Q15. あることないこと言い触らすのはやめてくれますか?
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「え?リヴァイとなまえ、付き合ってんの?」
ハンジさんが目を丸くしたその横で、俺も固まっていた。
グンタとエルドはお互いに驚いた様子で顔を見合わせ、オルオは思いっきり舌を噛んでいる。毎度のことながら、とても痛そうで、彼の舌が心配になる。
驚いた拍子に手綱を離してしまったオルオの馬を、ペトラが間一髪で捕まえてくれた。
バシバシと背中を叩きながら「モブリット、知ってた?知ってた?」と訊ねられるけれど、驚きで呆然としている俺がそんなこと知っているわけがない。
どうやら、皆の様子を見る限りだと、知っていたのはペトラだけだったようだ。
リヴァイ兵長が驚くことを言いだしたのは、出張からの帰路の途中、休憩をとるために馬の手綱を木の幹に括り付けているときだった。
何の話題がきっかけだったのかは俺も覚えていない。
仲間が集まったときのよくある他愛のない会話だったのだ。
『あぁ、そうだ…!お前らに言っておかねぇといけねぇことがある。
なまえは俺の女だ。指一本触れるんじゃねぇぞ。そのうなじ、削ぎ落してやるからな。』
そうだ———会話も無視で、唐突に放り込まれた爆弾だった。
出張に出たそのときから、リヴァイ兵長の様子がおかしいことにはなんとなく気づいていた。
何か話したいことがあるのかなとも思っていたのだけれど、忙しすぎて訊ねる機会もなかった。
「あ、もしかして、今日は午後からなまえが休みだから
どうしても今日中に帰りたくて、さっさと仕事しろって私達を急かしたのかい?」
「うるせぇ。」
からかうハンジさんを面倒そうにあしらうリヴァイ兵長だけれど、否定しないところを見ると、恋人に会いたくて出張を早めに切り上げようとしていたのは間違いないようだ。
よく考えれば、今回の出張が異常に忙しかったのも、リヴァイ兵長の『超高速で任務を遂行しろ』というプレッシャーが強かったからだ。
(そうか…。可愛い彼女に早く会いたかったのか。)
もしかしたら、気心知れた仲間で出張に出たそのときから、新しい彼女のことを教えたくて仕方なかったのかもしれない。
そう思うと、ハンジさんにどうして黙っていたのかと問い詰められて、「なまえが恥ずかしがって口止めされてたんだ。」と口を尖らせているリヴァイ兵長が、なんだか可愛く見えてくる。
「あ~…、そしたら、私。なまえに悪いことしちゃったかもしれない。
あと、リヴァイにも。」
「今度は何したんすか、ハンジさん。」
オルオが首の後ろを掻きながら、心底疲れた様子で言う。
グンタとエルドもペトラも不安そうだし、リヴァイ兵長なんてもう既に怒り出しそうだ。
かく言う俺も、ハンジさんが何を言い出すのか怖くて仕方がない。
皆、いろんな〝悪いこと〟を経験してきている被害者なのだ。
「今日はなまえが午後から休みって言うからさ、
グスタフとなまえのデートをセッティングしておいたんだよね~。」
どうしようか————緊張感のない顔で、ハンジさんが頭を掻きながらアハハと笑う。
その前で、俺とリヴァイ班は顔面蒼白だ。
ゾワッと鳥肌が立つ感覚に思わず身震いした拍子に、リヴァイ兵長の顔を見てしまった俺は、人生最大に後悔する。
悪魔だった。リヴァイ兵長が、悪魔のような顔をしている。
「いやぁ~。なまえが、シュッとしたイケメンで
長身で落ち着いてて、性格も穏やかな人が好きって言ってたからさぁ。
まさに、グスタフがピッタリだと思わないかい?」
ハンジさんが、鼻息荒く右手の人差し指を立てる。
彼女が言うには、婚約までした恋人と別れてからずっとシングルだったグスタフにも、なまえはとてもぴったりなお嫁さんだと思ったのだそうだ。
良い意味でも悪い意味でも、調査兵団に属している女性兵士達は、芯も強ければ我も強い。それに引きかえ、なまえは控えめで女性的だ。ハンジさんもそんな彼女が可愛くて仕方がないことを、俺もよく知っていた。
だからこそ、お嫁さんというワードがとても似合う彼女の好きなタイプとドンピシャの男を見つけたことが嬉しいのだろうと察することは出来る。
だからどうかハンジさんにも、今はそれを言うべきところではないことを察してほしかった。
「あ…っ、あの…!リヴァイ兵長もシュッとしたイケメンだし、
好きなタイプにすごく当てはまってると思います!!」
最初に助け舟を出したのは、ペトラだった。
それに続けとばかりに、リヴァイ班が連携プレーを見せて、リヴァイ兵長の素晴らしさを雄弁に語り始める。
奇行種は空気を読むのが下手なわけではない。天才的に、空気を読まないのだ。
このときもそうだった。
「いやいや、長身で性格の穏やかな人がいいんだよ?
リヴァイ、正反対…っ。」
アハハハハ————ハンジさんが、腹を抱えて笑い出した。
俺はこのとき、ハンジさんの死期を悟った。
あと3秒後に、彼女の命は尽きる。99%、外れない。
「…ッ。」
リヴァイ兵長が動いた。
それは、まるで光のような速さだった。
ハンジさんが殺される————咄嗟に、彼女を守るように動いた俺の目の前を、リヴァイ兵長の愛馬が駆け抜けていく。
気づいたときには、リヴァイ兵長の背中は遥か彼方だった。
「リヴァイ、そんなに早くなまえに会いたかったのかぁ。
可愛いもんね。私も好きだよ、なまえ。幸せになってほしいね。」
ハンジさんが、嬉しそうに頷く。
俺達は、なまえの無事を心から祈った。
ハンジさんが目を丸くしたその横で、俺も固まっていた。
グンタとエルドはお互いに驚いた様子で顔を見合わせ、オルオは思いっきり舌を噛んでいる。毎度のことながら、とても痛そうで、彼の舌が心配になる。
驚いた拍子に手綱を離してしまったオルオの馬を、ペトラが間一髪で捕まえてくれた。
バシバシと背中を叩きながら「モブリット、知ってた?知ってた?」と訊ねられるけれど、驚きで呆然としている俺がそんなこと知っているわけがない。
どうやら、皆の様子を見る限りだと、知っていたのはペトラだけだったようだ。
リヴァイ兵長が驚くことを言いだしたのは、出張からの帰路の途中、休憩をとるために馬の手綱を木の幹に括り付けているときだった。
何の話題がきっかけだったのかは俺も覚えていない。
仲間が集まったときのよくある他愛のない会話だったのだ。
『あぁ、そうだ…!お前らに言っておかねぇといけねぇことがある。
なまえは俺の女だ。指一本触れるんじゃねぇぞ。そのうなじ、削ぎ落してやるからな。』
そうだ———会話も無視で、唐突に放り込まれた爆弾だった。
出張に出たそのときから、リヴァイ兵長の様子がおかしいことにはなんとなく気づいていた。
何か話したいことがあるのかなとも思っていたのだけれど、忙しすぎて訊ねる機会もなかった。
「あ、もしかして、今日は午後からなまえが休みだから
どうしても今日中に帰りたくて、さっさと仕事しろって私達を急かしたのかい?」
「うるせぇ。」
からかうハンジさんを面倒そうにあしらうリヴァイ兵長だけれど、否定しないところを見ると、恋人に会いたくて出張を早めに切り上げようとしていたのは間違いないようだ。
よく考えれば、今回の出張が異常に忙しかったのも、リヴァイ兵長の『超高速で任務を遂行しろ』というプレッシャーが強かったからだ。
(そうか…。可愛い彼女に早く会いたかったのか。)
もしかしたら、気心知れた仲間で出張に出たそのときから、新しい彼女のことを教えたくて仕方なかったのかもしれない。
そう思うと、ハンジさんにどうして黙っていたのかと問い詰められて、「なまえが恥ずかしがって口止めされてたんだ。」と口を尖らせているリヴァイ兵長が、なんだか可愛く見えてくる。
「あ~…、そしたら、私。なまえに悪いことしちゃったかもしれない。
あと、リヴァイにも。」
「今度は何したんすか、ハンジさん。」
オルオが首の後ろを掻きながら、心底疲れた様子で言う。
グンタとエルドもペトラも不安そうだし、リヴァイ兵長なんてもう既に怒り出しそうだ。
かく言う俺も、ハンジさんが何を言い出すのか怖くて仕方がない。
皆、いろんな〝悪いこと〟を経験してきている被害者なのだ。
「今日はなまえが午後から休みって言うからさ、
グスタフとなまえのデートをセッティングしておいたんだよね~。」
どうしようか————緊張感のない顔で、ハンジさんが頭を掻きながらアハハと笑う。
その前で、俺とリヴァイ班は顔面蒼白だ。
ゾワッと鳥肌が立つ感覚に思わず身震いした拍子に、リヴァイ兵長の顔を見てしまった俺は、人生最大に後悔する。
悪魔だった。リヴァイ兵長が、悪魔のような顔をしている。
「いやぁ~。なまえが、シュッとしたイケメンで
長身で落ち着いてて、性格も穏やかな人が好きって言ってたからさぁ。
まさに、グスタフがピッタリだと思わないかい?」
ハンジさんが、鼻息荒く右手の人差し指を立てる。
彼女が言うには、婚約までした恋人と別れてからずっとシングルだったグスタフにも、なまえはとてもぴったりなお嫁さんだと思ったのだそうだ。
良い意味でも悪い意味でも、調査兵団に属している女性兵士達は、芯も強ければ我も強い。それに引きかえ、なまえは控えめで女性的だ。ハンジさんもそんな彼女が可愛くて仕方がないことを、俺もよく知っていた。
だからこそ、お嫁さんというワードがとても似合う彼女の好きなタイプとドンピシャの男を見つけたことが嬉しいのだろうと察することは出来る。
だからどうかハンジさんにも、今はそれを言うべきところではないことを察してほしかった。
「あ…っ、あの…!リヴァイ兵長もシュッとしたイケメンだし、
好きなタイプにすごく当てはまってると思います!!」
最初に助け舟を出したのは、ペトラだった。
それに続けとばかりに、リヴァイ班が連携プレーを見せて、リヴァイ兵長の素晴らしさを雄弁に語り始める。
奇行種は空気を読むのが下手なわけではない。天才的に、空気を読まないのだ。
このときもそうだった。
「いやいや、長身で性格の穏やかな人がいいんだよ?
リヴァイ、正反対…っ。」
アハハハハ————ハンジさんが、腹を抱えて笑い出した。
俺はこのとき、ハンジさんの死期を悟った。
あと3秒後に、彼女の命は尽きる。99%、外れない。
「…ッ。」
リヴァイ兵長が動いた。
それは、まるで光のような速さだった。
ハンジさんが殺される————咄嗟に、彼女を守るように動いた俺の目の前を、リヴァイ兵長の愛馬が駆け抜けていく。
気づいたときには、リヴァイ兵長の背中は遥か彼方だった。
「リヴァイ、そんなに早くなまえに会いたかったのかぁ。
可愛いもんね。私も好きだよ、なまえ。幸せになってほしいね。」
ハンジさんが、嬉しそうに頷く。
俺達は、なまえの無事を心から祈った。