11.懐かしいキーホルダーと繋がる鍵
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塾を出た私は、駅とは反対方向へと歩き出した。
時々、イゾウとは会社終わりに会う約束をすることがある。
EBパーキングは、そのときに、イゾウがよく利用しているから、場所は覚えていた。
でも、その前に、近くのコンビニに寄り、イゾウの好きなホットの緑茶を買ってから、パーキングへと急ぐ。
あんまり待たせると不機嫌になるイゾウを怒らせないように、駆け足で向かえば、パーキングの一番奥に見覚えのあるド派手な真っ赤のスポーツカーを見つける。
イゾウの愛車だ。
外車の為、左側の窓に、つまらなそうにスマホを触っているイゾウの横顔を見つける。
駆け寄って、窓を軽く叩くと、スマホに落ちていたイゾウの視線が上がった。
すぐにウィンドウが下がって、意地悪く表情を歪めるイゾウが口を開く。
「早ぇじゃねぇか。」
「あんまり待たせると、駐車場代に利子つけられちゃうからね。」
「よくわかってんな。」
イゾウが、可笑しそうにククッと喉を鳴らした。
「それで、駐車番号は?」
「あぁ~、忘れ・・・・、」
窓越しに駐車場の番号を訊ねた私は、バッグの中から財布を探していた。
イゾウの言葉が途切れたのに気づき、顔を上げれば、彼は、私の向こうをじっと見ている。
「どうかした?」
「いや、なんでもねぇ。それよりお前、顔に真っ赤なキスマークついてるぜ?」
「・・・・キスマーク?」
「ココ。」
イゾウが、私の頬を少し強めに指で押す。
でも、キスマークをつけられるようなことはしていないし、残念ながら、今後そんな予定もない。
よく分からずに首を傾げる私を、運転席から見上げて、イゾウが可笑しそうにプッと吹き出す。
「赤ペンのあと、つけてんだよ。」
「えッ、うそッ!?いつから!?」
「知るかよ。ダセェ、その顔でコンビニ行ったのかよ。
恥ずかしいヤツ。」
「最悪…。」
「ほら、顔貸せ、拭いてやるから。」
イゾウは、車内に置いてあるウェットティッシュをとると、私の後頭部に手を添えて自分の方に引き寄せる。
何度見たって、見惚れてしまう綺麗な顔と至近距離になって、どうしてもドキリとしてしまう。
でも、イゾウは、なんとも思っていないような顔で、ウェットティッシュを使って、意地悪な言葉からは想像できないくらいに、優しく触れるように私の頬を拭いてくれた。
「———やっと、消えた。」
「ありが——。」
「これでまぁ、ダセェ顔が、まぁ見れる程度のマシな顔くらいにはなったんじゃねぇのか。」
イゾウが、至極真っ当なことでも言っているような顔をする。
お礼を言おうとしたのに、本当にいちいちムカつくやつだ。
「それで、さっきは何だったの?」
そう言って、私は後ろを振り返った。
さっき、イゾウが、私の向こうに何かを見つけたような顔をしたのを思い出したのだ。
でも、特に、何か気になるようなものは見つからない。
駐車場に行く前に寄ったコンビニや見覚えのあるビルと数名のサラリーマンが歩いている姿があるだけだ。人通りの少ないただの裏路地だった。
時々、イゾウとは会社終わりに会う約束をすることがある。
EBパーキングは、そのときに、イゾウがよく利用しているから、場所は覚えていた。
でも、その前に、近くのコンビニに寄り、イゾウの好きなホットの緑茶を買ってから、パーキングへと急ぐ。
あんまり待たせると不機嫌になるイゾウを怒らせないように、駆け足で向かえば、パーキングの一番奥に見覚えのあるド派手な真っ赤のスポーツカーを見つける。
イゾウの愛車だ。
外車の為、左側の窓に、つまらなそうにスマホを触っているイゾウの横顔を見つける。
駆け寄って、窓を軽く叩くと、スマホに落ちていたイゾウの視線が上がった。
すぐにウィンドウが下がって、意地悪く表情を歪めるイゾウが口を開く。
「早ぇじゃねぇか。」
「あんまり待たせると、駐車場代に利子つけられちゃうからね。」
「よくわかってんな。」
イゾウが、可笑しそうにククッと喉を鳴らした。
「それで、駐車番号は?」
「あぁ~、忘れ・・・・、」
窓越しに駐車場の番号を訊ねた私は、バッグの中から財布を探していた。
イゾウの言葉が途切れたのに気づき、顔を上げれば、彼は、私の向こうをじっと見ている。
「どうかした?」
「いや、なんでもねぇ。それよりお前、顔に真っ赤なキスマークついてるぜ?」
「・・・・キスマーク?」
「ココ。」
イゾウが、私の頬を少し強めに指で押す。
でも、キスマークをつけられるようなことはしていないし、残念ながら、今後そんな予定もない。
よく分からずに首を傾げる私を、運転席から見上げて、イゾウが可笑しそうにプッと吹き出す。
「赤ペンのあと、つけてんだよ。」
「えッ、うそッ!?いつから!?」
「知るかよ。ダセェ、その顔でコンビニ行ったのかよ。
恥ずかしいヤツ。」
「最悪…。」
「ほら、顔貸せ、拭いてやるから。」
イゾウは、車内に置いてあるウェットティッシュをとると、私の後頭部に手を添えて自分の方に引き寄せる。
何度見たって、見惚れてしまう綺麗な顔と至近距離になって、どうしてもドキリとしてしまう。
でも、イゾウは、なんとも思っていないような顔で、ウェットティッシュを使って、意地悪な言葉からは想像できないくらいに、優しく触れるように私の頬を拭いてくれた。
「———やっと、消えた。」
「ありが——。」
「これでまぁ、ダセェ顔が、まぁ見れる程度のマシな顔くらいにはなったんじゃねぇのか。」
イゾウが、至極真っ当なことでも言っているような顔をする。
お礼を言おうとしたのに、本当にいちいちムカつくやつだ。
「それで、さっきは何だったの?」
そう言って、私は後ろを振り返った。
さっき、イゾウが、私の向こうに何かを見つけたような顔をしたのを思い出したのだ。
でも、特に、何か気になるようなものは見つからない。
駐車場に行く前に寄ったコンビニや見覚えのあるビルと数名のサラリーマンが歩いている姿があるだけだ。人通りの少ないただの裏路地だった。