走り疲れた私は、公園のベンチに座り込んでいた。
まだ遊んでとせがむ子供達を連れて行ってくれたエースのおかげで、木陰で休憩中なのだ。
1人だと、熱中症にならないように飲み物を飲ませているときくらいしか座ることもできなかったから、本当に助かっている。
最初は、自分に警戒心をむき出しにする子供達を前に、どうすればいいのか分からない様子だったけれど、今では、持ち前の明るさと親しみやすさで、あっという間に生徒達の心を掴んでいる。
初めての〝先生〟という仕事に不安を抱いていたように見えた彼の心を、一体何が動かしたのだろうか。
でも、勇気を出して彼が踏み出した一歩は、きっと、彼の自信に繋がっていくはずだ。
それが、彼が夢を叶えるときの力になればいい。

「みんな、楽しそう。」

砂遊びを初めたエース達を見ていたら、思わずクスリと笑ってしまった。
だって、砂だらけになって遊んでいる彼らが、あまりにも無邪気で可愛かったのだ。
エースに指示を出されて、子供達は真剣な顔をして砂を固めている。
もう少しで出来上がりそうなのは、子供達に人気のロボットアニメの主人公だと思う。
全容が見えてきて、一生懸命に作っている子供達はすごく嬉しそうだけれど、一番楽しそうなのは、エースだ。
それがなんだか、私はとても嬉しかったのだ。