◇No.32◇罠と不吉な空です
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ハートの海賊団の船員達が異変に気付き出したのは、海賊船の丸窓の向こうに小雨がかかるようになった頃でした。
最初になまえを探し始めたのは、イッカクでした。
雨が降るとポーラータング号に軟禁されるなまえは、いつも暇そうに船内を歩き回っているので、話し相手になってやろうと思ったのです。
いつもならいるバーにも見つけられなかったイッカクは、船内に残っている船員達になまえの居場所を聞いて回っていました。
ですが、どこを探しても見つかりません。
廊下を歩き彷徨っていたイッカクは、偶々、船長室から出て来たローを見つけました。
「あ、キャプテン!もしかして、なまえと一緒にいます?」
「いや?部屋でボーッとしてんじゃねぇのか。」
「いなかったんすよ。」
「それならバーだろ。」
「そこにもいねぇっす。」
イッカクが答えると、ローは廊下の途中にある丸窓の方を見ました。
さっきまでは小雨だったはずの雨が、少し強めに窓を叩き始めていました。
「まさか街に遊びに行ったわけじゃねぇだろうな。」
「それはないと思いますよ。アイツ、キャプテンの命令は絶対なんで。
雨が降ってるから、船内にはいるはずなんす。」
どこ行ったんだろう?——。
イッカクは、髪をガシガシと掻きました。
確かに、なまえが自分の命令には忠実だということは、ローはよく理解していました。
だから、絶対に船にいる——、イカックがそう確信している理由もよく分かります。
ですが、なまえは船にはいない——、なぜかローはそう思ってしまったのです。
それはどうしてかと訊かれたら、ロー本人も困ります。
ただ、凄く嫌な予感がしていました。
漠然とした不安が胸を襲ってくるのです。
「俺は外を探す。お前は船内を探しとけ。」
「え、絶対に外にはいねぇと——。」
「わかったな!」
必要のない捜索だと思ったイッカクが引き留めるのも聞かないで、ローは廊下を走って行ってしまいました。
「アイアイキャプテン。」
すぐに小さくなるローの背中を見送って、イッカクが首をすぼめます。
最近、ローのなまえに対しての態度が、他の船員とのそれと違うように感じていました。
それはまるで——。
「可愛いんだろうなぁ。アイツ、素直だし。ベポ二号か。」
イッカクは、自分の答えに満足して何度も頷きました。
ベポのようにモフモフはしていませんが、ローにとってなまえは、素直に命令を聞いてくれるペットのような存在になっているのだろう、とそう考えているのはイッカクだけではありませんでした。
もちろん、ベポをペットだと思っている船員は1人もいません。
ローだって、彼のことを仲間だと思っていますし、それはなまえに対してもそうです。
ただ、ペットのような可愛らしいキャラクターだと感じているということです。
だって、なまえのことを大切な女友達だと思っているイッカクだって、時々、彼女のことをまだ何も知らない仔犬かなにかのように感じることがありましたし、それはイッカクに限らず、ハートの海賊団の船員達の全員が感じていることでしたから。
最初になまえを探し始めたのは、イッカクでした。
雨が降るとポーラータング号に軟禁されるなまえは、いつも暇そうに船内を歩き回っているので、話し相手になってやろうと思ったのです。
いつもならいるバーにも見つけられなかったイッカクは、船内に残っている船員達になまえの居場所を聞いて回っていました。
ですが、どこを探しても見つかりません。
廊下を歩き彷徨っていたイッカクは、偶々、船長室から出て来たローを見つけました。
「あ、キャプテン!もしかして、なまえと一緒にいます?」
「いや?部屋でボーッとしてんじゃねぇのか。」
「いなかったんすよ。」
「それならバーだろ。」
「そこにもいねぇっす。」
イッカクが答えると、ローは廊下の途中にある丸窓の方を見ました。
さっきまでは小雨だったはずの雨が、少し強めに窓を叩き始めていました。
「まさか街に遊びに行ったわけじゃねぇだろうな。」
「それはないと思いますよ。アイツ、キャプテンの命令は絶対なんで。
雨が降ってるから、船内にはいるはずなんす。」
どこ行ったんだろう?——。
イッカクは、髪をガシガシと掻きました。
確かに、なまえが自分の命令には忠実だということは、ローはよく理解していました。
だから、絶対に船にいる——、イカックがそう確信している理由もよく分かります。
ですが、なまえは船にはいない——、なぜかローはそう思ってしまったのです。
それはどうしてかと訊かれたら、ロー本人も困ります。
ただ、凄く嫌な予感がしていました。
漠然とした不安が胸を襲ってくるのです。
「俺は外を探す。お前は船内を探しとけ。」
「え、絶対に外にはいねぇと——。」
「わかったな!」
必要のない捜索だと思ったイッカクが引き留めるのも聞かないで、ローは廊下を走って行ってしまいました。
「アイアイキャプテン。」
すぐに小さくなるローの背中を見送って、イッカクが首をすぼめます。
最近、ローのなまえに対しての態度が、他の船員とのそれと違うように感じていました。
それはまるで——。
「可愛いんだろうなぁ。アイツ、素直だし。ベポ二号か。」
イッカクは、自分の答えに満足して何度も頷きました。
ベポのようにモフモフはしていませんが、ローにとってなまえは、素直に命令を聞いてくれるペットのような存在になっているのだろう、とそう考えているのはイッカクだけではありませんでした。
もちろん、ベポをペットだと思っている船員は1人もいません。
ローだって、彼のことを仲間だと思っていますし、それはなまえに対してもそうです。
ただ、ペットのような可愛らしいキャラクターだと感じているということです。
だって、なまえのことを大切な女友達だと思っているイッカクだって、時々、彼女のことをまだ何も知らない仔犬かなにかのように感じることがありましたし、それはイッカクに限らず、ハートの海賊団の船員達の全員が感じていることでしたから。