このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

Ⅰ 四聖獣編

name change

ヒロイン
ヒロインの名前
ヒロインの名字
ヒロインのフルネームカタカナ

✴︎3✴︎華麗なる薔薇の舞



城内を進む道中、幽助は人間界にいるぼたんとテクマクマヤコン風の道具で話していた。

「さて…まだ町は無事みてーだ。ところで蔵馬、四聖獣ってどんな奴らだ?」

「霊界が彼らを妖魔街に封じ込んでいることからも分かるように危険な連中だよ。かなり人間離れしてるからビックリするかもね」

「おほめの言葉ありがとうよ」

蔵馬の発言に応えるように、聞こえてきた低い声。
目の前の扉を開ければ、巨大な岩のかたまりのような、ごつごつした妖怪の姿があった。

「人間離れの度合いひどすぎでしょ…」

「じょ、冗談じゃねぇぜ!どうやってこんな化け物と闘うんだよ!?」

初めて目にする“怪物”に、ビビる未来と桑原。

「グフフ この玄武様が相手だ」

ドカッ!!と大きな音をたて、玄武がしっぽで床を叩き、クレーター状のくぼみを作った。
未来の頭に逃げるという選択肢が浮かぶ。

「オレを倒さなければ先には進めないぜ。まとめてかかってきていいからな。その方がオレも手間が省ける」

「オレがやろう。敵の性質がわからない以上、全員で行くのは危険だ」

涼しい顔をした蔵馬が一歩前に出る。

「ム、ムチャだぜ蔵馬!それよりなんとかスキを見て先に進んだ方が…」

「一人で行く方が危険だよ!」

「貴様らは蔵馬の強さを知らんからな」

焦って蔵馬を引き止めようとした未来と幽助に、飛影が言う。

「なぜオレがヤツと組んだか教えてやる。 敵にまわしたくないからだ。自分に危害を加えようとする者に対する圧倒的な冷徹さはオレ以上だぜ」

腐餓鬼を倒した蔵馬の強さを見てはいたが、飛影の話を聞いてもなお、未来は不安を拭い去ることはできなかった。

「さあ…どこからでもどうぞ」

蔵馬が攻撃を誘うが、玄武は微動だにしない。

「…こないならこちらからいきましょうか」

そこで、幽助たちは異変に気づいた。

「あの野郎のしっぽが床の中に溶け込む様に入っている!?」

「後ろ危ない!」

未来の言葉に蔵馬が後ろを振り向いた瞬間、背後から襲ってきた玄武のしっぽが彼の腹をかすめた。

「ぐははは オレは岩と一体となって移動できるのだ!岩を通せばしっぽだけの移動など朝飯前よ」

この部屋全体がオレ自身だ!と叫び、下品な笑い方をする玄武。
 
「大丈夫か蔵馬!?」

「血が出てるよ!?」

「心配はいらない…かすり傷だ。不意をつかれて多少驚いたがね」

心配する幽助と未来に、蔵馬が腹をおさえながら応える。
ズズズズ…と玄武は体全体を岩の中に沈め始めた。

「完全に隠れやがった…」

「これじゃあどこから来るかわからないよ」

キョロキョロと桑原や未来は辺りを見回す。

「ばあ!!!!」

突然、またしても蔵馬の背後から現れる玄武。さらに、前からしっぽで攻撃をして蔵馬をはさみうちにする。
避けた蔵馬だったが、玄武はまた床に沈んだ。

「隠れんな卑怯だぞコラ!」
「汚ねぇ戦い方すんな!」

ヤジを飛ばす桑原と幽助の隣で、未来は手に汗を握りハラハラしながら戦いの行く末を見守る。

「オラオラ逃げてばかりでは勝てんぞ!」

「確かに貴方の言う通りだ」

予想外の方向から現れ、敵を翻弄する玄武。
蔵馬はその紅く長い髪の中から、ス…と一輪の薔薇を取り出した。

「オレも本気を出そう」

「薔薇の花!?」
「蔵馬ァ 血迷ったか!」
「あのヤローに花でもプレゼントしようってのか!?」

意外なモノを手にした蔵馬を見、未来、幽助、桑原はすっとんきょうな声を出す。一体あれで何をしようというのか。

「もちろん、ただの薔薇じゃない。薔薇棘鞭刃(ローズウィップ)!!」

途端、蔵馬の持っていた薔薇がムチ化し、部屋中バラの香りで充満した。

「すごい…」

蔵馬の思わぬ美しい能力に、未来は感嘆のため息をこぼす。

「薔薇をムチにしちゃうなんて…すごいよ、くらまちゃん!美少女に薔薇!似合いすぎだね!」

ピシ。
ローズウィップを手にした蔵馬が固まる。

「…ぶっ…くくく…」

口を抑え、必死に笑いをこらえようとする幽助。

「おい浦飯、あいつ女だったのか?オレはてっきり…」

「いや、桑原オメーが正しい」

「えっ私なんか変なこと言った!?」

小声でこそこそ話す幽助と桑原に、未来が問い掛けていると。

「バカか貴様は。蔵馬は男だぞ」

おかしなものを見るような目で飛影がツッコんだ。

「えええええ~!!」

飛影から告げられた驚愕の事実に、衝撃を受け大声で叫ぶ未来

「ぶっ…もう我慢できねえ!くらまちゃんって!」

「あの…本当にごめんなさい」

豪快に笑いだした幽助の横で、とても失礼なことをしてしまったとおそるおそる未来は蔵馬へ謝る。

「ひっ」

パシイッ!と蔵馬がならしたムチに、自分への敵意の表れかと激しく怯える未来だった。

「いいよ 慣れてるから。玄武、どこからでも来い」

一言蔵馬はそう言うと、姿を消し隠れている玄武を煽る。

「くくく…そんなムチで対抗できると思うか。一撃でズタズタにしてくれるわ」

「上か!」

「なにい!」

「華厳裂斬肢!」

一面岩からなる部屋に、余裕綽々な玄武の声がこだまする。
ところが、スパァンと歯切れのよい音と共に玄武の身体は一瞬のうちに七等分に切り分けられていた。
薔薇の香りで洗われた部屋で、玄武の妖気はひどく臭う。蔵馬はそれにより玄武の正確な位置を捉え、攻撃を仕掛けたのだ。

「ほっ…」
「やったぜ けっこーあっさり倒せたな!」
「あのヤロォまるで弱いじゃねーか!」

「バカめ 蔵馬だからこそ簡単に倒した様に見えるんだ。お前らだったら最初の一撃で死んでいる」

喜ぶ三人に飛影が言い放つ。

「てめーはいちいちカンにさわるヤローだな ああ!?いいかオレはな、幻海師範の後継者大会で第三位の実力の持ち主だぞ」

「知るかバカめ」

「…どうやらまだだったようだ」

桑原と飛影が言い争う中、蔵馬が目を向けた先には、再び体をくっつけた玄武がいた。

「ムダだ! いくら切ってもオレは倒せんぞ」

「ちぃっ」

今度は玄武をより細かく切り刻んだ蔵馬。
玄武の岩の破片は、離れた場所で闘いを見守っていた幽助たち四人のところへも飛んできた。

「これだけバラバラにすれば、さすがに元に戻らないよね」

何気なく破片のひとつを拾う未来だったが。

「えっ? きゃあああ!」

「あっおい!!」
未来さーーん!」

バラバラにされた身体を戻すべく、一点に集まっていく岩の破片。その一欠片を持っていた未来も、吸い込まれるように強い力で引っぱられ、体は宙に浮いた。
幽助と桑原が引きとめようとしたが、彼らの手は空振りしてしまい……未来を抱き止め助けたのは、蔵馬だった。

「あ…ありがとう」

見上げれば、整いすぎた顔が間近にあって。
思わずドキっとする未来

「玄武がまた再生する。早くみんなのところへ」

蔵馬に促され、ポイっと欠片を捨てると慌てて未来は幽助たちの元へ急いだ。

「ったく危なっかしいなあオメーはよ」

「ごめんね…」

「男の学生服着てんのに蔵馬のこと女と間違えるわ…。オメー、オモシロすぎんだろ」

「あれ制服なの!?変わった色だから戦闘服かと…」

「爆裂岩衝弾!」

幽助と話していた未来の台詞は、技名を叫んだ玄武の大声に遮られた。
今度は自らコナゴナになって、玄武は蔵馬にぶつかっていく。

「ぐっ…」

蔵馬は玄武の攻撃に堪えながらも、あるモノを確実に掴んでいた。

「とうとう最後の力も使い果たしたようだな。む…!なんだ!?奴が逆さまに…!」

「ギャハハハハハ!でけーキンタマだなオイ!」

爆笑する幽助と桑原。無様な玄武の姿に、未来も吹き出す。
そこには頭が股間にくっついた玄武がいた。

「探し物はこれですか?」

「はっ!それはぁあ!」

蔵馬の手の中に光る赤い岩を見たとたん、顔色を変えて玄武は焦る。

「これがバラバラになった体を元に戻す司令塔の役目をする中枢岩ですね。巧みにオレの目から隠してはいたがパワーを出す時に光るのは見逃さなかった。隠そうとするものを見つけるのは得意なんだ。本業は盗賊だからね」

「ゲエエエ…」

蔵馬がローズウィップで中枢岩を真っ二つにすると、玄武は消滅した。

「くっ…」

「あっ蔵馬!」
「大丈夫!?」

よろめきしゃがみこんだ蔵馬の元へ、皆が駆け寄った。

「大丈夫だ。動けないほどじゃない」

「蔵馬にこれほどの深手を負わせるとは…」

予想外、といった表情の飛影。

「あの、さっきは本当にごめんね」

「ああ、“くらまちゃん”な」

再度謝る未来の横で幽助がニヤニヤし、蔵馬の顔色が曇る。

「…ちゃん付けは勘弁だな。オレのことは“蔵馬”でいいよ」

今度は少し笑って蔵馬が言い、内心びくびくしていた未来はホッとする。

「わかった!ありがとう。私のことも呼び捨てでいいよ」

「そういやーまだ名前呼びあってなかったな。オレも呼び捨てで構わねえぜ、未来!」

幽助が初めて未来の名前を呼んだ。

「オレは桑ちゃんって呼んでくれぇ!」

「了解! 幽助、桑ちゃんね」

みんなとの距離が縮まったようで、未来は嬉しくなる。

「彼のことも“飛影”でいいと思うよ」

ちら、と伺うように飛影へ視線を向けている未来に気づいた蔵馬が言った。

「そっか!うん、わかった。あ、ところで桑ちゃん…」

「ん? なんだ?」

未来に話しかけられ、嬉々とした顔で彼女の方を向く桑原。

「さん付けはちょっとくすぐったいから出来ればほかの呼び方がいいな~なんて」

「ああ! じゃあ未来ちゃんで!」

「おっけー! そっちの方がいいや」

互いの呼び方も決まり、一同はさらに迷宮城の奥へと入っていった。


4/17ページ
スキ