ep.27 残念な1日だった君が、笑ってくれますように
Name change
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放課後の烏野第二体育館では、今日も男子バレー部員達が練習に力を入れていた。
マネージャーの清水も新人マネージャーの谷地と一緒に、洗濯やドリンク作り、ボール出しや記録など、忙しく動き回る。
今までひとりで出来ていたことも、2人に慣れるとそれが普通になってしまう。
最近では、バイトの休みの日に名前がマネージャー業を手伝っていてくれていた。
だから、名前の働きにどれだけ助けられていたのか、彼女がいない日はとても感じるのだ。
たぶん、彼女は男子バレーボール部、もしくはその他の運動部のマネージャーの経験者なのではないだろうか。
無駄のない動きと、部員達への目の配り方はとてもだった。
でも、今日は、それとはまた違う理由で、清水は、今日、名前が第二体育館にいないことに心が落ち着かない。
休憩時間を見計らって、清水は月島の元へ向かう。
「月島、今日は名前さん、
バイトは予定通り休みだけど、他の用事が出来ちゃったみたい。」
清水が言うと、ドリンクを飲んでいた月島が視線だけをチラリと向けた。
気を利かせたつもりだったのか———たぶん、違う。
名前のことが気になって、とにかく誰かと彼女のことを話したかったのだ。
月島が、ドリンクを飲み終わってから、口を開く。
「はい、聞きました。部活前に、連絡来てたんで。」
「あ、そっか。月島は名前さんと連絡先交換してるんだったね。」
「はい。仕方なくですけど。」
「仕方なくでも羨ましいよ。私も、知らないから。」
「え、清水さん、名前さんの連絡先知らないんですか。」
月島が少し驚いたように言う。
清水からすれば、3年の間でも有名な名前と早い段階で連絡先を交換していた月島の方が驚きだ。きっとそれは、清水だけではない。
田中と西谷も名前に連絡先を聞いたらしいが、教えてもらえなかった。
メッセージの返信をするのを忘れがちになって困らせることが多いから、というのが理由のようだけれど、実際の本音は彼女しか知らない。
「名前さん、あんまり連絡先交換したがらないって噂聞いたことあるから。
私から聞いてないの。
———名前さんからも聞かれないしね。」
清水から自虐的な笑みがこぼれる。
今日の昼間の名前の姿が、頭から離れない。
友人達に抱き着かれているのに、名前はとてもつらそうだった。
でも、清水にはどうしてやることも出来なかった。
だって、あのとき、名前が大切にしたいと思っていたのは、清水との時間よりも、彼女達とのこれからも続く友情だったからだ。
彼女達が、清水に対して牽制してきていたことにはすぐに気が付いた。
でも、わざわざそんなことをする必要が、彼女達にはあったのだろうか。
彼女達はきっと名前の連絡先を知っていて、いつも一緒にいて、名前から想われている。
今、学校での友人の名前を聞かれたとき、彼女が呼ぶ名前は、きっと彼女達のことだ。
そんな単純なことに、彼女達は気づいているのだろうか。
「あー…、そういえば、音駒の人達の連絡先も全部消したって言ってましたね。 」
「え、そうなの?」
「誰かと繋がるのが好きじゃないんじゃないですか。
僕と連絡先交換したのも成り行きだったし、必要最低限の連絡しか取り合いませんから。」
月島はそれだけ言うと、山口達の元へ行ってしまった。
気を遣わせたのかもしれない。
そう思ったけれど、昼休みに見た名前のことが気がかりで落ち着かなかった清水にとって、そんな彼の優しさが嬉しくもなった。
名前のそばにいるのは、彼女達だけじゃない。月島がいる。
そう言えば、月島は迷惑がるだろうか。面倒そうに眉を顰めるだろうか。嫌味のひとつでも返ってくるかもしれない。
でも、そう思えたことが、とても心強かったのだ。
名前にとってもそうだといい———清水は、月島の隣で安心したように笑う名前の笑顔を思い浮かべると、明日も彼女が笑っていますようにと願った。
マネージャーの清水も新人マネージャーの谷地と一緒に、洗濯やドリンク作り、ボール出しや記録など、忙しく動き回る。
今までひとりで出来ていたことも、2人に慣れるとそれが普通になってしまう。
最近では、バイトの休みの日に名前がマネージャー業を手伝っていてくれていた。
だから、名前の働きにどれだけ助けられていたのか、彼女がいない日はとても感じるのだ。
たぶん、彼女は男子バレーボール部、もしくはその他の運動部のマネージャーの経験者なのではないだろうか。
無駄のない動きと、部員達への目の配り方はとてもだった。
でも、今日は、それとはまた違う理由で、清水は、今日、名前が第二体育館にいないことに心が落ち着かない。
休憩時間を見計らって、清水は月島の元へ向かう。
「月島、今日は名前さん、
バイトは予定通り休みだけど、他の用事が出来ちゃったみたい。」
清水が言うと、ドリンクを飲んでいた月島が視線だけをチラリと向けた。
気を利かせたつもりだったのか———たぶん、違う。
名前のことが気になって、とにかく誰かと彼女のことを話したかったのだ。
月島が、ドリンクを飲み終わってから、口を開く。
「はい、聞きました。部活前に、連絡来てたんで。」
「あ、そっか。月島は名前さんと連絡先交換してるんだったね。」
「はい。仕方なくですけど。」
「仕方なくでも羨ましいよ。私も、知らないから。」
「え、清水さん、名前さんの連絡先知らないんですか。」
月島が少し驚いたように言う。
清水からすれば、3年の間でも有名な名前と早い段階で連絡先を交換していた月島の方が驚きだ。きっとそれは、清水だけではない。
田中と西谷も名前に連絡先を聞いたらしいが、教えてもらえなかった。
メッセージの返信をするのを忘れがちになって困らせることが多いから、というのが理由のようだけれど、実際の本音は彼女しか知らない。
「名前さん、あんまり連絡先交換したがらないって噂聞いたことあるから。
私から聞いてないの。
———名前さんからも聞かれないしね。」
清水から自虐的な笑みがこぼれる。
今日の昼間の名前の姿が、頭から離れない。
友人達に抱き着かれているのに、名前はとてもつらそうだった。
でも、清水にはどうしてやることも出来なかった。
だって、あのとき、名前が大切にしたいと思っていたのは、清水との時間よりも、彼女達とのこれからも続く友情だったからだ。
彼女達が、清水に対して牽制してきていたことにはすぐに気が付いた。
でも、わざわざそんなことをする必要が、彼女達にはあったのだろうか。
彼女達はきっと名前の連絡先を知っていて、いつも一緒にいて、名前から想われている。
今、学校での友人の名前を聞かれたとき、彼女が呼ぶ名前は、きっと彼女達のことだ。
そんな単純なことに、彼女達は気づいているのだろうか。
「あー…、そういえば、音駒の人達の連絡先も全部消したって言ってましたね。 」
「え、そうなの?」
「誰かと繋がるのが好きじゃないんじゃないですか。
僕と連絡先交換したのも成り行きだったし、必要最低限の連絡しか取り合いませんから。」
月島はそれだけ言うと、山口達の元へ行ってしまった。
気を遣わせたのかもしれない。
そう思ったけれど、昼休みに見た名前のことが気がかりで落ち着かなかった清水にとって、そんな彼の優しさが嬉しくもなった。
名前のそばにいるのは、彼女達だけじゃない。月島がいる。
そう言えば、月島は迷惑がるだろうか。面倒そうに眉を顰めるだろうか。嫌味のひとつでも返ってくるかもしれない。
でも、そう思えたことが、とても心強かったのだ。
名前にとってもそうだといい———清水は、月島の隣で安心したように笑う名前の笑顔を思い浮かべると、明日も彼女が笑っていますようにと願った。