Ⅳ 魔界編
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✴︎83✴︎告げる者、秘める者
盟王高校の屋上へ続く階段裏にて、蔵馬はポケットから球体を取り出し壁に投げつける。
昨日の未来とのデートの帰りに受け取った、魔界の三大妖怪の一人・黄泉からの言霊だった。
壁にじわじわと見覚えのあるシルエットが浮かび上がってくる。
『久しぶりだな蔵馬。生きていて嬉しいよ』
大妖怪へと成長していた元盗賊仲間を千年ぶりに前にし、蔵馬に緊張が走る。
『今度はオレを助けてくれ』
要約すれば、黄泉の要求は雷禅と軀を凌駕し魔界を掌握するため力を貸してほしいとのことだった。
『そうそう、お前が魔界に来た時と同時に興味深い妖気を感じた。異世界から来たという、闇撫のお嬢さんだろう?』
未来の話を黄泉が持ち出した途端、蔵馬の顔色が曇る。
『ぜひ会いたいよ。彼女も連れて一緒にオレの元へ来てほしい』
「残念ながらそれは無理な頼みだな」
黄泉には聞こえないと知りつつも返事をした蔵馬。
黄泉に未来を会わせるなんてもっての外だ。
何を企んでいるのか分からない。危険すぎる。
大体、今日未来は元いた世界へ帰るので不可能な話だった。
『追伸…オレから光を奪った妖怪は百年ほど前に見つけ出すことができたよ』
蔵馬が知っている黄泉と、今の黄泉で変わったところがいくつかあった。
その一つは、彼が視力を失い盲目となっていた点だ。
『お前にも会わせたくて殺さずに飼ってある。ぜひ見てほしい笑ってしまうから』
そう言い残し、壁に浮かんだ黄泉の姿はすうっと消えていった。
「古い知り合いか」
「!…ああ」
いつの間にか階段上の踊り場に立っていた飛影に話しかけられ、少し遅れた反応のあと蔵馬は返事をする。
「フフン驚いたか。お前らしくもなく周りが見えないほど熱中していたな」
案外普通だな、というのが蔵馬が感じた飛影に対する印象だった。
飛影は気に病んでいるようでも、憂いているようでもない。至極いつも通りだ。
「オレの方にも言霊を届けに使い魔が来たぜ。こっちは軀の手下だったがな」
雷禅は幽助に。
黄泉は蔵馬に。
軀は飛影に。
敵対する魔界の三大妖怪が、それぞれスカウトの声をかけていたのだ。
「オレは軀に会いに行く。安心しろ軀につく気はない。だが奴のところに行けば戦闘には不自由しないからな。せいぜい利用させてもらうぜ」
軀を利用する。
そう言い切った飛影を、無表情のまま蔵馬は眺める。
(生まれてなかったから知らないんだよ飛影。軀の恐ろしさを)
千年生きた妖狐には、齢十半ばの少年の若さと無知がひどく危うく見えた。
「軀は未来について何か言っていたか?」
「…いや。言ってなかったぜ」
何故そんなことを訊ねると言いたげな目つきをして飛影が答える。
どうやら黄泉とは違い、軀は未来に興味を持ってはいないようだ。
軀が求めるのは、あくまでも飛影だけ。
「それと、未来の見送りのことですが…」
「…!」
蔵馬の言葉を契機に、飛影の脳裏に一昨日の記憶がフラッシュバックした。
時間を少し巻き戻す。
それは、一昨日の夜のこと。
・・・・
「行くな」
真っ直ぐ目の前の未来を見つめた。
未来の揺れる瞳に映るのも彼女を見つめる己の姿だけで、飛影は小さな充足感を得る。
「霊界に追われているなら、オレが魔界に連れてってやる」
霊界なんぞのせいで未来を失いたくなかった。
危険であろう軀のところへ未来を連れて行くのは些か気が進まないが、こうなれば仕方ない。
彼女は自分が守り抜けばいいのだ。
軀のそばでは戦闘に不自由しない。
もっと強くなれるはずだ。
未来を守るために。
諸々の思いを込めるように、ぎゅっと彼女の右手首を掴む力を強める。
未来はしばらく呆然として何も答えない。
けれど。
「……えっと……」
続きを聞かなくても、その表情で飛影は分かってしまった。
未来が困っていることに。
急速に身体が冷えていく。
掴んだ手首から未来の体温も感じなくなったのは、無意識に掴む力を弱めていたからか。
「飛影~~!未来が帰るって聞いて寂しくなっちまったか!?」
白々しいほど明るく馬鹿でかい声の幽助に肩を組まれる。
その衝撃で、気づけばぷらん、と未来の手首を握っていた腕を不格好に下ろしていた。
「気持ちはわかるけどねェ、未来には元の世界に家族がいるから…。あたしだってホントは未来を引き留めたいよーーっ!」
幽助に便乗し、霊界案内人の女がふざけ半分に未来に抱きつく。
どんな馬鹿でも分かるだろう。
幽助もぼたんも、気まずくならないようわざと明るく振る舞っていると。
実際場は和み、また賑やかさを徐々に取り戻していく。
「未来ちゃんともっとお酒飲みたかったよ」
「未来さんとこれからもっと仲良くなろうと思ってたところだったのに」
「ジョルジュ、涙をのんで未来さんを見送りますっ」
「永瀬さんには世話になった分、寂しいよ」
口々に皆が未来への思いを述べ別れを惜しんでいた。
「…あ……私も寂しいけど、でも帰らなきゃいけなくて…」
その台詞はその場にいた全員に向けられたものか。それとも。
考える間もなく、下がり眉毛になった未来と目が合う。
未来は言葉が見つからないらしく、視線を逸らし俯いた。
「おい幽助、お前も言わねばならんことがあるだろう?」
「あー!そうだった!オレ魔界行くことにしたんだ」
コエンマに小突かれた幽助が新たな爆弾を投下し、さらなる喧騒に包まれる。
幽助が説明し終わると、打ち上げはお開きとなり解散して。
それ以降、飛影は未来と顔を合わせていない。
未来が目覚める前に外出し、未来が眠った後に戻る。
幻海邸から足が遠のき、彼女を避けてしまっていた。
・・・
「飛影?」
物思いに耽っていたところを蔵馬に呼びかけられ我に返る。
「飛影、今日未来の見送りにちゃんと来てくださいね。桑原くんから伝言で放課後、幻海師範の家に集合です」
蔵馬の発言に、飛影の眉間の皺が深く刻まれた。
「お前はいいのか。未来をこのまま行かせて」
非難の色を帯びた視線を蔵馬に浴びせ、棘のある口調で飛影は問う。
「それが未来のためだ」
「とんだ腰抜けだな。霊界から未来を守る自信がないか。そういえばお前、一度霊界のハンターにやられていたな」
「飛影。先程も思ったが、無知は罪になる。浅はかな考えもね」
飛影が嘲笑えば、蔵馬が顔色を変えず淡々と告げた。
「…オレが無知で浅はかだと?」
「ああ。未来を魔界の躯や黄泉の元に連れていけば彼女を危険に晒すことになる」
「分かっている。オレが守ればいい話だ」
無謀だ。甘すぎる。
何があっても絶対に未来を守り抜くと迷いない瞳で言い張る飛影の眩しさに、怒りさえわいてくる。
同時に、羨ましくも蔵馬は感じた。
「まあ断られたがな」
こんなことを話題にしても無意味だと、自嘲して笑った飛影。
「…未来には家族がいる。家族の元に帰ることを未来も望んでいるんだ」
「らしいな」
無表情で飛影が答えた。
飛影には未来より優先すべき事柄など何もなかった。
だが、未来は違った。
たったそれだけのことなのだ。
そう思うのに、ポカンと心に大きな穴が開いたような感覚に陥る。
「じゃあな」
「飛影、君は知らないでしょうが家族の絆というのはとても深いものなんですよ。オレは未来からそれを奪いたくない」
立ち去ろうと背を向けた飛影に構わず蔵馬は述べる。
「飛影こそ、このままでもいいんですか。オレは未来に好きだと伝えた。未来にオレを忘れてほしくなかったから」
ピタリと足を止めた飛影の背中に、語りかける蔵馬。
「納得して終わらせなかった想いは引きずるぞ」
蔵馬の忠告に、ハッと飛影は溜息のような笑い声を出した後、クックックッと低く笑った。
何が可笑しいのか分からず、蔵馬は怪訝に眉を顰める。
ひとしきり笑うと、振り返った飛影は瞬時に鋭い目つきとなりこう言った。
「その台詞、未来がいなくなると分かる前でも言えたか?」
「!」
「見送りには行く」
何も言えなくなった蔵馬を置き去りにし、飛影は校舎から姿を消した。
残された蔵馬は予鈴のチャイムが鳴ってもその場を動かず宙を仰ぐ。
(…核心を突かれたな)
もし未来が元の世界へ帰ることにならなかったら、恋敵である飛影に告白するようハッパをかけていたかと問われれば、答えは否だった。
飛影が失恋すると分かっているからこそ言えた言葉だと、彼には見抜かれていた。
(それに…あの一言は余計だった)
もう一つ、蔵馬は自省する。
“飛影、君は知らないでしょうが家族の絆というのはとても深いものなんですよ”
飛影の生い立ちについて詳しくは知らないが、彼が親から愛情を注がれず孤児として育ったことは察しがつく。
しかし、飛影には雪菜という存在がいた。
正真正銘の兄妹とはいえ“家族”とは到底呼べない関係かもしれない。
それでも。
(飛影は彼なりに妹を大切にしてきた)
見守る愛の尊さを、蔵馬だって知っていたのに。
***
蔵馬と別れ、電波塔の端に立つ飛影は人間界を見下ろしていた。
この景色とも、もうおさらば。
未来がいない人間界に未練はなく、一分の感慨もわいてこない。
飛影は未来が元の世界へ帰る可能性なんて、今まで微塵も考えたことがなかった。
その件で彼女がコエンマとコンタクトを取ってきたことも知らなかった。
蔵馬なら、知っていたのだろうなと思う。
(蔵馬…どうして放棄する?)
蔵馬の言い分が全く理解できないわけではない。
しかし、飛影には蔵馬が未来を守ることを諦め放棄しているように映った。
慎重で冷酷で、計算高い策略家の蔵馬。
そのくせ情に弱く、しばしば足元をすくわれる。
(奴にはオレよりもっと広い景色が見えてるんだろう)
眼下に広がる人間界を眺めながらそう思う。
たとえば、未来の家族のことも。
蔵馬は未来が大事にしている者のことまで考え思いやることのできる奴だ。
帰りを待つ家族がいる状況なんて想像もつかない飛影と違って。
(欲張りになったものだぜ)
明日未来に会えるだけで十分、などど考えていた自分に呆れ笑えてくる。
そんな感情、嘘っぱちだった。
ずっと飛影は未来を渇望していた。
未来が欲しかった。
それだけでは飽き足らず、未来にも同じように自分を求めて欲しい…なんてことまで望むようになっていたのだ。
一昨日の未来の困った表情を見た時、冷水を浴びせられたように冷えた頭の中そんな己に飛影は気づかされた。
でも飛影は分からない。
どうやったら未来の心を手に入れられるのか。
無理やり魔界に連れて行っても未来の心は手に入らない。
飛影だって彼女の悲しむ顔は見たくなかった。笑顔で隣にいてほしかった。
(考えるだけ無駄か)
堂々巡りになる考えは、やはり最後にはその結論に達する。
未来は今日いなくなるのだから。
蔵馬なら未来を幸せにすることができるだろう。
蔵馬ならきっと、未来を手に入れる方法も知っている。
それなのに、あっさり身をひこうとしている蔵馬。
彼なりに葛藤はあったのかもしれないけれど。
“納得して終わらせなかった想いは引きずるぞ”
蔵馬は未来を手に入れ幸せにする方法だけでなく、彼女を忘れる術まで知っているというのか。
ギリ、と奥歯を強く噛む。
蔵馬の発言は、飛影をひどく苛つかせた。
未来に好きだと気持ちを伝え、彼女の記憶に残る。けじめをつける。
蔵馬が望んだことが、飛影には全く魅力的に映らなかった。
(別に忘れられてもいい)
未来はいなくなってしまうのに、未来が選んだのは飛影ではなかったのに、どうして彼女の記憶に残りたいと思う?
想いを告げることに、ケリをつけることに、何の意味を見出せる?
(オレが忘れなければいい)
最後の一瞬まで、未来を忘れることはない。
未来は元いた世界に帰り、楽しく幸せに暮らすはずだ。
蔵馬の言う通り、それが未来にとって最善の選択なのだろう。
ならば未来の選んだ道を受け入れて、背中を押してやる。
(これで文句はないか、蔵馬)
それが仲間として飛影が未来に出来る、唯一最後のことだと思うから。
***
「…はあ……」
幻海邸の茶の間にて、未来は何度目か分からないため息をつく。
時刻は夕方。
荷造りを終えた未来は、夜11時半の出発まですることもなく机に突っ伏していた。
(私、二人にちゃんとした返事ができてない)
蔵馬に好きだと告げられても、礼を述べるだけで彼に対する自分の気持ちは言えなかった。
飛影に行くなと引き留められても、困惑するだけで明確な自分の思いを言えなかった。
「何辛気臭い顔してんだい」
「師範!それにコエンマ様まで」
「今日でお別れだからの。未来の顔を見ようと人間界にやって来たのだ」
しわがれた声に顔を上げれば、家の主と霊界のプリンスが立っていた。
「蔵馬に告白されたんだって?」
「師範何で知っ…ハッ」
ニヤリとした幻海の口元で、カマをかけられたのだと未来は気づく。
「吐いちまいな」
「だ、誰にも言わないでくださいね!?」
「安心しろ、口は堅い方だ」
「…本当かなあ」
コエンマを訝しがりつつ、幻海に促され未来はかくかくしかじかと事のあらましを話す。
「つまり、飛影!私を魔界に連れてって!とも、蔵馬!私も好き!大好き!とも言えなかったことを未来は気に病んでおるのだな?」
「…コエンマ様、ふざけてません?」
「心外だな。的を得た代弁だったろう」
甲高いぶりっ子声、しかも大袈裟なジェスチャー付きで再現したコエンマにジト目を向ける未来。
「蔵馬は返事はいらないと言ったんだ。気にすることないだろう」
「そうなんですけど…私、元の世界に帰ると決まる前は、蔵馬の告白を受けようかなと考えてもいたんです」
へえ、と幻海は興味深そうに目を丸くする。
蔵馬のことが好きだと、未来は胸を張って言える。
しかしそれが友愛の域を越える気持ちなのかどうかは分からなかった。
「でも実際蔵馬から告白されたら、こんな私のことすごく想ってくれてたんだって伝わって、とても嬉しくて。私も好きだったとは生半可な気持ちじゃ言えないなと…」
照れてしまって俯きながら、ごにょごにょと話す未来である。
「飛影と魔界に行くのはどうなのだ?実際、霊界特防隊も人間界から去るなら行く先が魔界でも構わんと言うかもしれんぞ」
魔界では樹の言っておった“闇撫の師”とやらも探せるしな、とコエンマが付け加える。
「それもちょっと思ったんですけど…闇撫の能力を極めれば元の世界とここを自由に行き来できるんじゃないかって。でもそんな大博打に出る勇気もなくて」
希少種族だという闇撫の師は見つかるのか。
見つけたとして、本当にそんな夢みたいな能力を取得することが可能なのか。
出来たとして、かなりの時間を要すのではないか。
問題は山積みで、未来が魔界へ行くという決断に踏み切るのは難しかった。
「色々考えちゃって、飛影に何も言えなかった。もう私、迷って悩んでばかりで」
「答えを出せないからこそ分かることもあると思うけどね」
肩を落とす未来に、幻海が助言する。
「答えを出せないからこそ分かること…?」
「ああ。あんたをそんなに悩ませてる一番の理由はなんだい?」
未来を迷わせる一番の理由。
それは。
「家族の存在です…」
「なんだ。もう答えは出てんじゃないかい」
ニッと幻海が口角を上げ、未来も腑に落ちる。
(そうか…悩むことで、今の私の一番大事なものに気づけた)
やっぱり、どうしたって未来は家族を捨ててまでこの世界に残る選択はできないのだ。
「だったら胸張って帰んな。最後までうじうじした顔見せんじゃないよ」
「…はい!ありがとうございます。幻海師範、本当に今までお世話になりました」
「礼はもう聞き飽きたよ」
元の世界に帰ると決まって以来、耳にタコができるほど感謝の言葉を聞かせられていた幻海である。
「何回言っても足りないんです」
「じゃあアイツにも言ってやりな」
幻海の指差す庭の方へ未来が顔を向ければ。
「飛影!」
未来は急いで靴を履いて、外にいる飛影の元へ駆け寄る。
「よかった!飛影とこのまま会えずじまいだったらどうしようと…来てくれてありがとう」
「…っ…」
感極まり涙ぐむ未来と向かい合い、ズルい奴だと飛影は思う。
魔界に行く誘いは受けないくせに、こうしてまた未来は飛影の心を揺さぶるのだ。
「一昨日、飛影が行くなって言ってくれて嬉しかった」
今度こそ飛影にちゃんと返事をしなくては。
未来は一度息を吸った後、ゆっくりと言葉を紡ぐ。
「飛影も私と離れるの寂しいって思ってくれてるのかなって…私もすごく寂しいから」
魔界か元の世界か。
未来にとっても苦渋の決断だった。
「二週間くらいだったけどさ、飛影や雪菜ちゃんと一緒に暮らして楽しかった。私がいなくなってもここは飛影の帰る場所だよ。幻海師範もそう言ってくれると思う」
飛影はきっと今まで一人で生きてきたのだろう。
行くなと引き留めたのは、飛影も寂しくなってしまったのかな…と未来は思っていた。
「ごめんね。私は家族の元へ帰らなきゃいけないから一緒に魔界へは行けないけど…飛影のおかげで今まですっごく楽しかったよ。何度も私を助けてくれて、ありがとう」
ペコリと頭を下げた未来を、無表情で飛影は見つめる。
「それがお前の決めた選択ならオレは何も言わん」
しばらくの沈黙の後、そう告げた飛影。
「未来、そろそろ奴らが来る頃だぜ」
「奴ら?」
「おーい、未来ちゃん!」
未来が小首を傾げたと同時、仲間の声に名を呼ばれる。
やって来たのは桑原、幽助、蔵馬の三人。
「未来、今から飲み行くぞ。オレら武術会優勝した打ち上げやってなかったからな」
「え!?」
事態を飲み込めないまま幽助に手を引かれ、連れ出される未来。
「なら師範とコエンマ様もチームの一員だし…」
「若いモンで行ってきな」
「ワシらは遠慮しよう」
幽助たちが未来を迎えに来ると知っていたらしい二人。
幻海とコエンマは優しさあふれる眼差しで若者五人を見送る。
(今から優勝の打ち上げ…!?もう二か月前なのに!?)
突然の誘いに戸惑いつつも幽助、桑原、蔵馬、飛影と共に街に繰り出す未来。
遅れて開催される暗黒武術会優勝の打ち上げは、楽しくなる予感しかしなかった。