◇No.24◇三か月前の悲劇です
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開いた玄関の扉から、不安そうに顔を覗かせたのは、ミカサの幼馴染のエレンでした。
海賊の2人は一瞬たじろぎましたが、やって来たのが子供だと分かった途端に、ハハッと空笑いをしました。
海軍でもやって来たと思ったのかもしれません。
スキンヘッドの男が、エレンに近寄りました。
そして、頭の上にポンと手を乗せて、訊ねます。
「おいおい、どうしたんだ?俺はこんなガキの客を呼んだ覚えがねぇが?」
「えっと…、あの…、デソレートさんに用があって…、それで…。」
「デソレート?」
「ここに…、住んでたはず、なんだけど…。」
「あ~、前の住人か。悪ぃが、ここはもう空き家だ。
それで、俺達が借りて使ってんだよ。」
スキンヘッドの海賊は、納得したように頷いてから、エレンに説明をしてやっていました。
その様子を見ていたミカサは、エレンが嘘をついていることがすぐに分かりました。
だって、この家に住んでいたのは、デソレートではなく、ベイカント一家でしたし、彼らが引っ越す際に、エレンとミカサはアルミンと一緒に見送りもしています。
どうしてそんな嘘を——。
そんなことは、考える必要もなく、ミカサを助けに来たに違いありませんでした。
エレンとはそういう人間です。
喧嘩が強いわけではないのに、弱いものいじめは絶対に許せない正義感に溢れ、どんなに強い相手にだって立ち向かっていくのです。きっと、エレンにとって、大切な人を傷つけようとしているのが、町のガキ大将だろうが、人殺しを厭わない海賊だろうが、関係ないのでしょう。
「そっか…。」
「おう、じゃあ、俺達が町まで送ってやるから、一緒に外にー。」
「だからさ、もう分かったって。」
エレンは、自分の頭に乗っているスキンヘッドの海賊の手を面倒そうに振り払いました。
スキンヘッドの海賊がイラッとした様子で眉を顰めた時にはもう、エレンはゴミを見る目で男を見ていました。
「は?お前——。」
「死んじゃえよ、クソ野郎。」
エレンは、ポケットからナイフを取り出して振り上げました。
それはスキンヘッドの海賊の肩に刺さり、唸るような悲鳴が上がります。
「クソガキ…!!ソイツに何しやがった!!」
ターバンを巻いた海賊が怒鳴ると、エレンはすぐに玄関の扉を閉めて逃げました。
絶対に逃がさないと喚きながら、ターバンを巻いた海賊が玄関へ走ります。
そして、扉を勢いよく開きました。
開いた扉のすぐそこには、エレンが立っていました。
モップを逆向きに持って、柄の先にはナイフが縫い付けてあります。
「…!?」
ターバンを巻いた海賊が、あ、と思ったときにはもう遅すぎました。
エレンが振り下ろした柄の先のナイフが、ターバンを巻いた男の腹に思いっきり刺さります。
「ギャァァァアアアッ!」
痛みと驚きで、ターバンを巻いた男が悲鳴を上げ、床の上で転げまわります。
その横を走り抜け、エレンは、ミカサに駆け寄りました。
「よくやった、頑張ったっ!生きててよかった!
すぐに助けてやるからな!!」
エレンは、ミカサを拘束している後ろ手を結ぶロープを、持ってきたナイフで切り落としました。
ですが、やっと自由になったのに、ミカサは起き上がろうとしません。
エレンが、ミカサの名前を呼ぶと、灰色になってしまった瞳で遠くを見ながら、呟きました。
「生きてない…。お父さんと、お母さんは、生きてない…。」
小さな呟きは、エレンにも聞こえました。
ミカサの両親が既に絶命しているのは、喫茶店の惨状を見てしまったエレンは知っていました。
ただ、いつものように、アルミンと一緒に、ミカサを遊びに誘いに行っただけでした。
今日も、昨日と同じ一日が過ぎるはずだったのです。
「お前は生きてる…!生きてるじゃねぇか…っ。
死んでるみてぇな顔、するなよ…っ。」
ミカサの肩を持って無理やり身体を起こし、エレンは強く抱きしめました。
生きている人間の体温と心臓の鼓動が伝わってきます。
エレンは、ミカサだけは、助けることが出来たのです。
でも——。
助けられなかった——。
エレンの心を支配しているのは、大切な友人を助けられなかったという後悔と悔しさでした。
それからすぐに、アルミンが呼んだ大人達と海軍がやって来て、エレンにナイフで切られた下っ端2人は捕まりました。
海賊の2人は一瞬たじろぎましたが、やって来たのが子供だと分かった途端に、ハハッと空笑いをしました。
海軍でもやって来たと思ったのかもしれません。
スキンヘッドの男が、エレンに近寄りました。
そして、頭の上にポンと手を乗せて、訊ねます。
「おいおい、どうしたんだ?俺はこんなガキの客を呼んだ覚えがねぇが?」
「えっと…、あの…、デソレートさんに用があって…、それで…。」
「デソレート?」
「ここに…、住んでたはず、なんだけど…。」
「あ~、前の住人か。悪ぃが、ここはもう空き家だ。
それで、俺達が借りて使ってんだよ。」
スキンヘッドの海賊は、納得したように頷いてから、エレンに説明をしてやっていました。
その様子を見ていたミカサは、エレンが嘘をついていることがすぐに分かりました。
だって、この家に住んでいたのは、デソレートではなく、ベイカント一家でしたし、彼らが引っ越す際に、エレンとミカサはアルミンと一緒に見送りもしています。
どうしてそんな嘘を——。
そんなことは、考える必要もなく、ミカサを助けに来たに違いありませんでした。
エレンとはそういう人間です。
喧嘩が強いわけではないのに、弱いものいじめは絶対に許せない正義感に溢れ、どんなに強い相手にだって立ち向かっていくのです。きっと、エレンにとって、大切な人を傷つけようとしているのが、町のガキ大将だろうが、人殺しを厭わない海賊だろうが、関係ないのでしょう。
「そっか…。」
「おう、じゃあ、俺達が町まで送ってやるから、一緒に外にー。」
「だからさ、もう分かったって。」
エレンは、自分の頭に乗っているスキンヘッドの海賊の手を面倒そうに振り払いました。
スキンヘッドの海賊がイラッとした様子で眉を顰めた時にはもう、エレンはゴミを見る目で男を見ていました。
「は?お前——。」
「死んじゃえよ、クソ野郎。」
エレンは、ポケットからナイフを取り出して振り上げました。
それはスキンヘッドの海賊の肩に刺さり、唸るような悲鳴が上がります。
「クソガキ…!!ソイツに何しやがった!!」
ターバンを巻いた海賊が怒鳴ると、エレンはすぐに玄関の扉を閉めて逃げました。
絶対に逃がさないと喚きながら、ターバンを巻いた海賊が玄関へ走ります。
そして、扉を勢いよく開きました。
開いた扉のすぐそこには、エレンが立っていました。
モップを逆向きに持って、柄の先にはナイフが縫い付けてあります。
「…!?」
ターバンを巻いた海賊が、あ、と思ったときにはもう遅すぎました。
エレンが振り下ろした柄の先のナイフが、ターバンを巻いた男の腹に思いっきり刺さります。
「ギャァァァアアアッ!」
痛みと驚きで、ターバンを巻いた男が悲鳴を上げ、床の上で転げまわります。
その横を走り抜け、エレンは、ミカサに駆け寄りました。
「よくやった、頑張ったっ!生きててよかった!
すぐに助けてやるからな!!」
エレンは、ミカサを拘束している後ろ手を結ぶロープを、持ってきたナイフで切り落としました。
ですが、やっと自由になったのに、ミカサは起き上がろうとしません。
エレンが、ミカサの名前を呼ぶと、灰色になってしまった瞳で遠くを見ながら、呟きました。
「生きてない…。お父さんと、お母さんは、生きてない…。」
小さな呟きは、エレンにも聞こえました。
ミカサの両親が既に絶命しているのは、喫茶店の惨状を見てしまったエレンは知っていました。
ただ、いつものように、アルミンと一緒に、ミカサを遊びに誘いに行っただけでした。
今日も、昨日と同じ一日が過ぎるはずだったのです。
「お前は生きてる…!生きてるじゃねぇか…っ。
死んでるみてぇな顔、するなよ…っ。」
ミカサの肩を持って無理やり身体を起こし、エレンは強く抱きしめました。
生きている人間の体温と心臓の鼓動が伝わってきます。
エレンは、ミカサだけは、助けることが出来たのです。
でも——。
助けられなかった——。
エレンの心を支配しているのは、大切な友人を助けられなかったという後悔と悔しさでした。
それからすぐに、アルミンが呼んだ大人達と海軍がやって来て、エレンにナイフで切られた下っ端2人は捕まりました。