ep.07 君と「ふたり」になりたい
Name change
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2度目の電話もコール音が虚しく続くだけだった。
何度目かのコールで諦めて、通話終了のボタンをタップした黒尾は、そのまま後ろに倒れ込むようにしてベッドに仰向けで横になる。
時間は22時過ぎ。音駒高校で再会して、勇気を出して名前の新しい連絡先を聞いてから、そろそろ1週間が経つ。あれからずっと、この時間になると毎晩のように電話をして話すようになっていた。
話の内容なんて、あってないようなもので、互いのなんでもない日常の話だったり、最近観た面白いテレビの話だったり、本当にただただ言葉を交わすだけだ。そして、あっという間に2時間が過ぎて、日付が変わる頃に「おやすみ」と交わして眠りにつく。
今夜もそのつもりだったのだけれど、電話をする前に名前は眠ってしまったようだ。
きっと、それだけだーーーー、黒尾は自分にそう言い聞かせる。
名前が引っ越してから、彼女がどこにいるのかすらも分からない日々が続いていた。
元気でしてくれていると、それだけ分かれば良いーーーなんて、考えたこともあったけれど、実際はそうではなかったらしい。
一目会えれば良かったはずなのに、思いがけず音駒高校で再会すると、もっと喋っていたくなった。だから、連絡先を聞いて、電話をするようになると、このままずっと朝まで話していたくなる。
欲はどんどん溢れて、自分でも止められない。
いつも自分の隣にいた名前が、他の男の隣で笑っている写真をみせられ、嫉妬心を刺激させられたのも、黒尾の彼女への欲を掻き立てられる理由のひとつかもしれなかった。
月島の隣で笑う名前の笑みは、とても可愛らしくて、黒尾が知っている姿そのものだったせいだ。
研磨が聞いた限りでは、月島と名前はただの先輩後輩の仲でしかなく、たまたま家が近所なことで知り合っただけらしい。
でも、本当にそうだろうか。
フレンドリーで気さくで、誰とでも仲良くなりそうな雰囲気を醸し出すのが上手な名前だけれど、実は見えない壁を築くのが上手いところがある。たくさん傷つけられてきたことで、自衛心が強くなってしまったのだろう。
音駒高校にいた頃も、黒尾や研磨の前の名前と他の友人達の前では、どこか違っていた。彼女が本心を見せてくれていないことに、多分、海や夜久は気づいていたのではないだろうか。
それなら、月島の前の名前もそうなのだろうか。ちゃんと壁は作っているだろうか。
揶揄うように月島の頬を突いていた名前の楽しそうな写真が蘇る。
「あー…、会いてぇ…。」
天井を見上げていた両眼を、折り曲げた長い腕で隠した。
けれど、見慣れた自室に、隠した本音がポロリと漏れる。
今頃、名前は何をしているのだろうか。ベッドの中で眠っているのか。他の男と会っていたりしないだろうか。月島と笑い合ってはいないか。
遠過ぎて、分からな過ぎて、苦しい。
何度目かのコールで諦めて、通話終了のボタンをタップした黒尾は、そのまま後ろに倒れ込むようにしてベッドに仰向けで横になる。
時間は22時過ぎ。音駒高校で再会して、勇気を出して名前の新しい連絡先を聞いてから、そろそろ1週間が経つ。あれからずっと、この時間になると毎晩のように電話をして話すようになっていた。
話の内容なんて、あってないようなもので、互いのなんでもない日常の話だったり、最近観た面白いテレビの話だったり、本当にただただ言葉を交わすだけだ。そして、あっという間に2時間が過ぎて、日付が変わる頃に「おやすみ」と交わして眠りにつく。
今夜もそのつもりだったのだけれど、電話をする前に名前は眠ってしまったようだ。
きっと、それだけだーーーー、黒尾は自分にそう言い聞かせる。
名前が引っ越してから、彼女がどこにいるのかすらも分からない日々が続いていた。
元気でしてくれていると、それだけ分かれば良いーーーなんて、考えたこともあったけれど、実際はそうではなかったらしい。
一目会えれば良かったはずなのに、思いがけず音駒高校で再会すると、もっと喋っていたくなった。だから、連絡先を聞いて、電話をするようになると、このままずっと朝まで話していたくなる。
欲はどんどん溢れて、自分でも止められない。
いつも自分の隣にいた名前が、他の男の隣で笑っている写真をみせられ、嫉妬心を刺激させられたのも、黒尾の彼女への欲を掻き立てられる理由のひとつかもしれなかった。
月島の隣で笑う名前の笑みは、とても可愛らしくて、黒尾が知っている姿そのものだったせいだ。
研磨が聞いた限りでは、月島と名前はただの先輩後輩の仲でしかなく、たまたま家が近所なことで知り合っただけらしい。
でも、本当にそうだろうか。
フレンドリーで気さくで、誰とでも仲良くなりそうな雰囲気を醸し出すのが上手な名前だけれど、実は見えない壁を築くのが上手いところがある。たくさん傷つけられてきたことで、自衛心が強くなってしまったのだろう。
音駒高校にいた頃も、黒尾や研磨の前の名前と他の友人達の前では、どこか違っていた。彼女が本心を見せてくれていないことに、多分、海や夜久は気づいていたのではないだろうか。
それなら、月島の前の名前もそうなのだろうか。ちゃんと壁は作っているだろうか。
揶揄うように月島の頬を突いていた名前の楽しそうな写真が蘇る。
「あー…、会いてぇ…。」
天井を見上げていた両眼を、折り曲げた長い腕で隠した。
けれど、見慣れた自室に、隠した本音がポロリと漏れる。
今頃、名前は何をしているのだろうか。ベッドの中で眠っているのか。他の男と会っていたりしないだろうか。月島と笑い合ってはいないか。
遠過ぎて、分からな過ぎて、苦しい。