったの」
今日という日の証になるようなものが、名前は欲しかった。
「これを見るたびに今日楽しかったことを思い出して、忘れないようにする」
うっとりと写真を眺めて言う彼女が、幽助はどこか儚げにみえた。
自分の前から消えてしまう前に、掴んでおかなくては…そんな焦燥感に駆られる。
タイミングがないなんて言い訳。
キッカケなんて実はそこらじゅうに転がっているのだ。
それをチャンスに変えられるかは、自分次第。
「…名前」
今しかない気がした。
幽助は名前の名前を呼び立ち止まる。
「なに?」
写真をカバンにしまい幽助の方を向くと、びっくりするくらい彼が真剣な瞳で見つめていて、名前はドキッとした。
「そんなモンなくたってな、オレが今日をお前にとってぜってー忘れられねえ日にしてやる」
え?と首を横に傾ける名前の身体を幽助は引き寄せる。
あまりにも突然の出来事で、彼に抱きしめられていると名前が気づくまで数秒かかった。
「すきだ」
耳元でささやかれた幽助の声から受けた刺激に、名前の頭のてっぺんからつま先まで甘いしびれがはしる。
(…こんなの、一生忘れられるわけないよ…)
おかしくなるくらいの幸せに包まれながら、ぼんやりとした頭で名前は思う。
“私もすき”
そう幽助に伝えるように、名前は彼の背中に手を回すと自分からもぎゅっと抱きしめた。
皆と遊んで楽しかった今日という日。
幽助の一言で魔法みたいに一瞬にして…
名前にとって今までで一番幸せで、忘れられない日になった。
一年半後、幽助が名前に似合うと言われたラーメン屋を始めたのは、また別の話。
*幽助END*
