◇No.26◇海賊達は火の海を泳ぎます
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足の遅いアルミンはベポが抱えて、町まで走りました。
そうしてやって来た廃村のような町の前で、ハートの海賊団の船員達は、立ち竦みます。
そこは、火の海。地獄でした。
燃え上がる火柱の中で、女性や子供達の泣き声が響き、彼女達を助けようとする男達の怒号があちこちから上がっています。
冬島ならではの乾燥した空気が、火の回りを早くしてしまったようです。
ほとんど住人はいないはずの町ですが、今まさに地獄の中で生と死の狭間にいる悲鳴を聞いていると、それが5人だろうが100人だろうが、耳をつんざく悲惨な光景には変わりはないのだと、改めて思い知らされました。
「キャプテン…、これ…、どうやって、助けに行くんだ…?」
「無理だろ。俺達が燃えちまうよ。こりゃもう手遅れだ。諦めるしかねぇ。」
「ねぇ、キャプテン。オペオペの実でどうにか——。」
「無理だ。炎で何も見えねぇんじゃ、能力も役に立たねぇ。」
「そんなぁ…。」
ハートの海賊団の船員達は、地獄を前にして途方に暮れました。
想像以上の惨状だったのです。
ですが——。
「助けると言っちまった以上、今さら出来ねぇとは言わせねぇぞ、てめぇら。」
ローが、諦めかけている船員達に、睨むような視線を這わせました。
そう言われることは、想定の範囲内でした。
「・・・まぁ、言ったのはなまえなんだけどさ。」
「いいよな。なまえは熱さも感じないし、壊れないし。」
「はい、私は灼熱地獄でも耐えられる、半永久使用です。」
「知ってるよ、知ってる。褒めたわけじゃねぇから。」
「ほら、文句言ってねぇでもう諦めろって、男のくせに情けねぇな。
バケツの水貰って来たから、これかぶって助けに行くぞ。」
「アイアイ…。」
なまえ以外の船員達が、頭からバケツの水をかぶりました。
乗り気はしないものの、根はいい奴らの集まりである彼らは、悲鳴と怒号の止まない地獄へと散り散りに駆け出します。
僕も——、と走り出そうとしたアルミンの腕をローが掴みました。
「ガキはそこで待ってろ。邪魔なだけだ。」
ローは、それだけ言うと、仲間達の飛び込んだ火の海へ自らも走りました。
突然、助っ人に現れた海賊達に、救助をしていた男達は驚いたようでした。
ですが、鬼の手も借りたい状況で、海賊と男達は力を合わせて、炎に包まれた家の中に残された住人の救助にあたりました。
海賊達の働きもあって、逃げ遅れた住人の救助は、思っていたよりも早く終わりました。
「もう…、一歩も動けねぇ…。」
「自分が寒ぃのか、熱ぃのか、もう分からねぇ…っ。」
バケツの水を頭からかぶってびしょ濡れになりながら、炎の中を駆け回った海賊達や男達が、雪の上に倒れ込みます。
そのそばを、火傷や怪我をした人達が担架に乗せられて運ばれて行きました。
怪我人は出てしまいましたが、これだけの地獄の中、死者はおろか、重傷者すら出なかったのは、奇跡でした。
その奇跡の立役者は、的確な指示を飛ばしたローとそれに期待以上に応えた船員や町の住人達、そして、恐怖に屈せずに海賊達に助けを求めに走ったアルミンの全員です。
全員で力を合わせたからこその、奇跡でした。
「アンタら、どうして助けに来てくれたのかは知らねぇが
本当に助かった。ありがとうな。」
海賊達と一緒に救助に走った町の男のひとりが、ローの元へ歩み寄り、頭を下げました。
「礼なら、俺達に面倒ごとを押しつけやがったガキに・・・・。」
ローはそう言いながら、あたりを見渡しました。
ですが、ここで待っていろ、と言っておいたはずのアルミンの姿が見当たりません。
「おい、金髪のガキは何処に行きやがった?」
ローは、雪の上でぐったりと倒れ込んでいる船員達に、アルミンの行方を訊ねます。
答えたのは、1人だけ、倒れ込むことはせずに、火の海をじっと見ていたなまえでした。
彼女は、火の海を指さしながら、口を開きます。
「向こうから、アルミンが走ってきます。」
なまえに言われて、ロー達も、今抜け出て来たばかりの火の海と化した町へ視線を戻しました。
そうしてやって来た廃村のような町の前で、ハートの海賊団の船員達は、立ち竦みます。
そこは、火の海。地獄でした。
燃え上がる火柱の中で、女性や子供達の泣き声が響き、彼女達を助けようとする男達の怒号があちこちから上がっています。
冬島ならではの乾燥した空気が、火の回りを早くしてしまったようです。
ほとんど住人はいないはずの町ですが、今まさに地獄の中で生と死の狭間にいる悲鳴を聞いていると、それが5人だろうが100人だろうが、耳をつんざく悲惨な光景には変わりはないのだと、改めて思い知らされました。
「キャプテン…、これ…、どうやって、助けに行くんだ…?」
「無理だろ。俺達が燃えちまうよ。こりゃもう手遅れだ。諦めるしかねぇ。」
「ねぇ、キャプテン。オペオペの実でどうにか——。」
「無理だ。炎で何も見えねぇんじゃ、能力も役に立たねぇ。」
「そんなぁ…。」
ハートの海賊団の船員達は、地獄を前にして途方に暮れました。
想像以上の惨状だったのです。
ですが——。
「助けると言っちまった以上、今さら出来ねぇとは言わせねぇぞ、てめぇら。」
ローが、諦めかけている船員達に、睨むような視線を這わせました。
そう言われることは、想定の範囲内でした。
「・・・まぁ、言ったのはなまえなんだけどさ。」
「いいよな。なまえは熱さも感じないし、壊れないし。」
「はい、私は灼熱地獄でも耐えられる、半永久使用です。」
「知ってるよ、知ってる。褒めたわけじゃねぇから。」
「ほら、文句言ってねぇでもう諦めろって、男のくせに情けねぇな。
バケツの水貰って来たから、これかぶって助けに行くぞ。」
「アイアイ…。」
なまえ以外の船員達が、頭からバケツの水をかぶりました。
乗り気はしないものの、根はいい奴らの集まりである彼らは、悲鳴と怒号の止まない地獄へと散り散りに駆け出します。
僕も——、と走り出そうとしたアルミンの腕をローが掴みました。
「ガキはそこで待ってろ。邪魔なだけだ。」
ローは、それだけ言うと、仲間達の飛び込んだ火の海へ自らも走りました。
突然、助っ人に現れた海賊達に、救助をしていた男達は驚いたようでした。
ですが、鬼の手も借りたい状況で、海賊と男達は力を合わせて、炎に包まれた家の中に残された住人の救助にあたりました。
海賊達の働きもあって、逃げ遅れた住人の救助は、思っていたよりも早く終わりました。
「もう…、一歩も動けねぇ…。」
「自分が寒ぃのか、熱ぃのか、もう分からねぇ…っ。」
バケツの水を頭からかぶってびしょ濡れになりながら、炎の中を駆け回った海賊達や男達が、雪の上に倒れ込みます。
そのそばを、火傷や怪我をした人達が担架に乗せられて運ばれて行きました。
怪我人は出てしまいましたが、これだけの地獄の中、死者はおろか、重傷者すら出なかったのは、奇跡でした。
その奇跡の立役者は、的確な指示を飛ばしたローとそれに期待以上に応えた船員や町の住人達、そして、恐怖に屈せずに海賊達に助けを求めに走ったアルミンの全員です。
全員で力を合わせたからこその、奇跡でした。
「アンタら、どうして助けに来てくれたのかは知らねぇが
本当に助かった。ありがとうな。」
海賊達と一緒に救助に走った町の男のひとりが、ローの元へ歩み寄り、頭を下げました。
「礼なら、俺達に面倒ごとを押しつけやがったガキに・・・・。」
ローはそう言いながら、あたりを見渡しました。
ですが、ここで待っていろ、と言っておいたはずのアルミンの姿が見当たりません。
「おい、金髪のガキは何処に行きやがった?」
ローは、雪の上でぐったりと倒れ込んでいる船員達に、アルミンの行方を訊ねます。
答えたのは、1人だけ、倒れ込むことはせずに、火の海をじっと見ていたなまえでした。
彼女は、火の海を指さしながら、口を開きます。
「向こうから、アルミンが走ってきます。」
なまえに言われて、ロー達も、今抜け出て来たばかりの火の海と化した町へ視線を戻しました。