ep.28 君は、誰にとっても「良い人」になろうとする
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隣を歩く月島はいつも通り、どこかつまらなそうに前だけを向いている。
坂ノ下商店前で別れた男子バレーボール部のメンバー達の賑やかな声は、もうすっかり聞こえない。
ちらりと後ろを振り返ってみても、いつの間にか見慣れた彼らの背中はどこにもなかった。
「さっきは、ありがとう。」
名前の感謝の言葉に気づいた月島が、視線を向ける。
けれどすぐに、またいつものどこかつまらなそうな表情に戻って、明後日の方を向いてしまう。
「なんのことですか。」
「んー、全部かな。」
「うわぁ、頭悪い人の答え。」
「本当のこと言っただけだし。」
名前は頬を膨らませて怒った後、クスクスと笑う。
今すぐにでも逃げ出したいーーーと思っていたあの時、まるで守るように大きな背中が目の前に現れた。あの瞬間、ほんの一瞬だけれど、黒尾がやってきたように見えてしまった。
だからだろうか。ひどく安堵したのだ。
実際は、黒尾がそうしてくれていたように守ってくれたわけではない。
それでも、いつだってすごく優しいのに、優しくしてあげているーーーとさえ思っていない月島に、助けられているのも事実だ。
ーーー転校した先に月島くんがいてよかった。
本人には言わないけど、名前は月島の方を見上げて、ふふッと笑った。
月島が、面倒そうに眉を顰めた。
坂ノ下商店前で別れた男子バレーボール部のメンバー達の賑やかな声は、もうすっかり聞こえない。
ちらりと後ろを振り返ってみても、いつの間にか見慣れた彼らの背中はどこにもなかった。
「さっきは、ありがとう。」
名前の感謝の言葉に気づいた月島が、視線を向ける。
けれどすぐに、またいつものどこかつまらなそうな表情に戻って、明後日の方を向いてしまう。
「なんのことですか。」
「んー、全部かな。」
「うわぁ、頭悪い人の答え。」
「本当のこと言っただけだし。」
名前は頬を膨らませて怒った後、クスクスと笑う。
今すぐにでも逃げ出したいーーーと思っていたあの時、まるで守るように大きな背中が目の前に現れた。あの瞬間、ほんの一瞬だけれど、黒尾がやってきたように見えてしまった。
だからだろうか。ひどく安堵したのだ。
実際は、黒尾がそうしてくれていたように守ってくれたわけではない。
それでも、いつだってすごく優しいのに、優しくしてあげているーーーとさえ思っていない月島に、助けられているのも事実だ。
ーーー転校した先に月島くんがいてよかった。
本人には言わないけど、名前は月島の方を見上げて、ふふッと笑った。
月島が、面倒そうに眉を顰めた。
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