やきもちやきあい
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「うー…寒い…」
温暖な気候の紅南国でも真冬の夜は冷える。吐く息は夜の暗さも相俟って際立って白く思えた。こんな夜は温かくして早く寝るのが一番、なんだけど ──。
「寒い日はやっぱりこれだよね」
ふふ、と笑みを零し胸に抱える酒瓶に視線を落とす。久しぶりに両親から荷物が届いたと思ったら、これが入っていた。添えられた手紙によると、珍しいお酒をもらったのだがあいにく二人とも控えている最中らしく、破棄するのも気が引けるため私に送ってきた、というわけだ。
「まだ柳宿起きてるかな」
寝不足は肌に悪い、と怒りそうだけどお酒を飲もうって言ったらきっと乗り気になるだろう。そんなことを考えながら柳宿の部屋を目指していると、廊下の角の向こうから彼の声が聞こえた。よかった、まだ起きてる、とつい小走りになる。
「ったく、こんな時間になんなのよ」
「ごめんってば~」
話し声が二つあることに気付き、足を止める。思わず身を潜め覗くように見ると、柳宿と美朱様がこちらに背を向け肩を並べ歩いていた。
「だって鬼宿ったら酷いんだよ!?」
「あたし、あんた達の仲介役になった覚えはないんだけど。痴話喧嘩なら余所でやってよね」
「そう言わないで聞いてよ~!お菓子いっぱい持ってきたから朝まで付き合って!」
美朱様が背負う袋いっぱいのお菓子を見せると、異世界の珍しいそれに見事釣られた柳宿は満面の笑みを浮かべ了承した。
楽しそうに話しながら歩く二人に声をかけることなんて出来ず、私はそのまま踵を返し自室へと戻った。
「………」
椅子に座り天井を仰ぎ見る。脳裏に浮かぶ二人の後ろ姿に、無性にもやもやするのは気のせいではない。
「あー!もうっ!全部飲んでやる!明日どうなるかなんて知ったこっちゃない!」
酒瓶に手を伸ばし、音を立て栓を開ける。流し込むように飲むと、心地よい酔いの感覚が脳に沁み渡っていった。
「……柳宿のばーか」
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