きみの隣で
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いつもと同じ朝、いつもと同じ景色。それでも、少し早めに家を出る。早く会いたいという思いから、歩く速度が早まる。今日の彼女はどんな表情を見せてくれるのか。昨日から緩む口元を抑えきれず、いつものホームに向かう。いつもと同じ場所で、彼女は風に吹かれた前髪を手櫛で直していた。近付いていく内に気付いた彼女が緊張した面持ちで、それでも笑顔を作ろうと頑張りながら口を開いてくれた。
「えと…おはよう、黒羽くん。」
「おはよう、林田さん。」
挨拶だけで何を話していいかわからず、沈黙が続く。林田さんはどんな話題が楽しいのか、なんて分かるはずもなく頭を回転させるも白くなったそこには何も浮かばなかった。
「え!お前、もしかして!」
と大きな声が響き、そっちに顔を向けるとそいつがこっちに向かって歩いてくる。不思議に思いながら、見ていると林田さんの前で止まった。
「やっぱりな!めっちゃ久しぶりやん!」
と林田さんに声をかけている。その事に困惑するも、彼女を見ると彼女もまた困惑した表情を浮かべていた。
「えっと、どちら様で…」
「なんや、お前覚えてへんのかいな!服部平次、幼稚園一緒やったやんけ。」
「えと…ごめんなさい。」
「信じられへんな!まあ、ええわ!今日から毎日会う訳やし、ちゃんと思い出させたろうやないか!」
困惑する自分と林田さんを差し置いて、目の前の服部平次という男はは勢いよく話を進めている。すると、ホームに電車が来る曲が流れ始めた。林田さんは戸惑いながら、服部と電車に目を泳がせていた。
「林田さん、電車乗って。学校遅れる訳には「何やお前!逃げるんか!」」
「えっ、」
「いいから、行って。またメールする。」
「う、うん!」
軽く押した背中が、あまりにも小さくて壊れてしまうんじゃないかと感じた。後ろでうるさい服部平次がいなければ、いい朝だと思えたんだろう。動き出す電車の中の林田さんを見送って、問題のそいつに視線を向けた。
「お、お前、同じ学校やんけ。案内してーな。今日から転校して来た服部平次や。よろしゅーな!」
「黒羽快斗、よろしく。」
騒がしい1日の始まりに、早くも目が回りそうだった。
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