◇No.28◇セレブの街の人達です
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大好きな高級ブランドの新作ワンピースを試着したガリーナは、ミニ丈のワンピースを指で摘まみ、踊るようにあらゆる角度で自分の姿を鏡で確認しました。
ベルベッドのワンピースは、上品かつ一際目を引く鮮やかなワインレッド色。
腰を結ぶ大きなリボンが、腰の細さと共に、女らしい身体のシルエットを強調させます。
有名職人が一点一点心を込めて入れたという刺繍が目立つ胸元は、自慢の大きな胸をより美しく見せてくれているようでした。
長い脚を惜しみなく出すことが出来るミニ丈も、ガリーナの気分を上げてくれます。
(やっぱり、私は世界で一番可愛いわね。)
鏡に映る自分の姿の美しさに、ガリーナは恍惚の表情を浮かべます。
セレブ街の一等地には、超高級ブランドのショップが幾つも立ち並んでいますが、ガリーナが新作ワンピースの試着をしているこのショップは、特別に高級なブランドでした。
このショップの常連であるガリーナは、今やこのセレブ街のお姫様です。
なぜなら———。
「ねぇ、グロスのおじさまっ。どうかしらっ?」
カーテンを勢いよく開けたガリーナは、声尻にハートを幾つも飛ばして言いました。
試着室の前で、お抱えのボディーガードと共に待っていたのは、小太りの中年男性でした。
女性服ばかりが並ぶショップではあまりに浮いている彼は、中心街のさらに中央にデンと構えている巨大カジノのオーナーであるグロスです。
彼は、このセレブ街での一番の成功者といっても過言ではありません。
「あぁ、とても可愛い。さすが、私のガリーナだ。」
ボディーガードと難しい顔で何かを話していたグロスは、試着室から出て来たガリーナに気づくと、とても自慢気に口の端を上げました。
グロスがガリーナと知り合ったのは、半年ほど前のことでした。
とにかくお洒落と自分磨きの大好きなガリーナが、ありとあらゆる島のショップを渡り歩いている途中で、このセレブ街へ辿り着いたのです。
お洒落は好きだけれど、働くことは大嫌いなガリーナのお財布は、いつも金持ちの男性でした。
そして、今回、ガリーナが目をつけたのが、このセレブ街で最も力を持っているグロスだったというわけです。
ガリーナの可愛らしい笑みとグラマラスな身体、そして、数多の男達を虜にしてきたテクニックで、あっという間に落とされたグロスは、彼女をお姫様のように扱うようになっていました。
「ふふっ、ありがとうっ。グロスのおじさま、だーいすきっ。」
試着室から飛び出したガリーナが、グロスに抱き着きました。
柔らかい胸の感触が押しつけられ、分かりやすいほどにグロスの鼻が伸びます。
(チョロい、男。)
抱き着いた丸い肩に顔を埋めて、ガリーナが馬鹿にしたように口の端を上げました。
それに、ボディーガードの男のひとりが気づいたようでしたが、特に何も言いませんでした。
試着したワンピースはこのまま着ていくことにしたガリーナは、要らなくなった服を『もう要らないから捨てて。』と女性店員に押しつけました。
会計をしようとするグロスの背中をちらりと見た後、ガリーナは、ショップの奥に豪華な毛皮のコートに気がつきます。
それは、まるで宝物のように、透明のガラスケースの中で大切そうにディスプレイされていました。
「アレは何?売ってるの?」
ガリーナは、近くの女性店員に訊ねました。
「はい、当ブランドのデザイナーが集結して作った世界に7点しかない毛皮のコートでございます。」
女性店員は、鼻を高くして答えました。
それを聞いて、ガリーナは俄然、あの毛皮のコートが欲しくなりました。
豪華な見た目も大好きですが、世界に7点しかないという特別感は、とても魅力的です。
世界で一番可愛い自分にこそ相応しい——。
女性店員の話を聞いた瞬間から、ガリーナは、そう確信していました。
「ねぇ、グロスのおじさま。私、あの毛皮のコートも欲しいわ。」
会計を終わらせて戻って来たグロスの腕に、艶めかしい身体を絡め、ガリーナは早速、おねだりをしました。
豊満な胸を押しつけ、お得意の上目遣いです。
「あのガラスの中の毛皮のコートかい?」
「えぇ、そうよ。私に似合うと思わない?」
グロスは、腕に絡みつくガリーナと共に、毛皮のコートがディスプレイされているガラスケースの前に立ちました。
そして、ガラスケースの端に表記されている値段を見て、これでもかというほどに顔を歪めました。
それは、このセレブ街での一番の成功者であるグロスさえも眉を顰めてしまうほどの値段だったのです。
「…これはまた今度にしよう。」
「えーーっ!どうしてぇ!?私、これが欲しい!欲しいの!!」
「我儘を言うんじゃない。」
グロスは、ピシャリと言うと、駄々をこねるガリーナの腕を振りほどきました。
そして、ガリーナを残して、ボディーガードの男達と共にショップから出て行ってしまいます。
ガリーナは、その背中を苦々し気に見送りました。
確かに、このセレブ街では一番の成功者のグロスは、ガリーナにとって、良いカモでした。
ですが、彼には大きな欠点がありました。
それは、とてもケチだった、ということです。
ベルベッドのワンピースは、上品かつ一際目を引く鮮やかなワインレッド色。
腰を結ぶ大きなリボンが、腰の細さと共に、女らしい身体のシルエットを強調させます。
有名職人が一点一点心を込めて入れたという刺繍が目立つ胸元は、自慢の大きな胸をより美しく見せてくれているようでした。
長い脚を惜しみなく出すことが出来るミニ丈も、ガリーナの気分を上げてくれます。
(やっぱり、私は世界で一番可愛いわね。)
鏡に映る自分の姿の美しさに、ガリーナは恍惚の表情を浮かべます。
セレブ街の一等地には、超高級ブランドのショップが幾つも立ち並んでいますが、ガリーナが新作ワンピースの試着をしているこのショップは、特別に高級なブランドでした。
このショップの常連であるガリーナは、今やこのセレブ街のお姫様です。
なぜなら———。
「ねぇ、グロスのおじさまっ。どうかしらっ?」
カーテンを勢いよく開けたガリーナは、声尻にハートを幾つも飛ばして言いました。
試着室の前で、お抱えのボディーガードと共に待っていたのは、小太りの中年男性でした。
女性服ばかりが並ぶショップではあまりに浮いている彼は、中心街のさらに中央にデンと構えている巨大カジノのオーナーであるグロスです。
彼は、このセレブ街での一番の成功者といっても過言ではありません。
「あぁ、とても可愛い。さすが、私のガリーナだ。」
ボディーガードと難しい顔で何かを話していたグロスは、試着室から出て来たガリーナに気づくと、とても自慢気に口の端を上げました。
グロスがガリーナと知り合ったのは、半年ほど前のことでした。
とにかくお洒落と自分磨きの大好きなガリーナが、ありとあらゆる島のショップを渡り歩いている途中で、このセレブ街へ辿り着いたのです。
お洒落は好きだけれど、働くことは大嫌いなガリーナのお財布は、いつも金持ちの男性でした。
そして、今回、ガリーナが目をつけたのが、このセレブ街で最も力を持っているグロスだったというわけです。
ガリーナの可愛らしい笑みとグラマラスな身体、そして、数多の男達を虜にしてきたテクニックで、あっという間に落とされたグロスは、彼女をお姫様のように扱うようになっていました。
「ふふっ、ありがとうっ。グロスのおじさま、だーいすきっ。」
試着室から飛び出したガリーナが、グロスに抱き着きました。
柔らかい胸の感触が押しつけられ、分かりやすいほどにグロスの鼻が伸びます。
(チョロい、男。)
抱き着いた丸い肩に顔を埋めて、ガリーナが馬鹿にしたように口の端を上げました。
それに、ボディーガードの男のひとりが気づいたようでしたが、特に何も言いませんでした。
試着したワンピースはこのまま着ていくことにしたガリーナは、要らなくなった服を『もう要らないから捨てて。』と女性店員に押しつけました。
会計をしようとするグロスの背中をちらりと見た後、ガリーナは、ショップの奥に豪華な毛皮のコートに気がつきます。
それは、まるで宝物のように、透明のガラスケースの中で大切そうにディスプレイされていました。
「アレは何?売ってるの?」
ガリーナは、近くの女性店員に訊ねました。
「はい、当ブランドのデザイナーが集結して作った世界に7点しかない毛皮のコートでございます。」
女性店員は、鼻を高くして答えました。
それを聞いて、ガリーナは俄然、あの毛皮のコートが欲しくなりました。
豪華な見た目も大好きですが、世界に7点しかないという特別感は、とても魅力的です。
世界で一番可愛い自分にこそ相応しい——。
女性店員の話を聞いた瞬間から、ガリーナは、そう確信していました。
「ねぇ、グロスのおじさま。私、あの毛皮のコートも欲しいわ。」
会計を終わらせて戻って来たグロスの腕に、艶めかしい身体を絡め、ガリーナは早速、おねだりをしました。
豊満な胸を押しつけ、お得意の上目遣いです。
「あのガラスの中の毛皮のコートかい?」
「えぇ、そうよ。私に似合うと思わない?」
グロスは、腕に絡みつくガリーナと共に、毛皮のコートがディスプレイされているガラスケースの前に立ちました。
そして、ガラスケースの端に表記されている値段を見て、これでもかというほどに顔を歪めました。
それは、このセレブ街での一番の成功者であるグロスさえも眉を顰めてしまうほどの値段だったのです。
「…これはまた今度にしよう。」
「えーーっ!どうしてぇ!?私、これが欲しい!欲しいの!!」
「我儘を言うんじゃない。」
グロスは、ピシャリと言うと、駄々をこねるガリーナの腕を振りほどきました。
そして、ガリーナを残して、ボディーガードの男達と共にショップから出て行ってしまいます。
ガリーナは、その背中を苦々し気に見送りました。
確かに、このセレブ街では一番の成功者のグロスは、ガリーナにとって、良いカモでした。
ですが、彼には大きな欠点がありました。
それは、とてもケチだった、ということです。