恋をするということ
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「結衣、お前、檜佐木さんと付き合ってンの?」
ばさり、と持っていた書類が手の中から滑り落ちた。頭の中で疑問が巡り巡ったが、足元に散らばる書類が目に入り、急いで拾い集める。
「恋次、じゃなかった。阿散井副隊長、公私混同はおやめください。」
「別にお前と俺の中だろうが。」
「今は書類を届けている最中です。誰が聞いているかわかりません。」
「ってことは、マジなんだな?!」
五月蝿い、と肩を叩けば、真横にいる派手な頭の副隊長様は、ニンマリと深く笑った。その顔が更に腹立だしく、私は歩みを早めた。
「副隊長様、お静かに願います。さもなければ、朽木隊長に告げ口しますよ。」
げっと声を上げ、顔を蒼白くさせる彼を見て、してやったりと笑った。
「じゃあ、今日飲みに行こうぜ。」
「何が楽しくて、阿散井副隊長様とお酒を飲まなくてはいけないのでしょうか。」
「お前、全然可愛くねぇな。この恋次様が心配してるって言うのによォ。」
「愉しんでるだけでしょ。」
「勿論。」
「最低。私が傷付くのが目に見えてるのに楽しんでるなんて、酷い上司ですね。」
キッと睨み付ければ、彼は眉間にシワを寄せ苦笑いをした。
「いや、そう言うんじゃねーよ。」
じゃあ、どう言う事なのか。口を開こうとしたが、目の前に現れた人物を見て口を噤んだ。
「あ、檜佐木さん。」
「あ、阿散井か。あ、結衣ちゃんも。」
ぺこりと一礼をすれば、檜佐木副隊長は目線を泳がせながら頬を掻いた。
「結衣ちゃん、今日の夜空いてる?」
「え、と、今日は…」
さっき、阿散井副隊長に誘われていた事を思い出す。返事はしていないけど、彼の事だからもう行く気になっていることだろう。困ったように視線を向ければ、ぐっと親指を立てて笑う彼に首を傾げた。
「いいじゃん結衣、檜佐木さんと行ってこいよ。」
「え、でも、」
「何?阿散井、人の彼女を口説こうとしてんのかよ?」
そう言って、力強い腕に引かれ、自然に檜佐木副隊長の胸の中に収まった。死覇装越しの鍛え上げられた肉体に鼓動が早くなる。周りの女の人の叫び声も聞こえない程に、自分の鼓動が五月蝿い。
「結衣から檜佐木さんの事、聞き出してやろうと思っただけっスよ。それより、檜佐木さん大胆すぎません?」
「悪い虫が付かないようにしとかなきゃ、いけねぇからな。」
背中越しの檜佐木副隊長の胸にドキドキしていると、耳元で聞こえる低い声にどくんと心臓が大きく跳ねた。
更に近付く息遣いに、固く目を瞑れば甘い低音に脳が痺れた。と、同時に檜佐木副隊長が離れ、背中が少し寒く感じた。
「じゃあ、終わったら迎えに行くな。」
そう言って、手を挙げ遠くなって行く檜佐木副隊長を見送った後、私はその場にへたりこんだ。うちの副隊長様が戸惑っていたけれど、無視して熱い耳を抑えた。
「ずるい…」
(俺と付き合ってんだから、男と2人で出かけるの禁止。)