やきもちやきあい
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「ちょっ、柳宿…!」
柳宿に引っ張られるようにして歩く。ここからだと表情は見えないが、私の手首を掴む力の強さから彼が怒っているのが伝わってきた。
「柳宿、手痛い…っ!」
「! ごめん、」
放されたそこは赤くなっており、触れると熱を帯びていた。視線を感じ目を向けると、気まずそうな表情を浮かべた柳宿と目が合う。
「…私に何か用事?」
「…別にそうじゃないけど」
「なら戻るね。井宿さんに謝らないと」
踵を返そうとすると、再び腕を掴まれた。
「こんな夜に男の部屋に行くつもり?」
「男って…相手は井宿さんなんだから」
「男に変わりないじゃない。だめよ、こんな時間に行っちゃ」
自分は美朱様を部屋に泊めたくせに。あまりに勝手な柳宿の言い分に、我慢していたものがふつふつと込み上げてくる。
「…自分のことは棚に上げて、私にはそうやって言うの?」
「は?あんた何言って、」
「っ、柳宿だって美朱様と一緒にいたでしょう!?今よりずっと遅い時間にふたり仲良さそうに!」
出すつもりはなかった大きな声が出てしまい、柳宿は目を丸くして驚いている。
「美朱と一緒にって…鬼宿と喧嘩した日の?」
「…理由は知らないけど…」
「朝まで愚痴聞いてた時のこと?」
「…多分…」
「あんた、それで怒ってたの?」
「、そう…!」
ひとつひとつ事実確認かのように問う柳宿に、俯かせていた顔を上げる。すると、にやにやと笑みを堪えきれていない彼と目が合った。
「なに、なんで笑って、」
「ねェ蘭飛…それって、やきもち?」
「、え…」
やきもち、と言葉を反芻する。その意味を理解すると、一気に熱が集中して顔が赤くなるのを感じた。
「ふぅん、蘭飛が美朱にやきもち、ねェ…」
「ちがっ、してない!」
「誰がどう聞いてもしてるわよ」
「だから、そんなんじゃ…!」
「蘭飛」
顔を背けようとするも、手首を掴まれ無理やり目を合わせられる。
「妬いてくれたんでしょ?」
吸い込まれそうなくらい見つめてくる柳宿の瞳には、真っ赤な顔をした私が映っている。全て見透かされてる、そう思うと恥ずかしさが限界を超えた。
「! …も、やだぁっ…」
「ちょ、なんで泣くのよ…?!」
私が泣き始めてしまったものだから、柳宿は慌てふためいて掴んでいた手を解放した。
「ごめん、手?!手が痛かったの!?」
「っ、柳宿いじわるばっかりっ…」
「あー…ごめん、いじわるとかそんなつもりじゃなかったのよ」
「…じゃあなに…?」
「嬉しかったのよ、蘭飛が妬いてくれたことが」
その時、柳宿の頬がほのかに色づいていることに気付いた。彼の指が目尻に溜まった涙をそっと掬い上げる。
「いつもあたしばっかなのも気に食わなかったのよね」
「あたしばっかりって…柳宿もあるの…?」
「もう数え切れないくらいあるし、なんならさっきも井宿に妬いてたわよ」
気付かなかった、そう呟くと、あんたらしいわと柳宿はまた笑った。
「お願いだからこれからは他の男の部屋に…ううん、男とふたりきりになろうとしないで」
「…ん、分かった。柳宿もしないで…お願い」
「もちろんしないわ。約束、」
互いの小指を絡ませ指切りすると、なんだか可笑しく思えてきて柳宿と顔を見合わせ笑った。
「ね、これからあたしの部屋で飲まない?」
「飲も飲も!部屋にお酒置いてあるから取りに行ってから柳宿のとこ行くね」
「ならあたしも一緒に行くわ。……蘭飛、泣かせてごめんね」
「…ううん、大丈夫」
柳宿と肩を並ばせ歩く時が、私にとってなくてはならないもので、当たり前のものになっている。どんなに涙を流そうが、ここに戻ってくることが出来れば私は幸せで。隣にいるだけで心地の良いこの感覚を柳宿も感じてくれていたらいいな、そう願わずにはいられなかった。
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