◇No.18◇サミシイですか?
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街のど真ん中で、ローは苛立っていました。
その隣でイッカクが焦った様子で、忙しなく視線を左右に動かしています。
ベポやペンギン、シャチも一緒でした。
彼らの様子もイッカクとあまり変わりません。
「すみません、キャプテン…っ。アタシがなまえから目を離すから…っ。」
イッカクは、もう何度目かの謝罪をして、頭を下げました。
なまえのリクエストで本屋に行ったのはいいものの、そもそも本に興味のないイッカクは、すぐに飽きてしまい、本屋の見えるカフェでコーヒーを飲むことにしました。
なまえが一歩も動かなかった恋愛小説のコーナーは、カフェのテーブル席が見えたので、ちょうどよかったのです。
ですが、それが大きな間違いでした。
イッカクがトイレに行っている間に、なまえがいなくなってしまったのです。
慌ててカフェから出て本屋に行ったイッカクでしたが、すでにそこになまえの姿はなく、街中を探しても見つからないので、ポーラータング号に戻っていたローに事情を説明して一緒に探しに来てもらっているところでした。
ですが、ベポ達が大声でなまえの名前を呼ぶのですが、全く見つかる気配がありません。
彼らの脳裏には、海軍や世界政府の追ってがチラついています。
もしかして、自分達がいない間に研究所に連れ去られたのでは——。
その可能性が消えないからこそ、イッカクは泣きそうな顔で、何度でもローに謝ります。
本当に謝りたい相手がいないから、ローに謝るしかないないのです。
「今日はとても綺麗な娘を連れてるのね。恋人かしら?
島中の女の子達が泣くわね。」
不意に、八百屋の女店主の声がロー達の耳に届きました。
綺麗な娘という言葉に反応して、ローは、彼女が声をかけた先に視線を向けます。
「アハハ、違いますよ。そこで初めて会ったばかりなんです。
彼女が恋人になってくれたら、私も嬉しいですけどね。」
照れ臭そうに髪を掻きながら答えた若い男の隣にいるのは、なまえでした。
シンと一緒に診療所へ向かう途中だったなまえが、偶々通りかかったようです。
一緒にいる若い男が誰なのか、何をしているのかを知らないローから、盛大な舌打ちが漏れました。
それに気づいたイッカク達も、ローの視線の先にいるなまえを見つけました。
「なまえ…!!」
イッカクが名前を叫ぶと、なまえがこちらを向きました。
その隣で、シンもイッカク達に気づいてギョッとした顔をします。
一度は王下七武海にまでなったローですから、シンも知っていたのかもしれません。
とにかく、なまえが見つかってホッとしたイッカク達は、急いで駆け寄ります。
「どこ行ってたんだ、お前は!!心配したじゃねーか!!」
「本を読んでいる間にイッカクがいなくなったので、探していました。
見つかってよかったです。」
「それは…、悪かったよ…。」
自分のことを探されていたのだと知って、イッカクは途端に弱々しく謝りました。
「なまえ、この人たちとはどういう関係?コイツ等、海賊だろう?
しかも…、凄く悪い海賊団だ。」
シンが心配そうになまえに訊ねました。
ですが、答えたのはローでした。
「コイツはうちの船員だ。
勝手に俺のもんに触ってんじゃねぇ。」
ギロリとシンを睨みつけて言いながら、ローが、なまえの腕を掴んで自分の方へと引き寄せました。
なまえの腰にまわっていたシンの手が、強引に離されます。
そして、なまえはローの片腕の中に閉じ込められるように、すっぽりと包まれていました。
「せん、いん…?なまえが?」
「はい。私はハートの海賊団の海賊です。そして、ローは世界一優しい人です。
イッカクもベポもペンギンもシャチも、ウニ達も、みんな優しくて良い人達です。
悪い海賊団ではありません。」
「な…、何言ってるんだよ…!君は騙されているんだ!!
すぐにそんな海賊団から抜けた方がいい!!
ほら、子猫も震えてるだろう!?野生の勘で分かるんだ、ソイツらが怖いんだよ!!」
シンは怯えながらも、ロー達に敵意を向けて大声で言いました。
「子猫?」
首を傾げたのは、ペンギンだけではありませんでした。
ロー達も、そこで漸く、なまえが子猫を抱いていることに気が付きました。
「可愛い!!子猫だ!!どうしたの、その子猫!!」
可愛い子猫に、ベポのテンションが上がりました。
「路地裏で怪我をしているところを見つけました。」
「怪我?」
僅かに片眉を上げて訊ねたのは、ローでした。
「はい。両方の前脚にメスで切ったような傷がありました。
歩けないようです。寒かったようで、さっきまでずっとガタガタ震えていたのですが、
ローの腕の中に来たら止まりました。ここは、温かかったようです。」
「そんな…!震えが止まるわけがない!!ソイツは海賊だぞ!!
悪いことばっかりして——。」
「ロー、その男はとても悪い男です。過去にたくさんの動物を虐待していますが、
どれも証拠不足で海軍は捕まえることが出来ていません。」
なまえが真っすぐに見て指さしたのは、シンでした。
「・・・・・は?」
突然のなまえの言葉に、シンは、ポカンと口をあけました。
ですが、ロー達から向けられる視線に軽蔑が混ざったのに気づくと、みるみるうちに眉間に皴を寄せて、表情に怒りを滲ませていきました。
「いきなり君は何を言いだすんだ!!俺が何をしたって——。」
「この子猫の怪我も傷もその男がしたに違いありません。
診療所がこの先にあるというので、今からそこに証拠を見つけに行くところでした。」
どうやら診療所に行こうと誘われたときになまえが返事をするまでにあいた間は、シンが動物虐待をしている証拠をどのように見つけようか考えている時間だったのです。
その隣でイッカクが焦った様子で、忙しなく視線を左右に動かしています。
ベポやペンギン、シャチも一緒でした。
彼らの様子もイッカクとあまり変わりません。
「すみません、キャプテン…っ。アタシがなまえから目を離すから…っ。」
イッカクは、もう何度目かの謝罪をして、頭を下げました。
なまえのリクエストで本屋に行ったのはいいものの、そもそも本に興味のないイッカクは、すぐに飽きてしまい、本屋の見えるカフェでコーヒーを飲むことにしました。
なまえが一歩も動かなかった恋愛小説のコーナーは、カフェのテーブル席が見えたので、ちょうどよかったのです。
ですが、それが大きな間違いでした。
イッカクがトイレに行っている間に、なまえがいなくなってしまったのです。
慌ててカフェから出て本屋に行ったイッカクでしたが、すでにそこになまえの姿はなく、街中を探しても見つからないので、ポーラータング号に戻っていたローに事情を説明して一緒に探しに来てもらっているところでした。
ですが、ベポ達が大声でなまえの名前を呼ぶのですが、全く見つかる気配がありません。
彼らの脳裏には、海軍や世界政府の追ってがチラついています。
もしかして、自分達がいない間に研究所に連れ去られたのでは——。
その可能性が消えないからこそ、イッカクは泣きそうな顔で、何度でもローに謝ります。
本当に謝りたい相手がいないから、ローに謝るしかないないのです。
「今日はとても綺麗な娘を連れてるのね。恋人かしら?
島中の女の子達が泣くわね。」
不意に、八百屋の女店主の声がロー達の耳に届きました。
綺麗な娘という言葉に反応して、ローは、彼女が声をかけた先に視線を向けます。
「アハハ、違いますよ。そこで初めて会ったばかりなんです。
彼女が恋人になってくれたら、私も嬉しいですけどね。」
照れ臭そうに髪を掻きながら答えた若い男の隣にいるのは、なまえでした。
シンと一緒に診療所へ向かう途中だったなまえが、偶々通りかかったようです。
一緒にいる若い男が誰なのか、何をしているのかを知らないローから、盛大な舌打ちが漏れました。
それに気づいたイッカク達も、ローの視線の先にいるなまえを見つけました。
「なまえ…!!」
イッカクが名前を叫ぶと、なまえがこちらを向きました。
その隣で、シンもイッカク達に気づいてギョッとした顔をします。
一度は王下七武海にまでなったローですから、シンも知っていたのかもしれません。
とにかく、なまえが見つかってホッとしたイッカク達は、急いで駆け寄ります。
「どこ行ってたんだ、お前は!!心配したじゃねーか!!」
「本を読んでいる間にイッカクがいなくなったので、探していました。
見つかってよかったです。」
「それは…、悪かったよ…。」
自分のことを探されていたのだと知って、イッカクは途端に弱々しく謝りました。
「なまえ、この人たちとはどういう関係?コイツ等、海賊だろう?
しかも…、凄く悪い海賊団だ。」
シンが心配そうになまえに訊ねました。
ですが、答えたのはローでした。
「コイツはうちの船員だ。
勝手に俺のもんに触ってんじゃねぇ。」
ギロリとシンを睨みつけて言いながら、ローが、なまえの腕を掴んで自分の方へと引き寄せました。
なまえの腰にまわっていたシンの手が、強引に離されます。
そして、なまえはローの片腕の中に閉じ込められるように、すっぽりと包まれていました。
「せん、いん…?なまえが?」
「はい。私はハートの海賊団の海賊です。そして、ローは世界一優しい人です。
イッカクもベポもペンギンもシャチも、ウニ達も、みんな優しくて良い人達です。
悪い海賊団ではありません。」
「な…、何言ってるんだよ…!君は騙されているんだ!!
すぐにそんな海賊団から抜けた方がいい!!
ほら、子猫も震えてるだろう!?野生の勘で分かるんだ、ソイツらが怖いんだよ!!」
シンは怯えながらも、ロー達に敵意を向けて大声で言いました。
「子猫?」
首を傾げたのは、ペンギンだけではありませんでした。
ロー達も、そこで漸く、なまえが子猫を抱いていることに気が付きました。
「可愛い!!子猫だ!!どうしたの、その子猫!!」
可愛い子猫に、ベポのテンションが上がりました。
「路地裏で怪我をしているところを見つけました。」
「怪我?」
僅かに片眉を上げて訊ねたのは、ローでした。
「はい。両方の前脚にメスで切ったような傷がありました。
歩けないようです。寒かったようで、さっきまでずっとガタガタ震えていたのですが、
ローの腕の中に来たら止まりました。ここは、温かかったようです。」
「そんな…!震えが止まるわけがない!!ソイツは海賊だぞ!!
悪いことばっかりして——。」
「ロー、その男はとても悪い男です。過去にたくさんの動物を虐待していますが、
どれも証拠不足で海軍は捕まえることが出来ていません。」
なまえが真っすぐに見て指さしたのは、シンでした。
「・・・・・は?」
突然のなまえの言葉に、シンは、ポカンと口をあけました。
ですが、ロー達から向けられる視線に軽蔑が混ざったのに気づくと、みるみるうちに眉間に皴を寄せて、表情に怒りを滲ませていきました。
「いきなり君は何を言いだすんだ!!俺が何をしたって——。」
「この子猫の怪我も傷もその男がしたに違いありません。
診療所がこの先にあるというので、今からそこに証拠を見つけに行くところでした。」
どうやら診療所に行こうと誘われたときになまえが返事をするまでにあいた間は、シンが動物虐待をしている証拠をどのように見つけようか考えている時間だったのです。