ep.20 君に勉強を教えるのは大変
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「お邪魔しま~す。」
部屋に入るときの名前も、家に上がったときと同じだった。
ドキドキすると言いながらも、ワクワクしているようにしか見えない。
自分の部屋に家族以外が入ったのは、中学の頃の山口以来だ。
見られて困るものもない。
平均的な広さの部屋に机、窓際にベッド、ちょっとした棚があるだけだ。
勉強を教えるには一人用の机は小さいので、普段は使わないローテーブルを中央に置いておいた。
普段と違うのはそれくらいで、後はよくある普通の部屋だ。
それでも、いつもは1人で過ごす部屋に今は2人でいる。
なんだか妙な気恥ずかしさがあった。
偶々一緒に帰るようになっただけで、そこまで『仲が良い』わけでも『親しい』わけでもない、名前なら尚更だった。
「適当に座って。」
「はーい。」
気持ちの良い返事をしたのに、名前は、どこかに座ろうとする素振りすら見せず、物珍しいものを見るみたいにキョロキョロしていた。
「恐竜がいる~!」
名前が最初に目を付けたのは、机前にある壁掛けの棚に飾っていた恐竜のフィギュアだった。
そういえば、山口が部屋に来たときにも恐竜のフィギュアに驚いていた。
意外だとも言われたような気がする。
「あ!これ、この間買った化石でしょ!」
名前は、恐竜の隣に飾っていた化石を見つけた。
そして、次にその視線は、本棚へと向く。
「恐竜の本もいっぱいある〜!一冊見てみてもいい?」
「別にいいですけど。」
そんなことより勉強をしにきたのではないか。
そう思ったけれど、指摘するのも面倒で好きにさせた。
飽きればすぐに本題を思い出すはずだ。
きっと、恐竜の本なんてすぐに飽きる。
名前が恐竜の本を読んでいる間に、月島は勉強の準備を始めた。
今日は、名前の勉強を見るという目的ではあるが、期末テストがあるのは月島も同じだ。
名前が問題を解いている間は、月島もテスト勉強をするつもりだ。
ペンケースと教科書、問題集を出してローテーブルに並べる。
「私もあれから恐竜について勉強したんだよ〜。」
名前が恐竜の本を読みながら言う。
「そんなことよりも、名前さんは他に勉強しないといけないことが
たくさんあるんじゃないんですか?」
月島は正しい指摘をしながら、自分の問題集を開いた。
名前の気が恐竜にいっている間に、数学の問題を解いておこう。
「色って想像なんでしょ?
いいよねっ、ロマンだよね!私なら何色に恐竜を染めようかな~。」
名前がワクワクした様子で言う。
勉強してきた、と言うのはそういうことらしい。
彼女は心から、恐竜を色づけた学者たちのことをロマンだと思っている。なんだか、名前らしい。
「情報が古いですよ。今は、組織片に残ってるメラニン色素で
ある程度の色や模様は分かります。」
「メラニン色素?お肌の?」
「良い化石だけですけど、顕微鏡で調べると———。」
恐竜について語る月島は饒舌だった。
いつの間にか、名前はテーブルのそばに座っていて、恐竜図鑑を楽しそうに見ながら説明を聞いていた。
一体、誰が恐竜図鑑を出してきたのか、覚えていない———完全に無意識だった。
部屋に入るときの名前も、家に上がったときと同じだった。
ドキドキすると言いながらも、ワクワクしているようにしか見えない。
自分の部屋に家族以外が入ったのは、中学の頃の山口以来だ。
見られて困るものもない。
平均的な広さの部屋に机、窓際にベッド、ちょっとした棚があるだけだ。
勉強を教えるには一人用の机は小さいので、普段は使わないローテーブルを中央に置いておいた。
普段と違うのはそれくらいで、後はよくある普通の部屋だ。
それでも、いつもは1人で過ごす部屋に今は2人でいる。
なんだか妙な気恥ずかしさがあった。
偶々一緒に帰るようになっただけで、そこまで『仲が良い』わけでも『親しい』わけでもない、名前なら尚更だった。
「適当に座って。」
「はーい。」
気持ちの良い返事をしたのに、名前は、どこかに座ろうとする素振りすら見せず、物珍しいものを見るみたいにキョロキョロしていた。
「恐竜がいる~!」
名前が最初に目を付けたのは、机前にある壁掛けの棚に飾っていた恐竜のフィギュアだった。
そういえば、山口が部屋に来たときにも恐竜のフィギュアに驚いていた。
意外だとも言われたような気がする。
「あ!これ、この間買った化石でしょ!」
名前は、恐竜の隣に飾っていた化石を見つけた。
そして、次にその視線は、本棚へと向く。
「恐竜の本もいっぱいある〜!一冊見てみてもいい?」
「別にいいですけど。」
そんなことより勉強をしにきたのではないか。
そう思ったけれど、指摘するのも面倒で好きにさせた。
飽きればすぐに本題を思い出すはずだ。
きっと、恐竜の本なんてすぐに飽きる。
名前が恐竜の本を読んでいる間に、月島は勉強の準備を始めた。
今日は、名前の勉強を見るという目的ではあるが、期末テストがあるのは月島も同じだ。
名前が問題を解いている間は、月島もテスト勉強をするつもりだ。
ペンケースと教科書、問題集を出してローテーブルに並べる。
「私もあれから恐竜について勉強したんだよ〜。」
名前が恐竜の本を読みながら言う。
「そんなことよりも、名前さんは他に勉強しないといけないことが
たくさんあるんじゃないんですか?」
月島は正しい指摘をしながら、自分の問題集を開いた。
名前の気が恐竜にいっている間に、数学の問題を解いておこう。
「色って想像なんでしょ?
いいよねっ、ロマンだよね!私なら何色に恐竜を染めようかな~。」
名前がワクワクした様子で言う。
勉強してきた、と言うのはそういうことらしい。
彼女は心から、恐竜を色づけた学者たちのことをロマンだと思っている。なんだか、名前らしい。
「情報が古いですよ。今は、組織片に残ってるメラニン色素で
ある程度の色や模様は分かります。」
「メラニン色素?お肌の?」
「良い化石だけですけど、顕微鏡で調べると———。」
恐竜について語る月島は饒舌だった。
いつの間にか、名前はテーブルのそばに座っていて、恐竜図鑑を楽しそうに見ながら説明を聞いていた。
一体、誰が恐竜図鑑を出してきたのか、覚えていない———完全に無意識だった。