25.夢の続きを選ぶ
Name change
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どれくらい時間が経っただろうか。
寝息が聞こえ始めたのを確認して、漸く目を開いたエースは、長い息を吐いた。
俯くようにして名前の額に自分の額を合わせれば、彼女の熱の高さが伝わってくる。
アパートの廊下で見つけたときよりはだいぶ下がった気もするけれど、まだ熱は続いているようだ。
あのとき繋いだ手を離すことがなんとなく出来ないまま、眠気と戦うことをやめて『俺の手を握ったまま離さない名前が悪い』と言い訳をして、エースがベッドに入ったのは今から1時間程前だった。
エースが眠っていたのは30分程度ではないだろうか。
名前に頬を触れられたことで目が覚めた。
けれど、なんとなく気まずくて、寝たフリを続け、名前の動きを待った。
目を閉じていたから見ていたわけではない。
けれど、名前の息遣いや反応から、エースが一緒に眠っていることに驚いていることが分かった。
そして、名前はわざわざエースの胸元に顔を埋めて眠ることを選んだ。
どうして————。
エースは、繋いでいる手を握りしめてみた。
さっき、名前がそうしたみたいには握りしめてはくれない。
けれど、彼女は手を離さなかった。
エースの頬に触れるときも、わざわざ左手を選んだし、二度寝をしたときも、手を離そうとしなかった。
あのときは、あんなにも容易く手を離して、突き放して、捨てていったくせに————。
今、彼女はエースの胸元で安心したように寝息を立てているのだ。
あの日の自分には、想像も出来ない状態だ。
あの日の自分が、夢に見たままのシチュエーションだ。
けれど、今のエースにとっては、腹立たしい状況であることに変わりはなかった。
「マジで、何考えてんだよ。」
意味わかんねぇよ————苦し気に眉を顰めて、エースは名前の頭を片手で抱いて胸元に引き寄せた。
風邪で普段よりも熱い体温が、エースの腕の中をあっという間に暖めていく。
華奢で小さな身体は、以前よりもずっと小さくなっている気がする。
忙しい塾講師の仕事のせいで痩せたのだろうか。
それとも、エースの身体が大きくなったのかもしれない。
あの頃とは、お互いに違うのだと思い知る。
それなのにどうして———。
(なんで、おれ…。)
名前が手を握りしめてきたとき、どうして握り返してしまったのだろう。
どうして離せなかったのだろう。
腕の中に名前を閉じ込めるように抱きしめながら、エースは瞼を強く閉じた。
寝息が聞こえ始めたのを確認して、漸く目を開いたエースは、長い息を吐いた。
俯くようにして名前の額に自分の額を合わせれば、彼女の熱の高さが伝わってくる。
アパートの廊下で見つけたときよりはだいぶ下がった気もするけれど、まだ熱は続いているようだ。
あのとき繋いだ手を離すことがなんとなく出来ないまま、眠気と戦うことをやめて『俺の手を握ったまま離さない名前が悪い』と言い訳をして、エースがベッドに入ったのは今から1時間程前だった。
エースが眠っていたのは30分程度ではないだろうか。
名前に頬を触れられたことで目が覚めた。
けれど、なんとなく気まずくて、寝たフリを続け、名前の動きを待った。
目を閉じていたから見ていたわけではない。
けれど、名前の息遣いや反応から、エースが一緒に眠っていることに驚いていることが分かった。
そして、名前はわざわざエースの胸元に顔を埋めて眠ることを選んだ。
どうして————。
エースは、繋いでいる手を握りしめてみた。
さっき、名前がそうしたみたいには握りしめてはくれない。
けれど、彼女は手を離さなかった。
エースの頬に触れるときも、わざわざ左手を選んだし、二度寝をしたときも、手を離そうとしなかった。
あのときは、あんなにも容易く手を離して、突き放して、捨てていったくせに————。
今、彼女はエースの胸元で安心したように寝息を立てているのだ。
あの日の自分には、想像も出来ない状態だ。
あの日の自分が、夢に見たままのシチュエーションだ。
けれど、今のエースにとっては、腹立たしい状況であることに変わりはなかった。
「マジで、何考えてんだよ。」
意味わかんねぇよ————苦し気に眉を顰めて、エースは名前の頭を片手で抱いて胸元に引き寄せた。
風邪で普段よりも熱い体温が、エースの腕の中をあっという間に暖めていく。
華奢で小さな身体は、以前よりもずっと小さくなっている気がする。
忙しい塾講師の仕事のせいで痩せたのだろうか。
それとも、エースの身体が大きくなったのかもしれない。
あの頃とは、お互いに違うのだと思い知る。
それなのにどうして———。
(なんで、おれ…。)
名前が手を握りしめてきたとき、どうして握り返してしまったのだろう。
どうして離せなかったのだろう。
腕の中に名前を閉じ込めるように抱きしめながら、エースは瞼を強く閉じた。