【第十訓】歓迎会は歓迎される側もする側も気持ちが大事
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今夜、真選組屯所の広間は、宴会場と化していた。
隊士達は、酒とほんの少しだけ贅沢をした夕食とつまみを食らい、好き勝手に騒いでいる。
その中心にいるのは、歓迎会の飛び入り主役になった名前だ。
旧知の仲の隊士達が、彼女を囲み、昔話に花を咲かせようとすれば、若い隊士達が、彼女の剣術について好奇心いっぱいに矢継ぎ早に質問を飛ばしている。
「くそっ、なんだってんだよ。今日は俺達の歓迎会じゃなかったのかよ。」
徳利を傾けながら、ちびちびと酒を煽る銀時からは、だいぶ前から零れだした愚痴が止まらない。
苛立つのは、隊士達が、彼女に夢中になってしまったせいで自分達の存在を忘れてしまったのではなく、初めから自分達のことを歓迎などしていなかったことを知っているからだ。
それでも、歓迎会という名目で酒と贅沢な食事にありつけるのなら構わなかった。
だからこそ、真選組局長である近藤勲をうまく転がして、土方が大反対した歓迎会をわざわざ開かせたのだ。
それが今、酔っぱらって顔を真っ赤にしているゴリラ———もとい近藤は、率先してふんどし一丁で頭にネクタイを巻くという、酔っぱらい代表のような格好を晒し、本当に文字通り、床に〝転がっている〟から、無駄に腹が立つ。
いや、実際は違うのかもしれない。
たぶん、銀時は、落ち込んでいるのだ。
真選組の隊士達とは、今まで幾度もいろんなトラブルを越えてきた。
お互いにとって不本意なトラブルの方が多かっただろうが、それなりに信頼関係が築けていたからこそ、今回、助っ人として雇われることになったのだと思っていたのだ。
それが蓋を開けてみれば、ぱっと現れた彼らの昔の仲間が、すべてを持って行ってしまった。
ここまで、自分達は人望がなかったのか———ショックなのも、腹が立つのも、きっとそこだ。
「本当アル!!全く、アイツらは、私達をバカにし過ぎアルネ!」
白飯をかきこみながら、神楽が文句を言う。
どこから持ってきたのか、彼女が抱えているのは、炊飯器だ。
そのすぐそばにある皿には、肉が山積みになっている代わりに、少し離れた場所に座る山崎の皿の上には、野菜が山積みになっている。
涙目の彼と、彼女がどこからか調達した肉に、まったくの関係がないとは思えない。
「そーだそーだ。」
落ち込んだ様子を隠しもせずに、銀時は虚ろな目で同意し、酒をすする。
「ていうかこの漫画原作のヒロインは私アル!誰ネ!!
意味の分からない女を妄想して、勝手に小説にしたこじらせ女は!!」
「そーだ、そーだ。」
「いやいや、明らかにたった1人に対しての悪意のあるセリフはやめましょうよ。
僕達、本当に出番がなくなっちゃいますよ。」
「そーだ、そーだ。」
「別にいいネ!そしたら今度は、神楽チャンがヒロインの物語が始まるネ!!
その名も・・・・・・・・・・・新八、いいのを考えろヨ。」
「そーだ、そーだ。」
「自分で言い出しておいて、結局俺に丸投げかよ!!
そして、銀さん!アンタ、適当に相槌打つのをやめてください!
じめじめしてて、気持ち悪いんですよ!!」
新八の渾身のツッコミも、隊士達の騒がしさに紛れてしまう。
ハァハァと肩で息を吐き出す新八は、誰にも相手をしてもらえない虚しさを感じながら、やっと銀時と神楽の寂しさが分かった気がした。
隊士達は、酒とほんの少しだけ贅沢をした夕食とつまみを食らい、好き勝手に騒いでいる。
その中心にいるのは、歓迎会の飛び入り主役になった名前だ。
旧知の仲の隊士達が、彼女を囲み、昔話に花を咲かせようとすれば、若い隊士達が、彼女の剣術について好奇心いっぱいに矢継ぎ早に質問を飛ばしている。
「くそっ、なんだってんだよ。今日は俺達の歓迎会じゃなかったのかよ。」
徳利を傾けながら、ちびちびと酒を煽る銀時からは、だいぶ前から零れだした愚痴が止まらない。
苛立つのは、隊士達が、彼女に夢中になってしまったせいで自分達の存在を忘れてしまったのではなく、初めから自分達のことを歓迎などしていなかったことを知っているからだ。
それでも、歓迎会という名目で酒と贅沢な食事にありつけるのなら構わなかった。
だからこそ、真選組局長である近藤勲をうまく転がして、土方が大反対した歓迎会をわざわざ開かせたのだ。
それが今、酔っぱらって顔を真っ赤にしているゴリラ———もとい近藤は、率先してふんどし一丁で頭にネクタイを巻くという、酔っぱらい代表のような格好を晒し、本当に文字通り、床に〝転がっている〟から、無駄に腹が立つ。
いや、実際は違うのかもしれない。
たぶん、銀時は、落ち込んでいるのだ。
真選組の隊士達とは、今まで幾度もいろんなトラブルを越えてきた。
お互いにとって不本意なトラブルの方が多かっただろうが、それなりに信頼関係が築けていたからこそ、今回、助っ人として雇われることになったのだと思っていたのだ。
それが蓋を開けてみれば、ぱっと現れた彼らの昔の仲間が、すべてを持って行ってしまった。
ここまで、自分達は人望がなかったのか———ショックなのも、腹が立つのも、きっとそこだ。
「本当アル!!全く、アイツらは、私達をバカにし過ぎアルネ!」
白飯をかきこみながら、神楽が文句を言う。
どこから持ってきたのか、彼女が抱えているのは、炊飯器だ。
そのすぐそばにある皿には、肉が山積みになっている代わりに、少し離れた場所に座る山崎の皿の上には、野菜が山積みになっている。
涙目の彼と、彼女がどこからか調達した肉に、まったくの関係がないとは思えない。
「そーだそーだ。」
落ち込んだ様子を隠しもせずに、銀時は虚ろな目で同意し、酒をすする。
「ていうかこの漫画原作のヒロインは私アル!誰ネ!!
意味の分からない女を妄想して、勝手に小説にしたこじらせ女は!!」
「そーだ、そーだ。」
「いやいや、明らかにたった1人に対しての悪意のあるセリフはやめましょうよ。
僕達、本当に出番がなくなっちゃいますよ。」
「そーだ、そーだ。」
「別にいいネ!そしたら今度は、神楽チャンがヒロインの物語が始まるネ!!
その名も・・・・・・・・・・・新八、いいのを考えろヨ。」
「そーだ、そーだ。」
「自分で言い出しておいて、結局俺に丸投げかよ!!
そして、銀さん!アンタ、適当に相槌打つのをやめてください!
じめじめしてて、気持ち悪いんですよ!!」
新八の渾身のツッコミも、隊士達の騒がしさに紛れてしまう。
ハァハァと肩で息を吐き出す新八は、誰にも相手をしてもらえない虚しさを感じながら、やっと銀時と神楽の寂しさが分かった気がした。