◇No.13◇逃げましょう
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ペンギンの指示によって、ポーラータング号は、裏の港から少し離れた場所に戻って来ていました。
そこへ、片手でなまえを抱えて走って戻って来たローを遠くに見つけた船員達から、歓喜の声が上がります。
「キャプテン!!なまえ!!」
ポーラータング号の甲板に飛び乗ったローに、ベポが飛びつきました。
絶対に戻ってくると信じていたとはいえ、あれだけの数の海兵です。そう簡単にはいかなかったはずですが、ローは無傷でしたし、なまえも故障している様子はありません。
まだ海軍が追いかけているとローから聞いた船員達は、急いでポーラータング号を出向させます。
ローは、甲板のベンチになまえを降ろすと、自分もその隣に腰を降ろしました。
流石に疲れたのか、それとも、自分がしてしまった自分らしくない行動を後悔しているのか、ローからため息がもれました。
「キャプテン、どうするんですか。
コイツを助けちまったとなっては、俺達はもう海軍にH0(エイチゼロ)の誘拐犯として
指名手配決定っすよ。」
ペンギンが心配そうに訊ねました。
彼と同じことを心配している船員も多数いました。彼らも不安そうにローの回答を待ちます。
「…仕方ねぇ。コイツを船員にする。」
「はッ!?海賊専用の殺人兵器をですか!?
そんなの危険すぎます…!!いつ本性を現すか分からないですよ!!」
「なまえは俺達を裏切ったりしない!!
ペンギンだって、俺達の為に犠牲になろうとしたなまえを見ただろ!!
キャプテンの為に、なまえは自分が死ぬことを選んだんだぞ!!」
ベポが凄い剣幕で怒鳴りました。
確かに、なまえが自分達の為に身を犠牲にしようとしたのはペンギンもしっかり見ています。
だからこそ、無事で戻って来られたのだと自覚もしているのです。
口ごもっていると、ローが続けました。
「とにかく、コイツにはまだ医療関連の書籍も書き出させ終わってねぇ。
どっちにしろ、しばらくは船に乗せるしかねぇなら、船員にして
俺達の手の内に入れておく方が安全だ。海軍に戻ったらただの強敵だ。」
「…それは、そうっすけど…。」
ペンギンは、反対する理由を失います。
でも、だからと言って、はいそうですかと納得も出来ません。
すると、数名の船員達が、海賊専用の殺人兵器として生まれたなまえなら強い戦力になるんじゃないかと口にし始めました。
確かに、それはあるかもしれません。
ですが、懸念もあるのです。
「なまえ。お前、どうしてちゃんと戦わなかった。
わざわざ俺達を逃がすためにケージに戻らなくても、
お前が戦えば、あんな奴らどうにでも出来たんじゃねぇのか。」
ローが険しい顔をしてなまえに訊ねます。
あの後、なんとか逃げ切ることは出来たローとなまえでしたが、さすがに海兵の数が多すぎました。
とても簡単には行きませんでしたが、なんとかオペオペの実の能力を駆使して、逃げることが出来ました。
確かに、なまえも一緒に戦ってはくれました。
でも、本気ではありませんでしたし、自分達を守るために力を使っているだけでした。
だから、ほとんどロー1人で戦っていたようなものです。
それでも、こうして逃げ切れたのは、海賊専用の殺人兵器として生まれたなまえが、それなりの戦闘能力を持っていたのも大きかったはずです。
でも、もしも、万が一にでもローが負けるようなことがあれば、なまえはまた自らケージに戻っていたのかもしれません。
「海軍、世界政府、天竜人には攻撃をしないようにプログラムされています。」
やっぱり——。
そう思ったのは、ローだけではありません。
ペンギンやシャチ、他の船員達もその可能性は考えていました。
でも、ローはその答えには満足していないようでした。
「それだけか?」
「悪い人を捕まえるように作られました。海賊は悪い人だと教えられましたが、違いました。
海軍も悪い人達ではありません。正義の人達です。
善い人達に怪我をさせては、いけません。」
なまえは真っすぐにローを見て言います。
それは、ローが思った通りの答えでした。
ロー達を逃がすとき、そして、ローと共に逃げるとき、なまえは誰も傷つけないようにしているようでした。
彼女は機械ですが、意思はあったのです。
それが、善い人達に怪我をさせてはいけない、という彼女の中の決まり事でした。
ローの優しさへの恩返しと、その決まり事を守るために、彼女は、二度と戻らないと決めていたケージに自ら戻ったのです。
「それじゃダメじゃないっすか。全然使えねぇ。
ただの女のポンコツロボが船員になっても、メリットねぇっすよ。」
誰が言ったのかは分かりませんでした。
だって、同じようなことを何人もの船員が口にしたし、殆どの船員がそう思ったからです。
海軍と戦うことの多い海賊になるのに、せっかくの戦闘能力を持っていても、海軍には手を出せないのじゃ話にならないのです。
それに、善い人達には怪我をさせられない、なんて言っていたら、海賊なんてやってられません。
分かっていても悔しくて、ベポが言い返そうとしたときです。
ローがなまえに言いました。
「なまえ、お前はこれからは自由に生きるんだったな。」
「はい、自由に生きます。」
「海賊は自由だ。お前が、海賊になると決めるなら俺の船に乗せてやる。」
「私が海賊になるんですか?それは命令ですか?」
「いいや。命令じゃねぇ。
自由に生きてぇなら、自分がどうするかくらい自分で決めろ。」
ローは、隣に座るなまえの顔を真っすぐに見て言います。
今まで、なまえは、ほとんどすべてを命令に従って生きてきました。
自分の身を犠牲にしてロー達を助けようとしたとき、あれが初めて自分が決めて、自分で動いたことだったのです。
自由に生きる——。
それがどういうことなのか、少しずつ分かっている気はしますが、なまえはまだ理解はしていません。
『海賊は自由だ。』
ローの言葉が、なまえの思考回路をグルグルとまわします。
そして、答えを出しました。
そこへ、片手でなまえを抱えて走って戻って来たローを遠くに見つけた船員達から、歓喜の声が上がります。
「キャプテン!!なまえ!!」
ポーラータング号の甲板に飛び乗ったローに、ベポが飛びつきました。
絶対に戻ってくると信じていたとはいえ、あれだけの数の海兵です。そう簡単にはいかなかったはずですが、ローは無傷でしたし、なまえも故障している様子はありません。
まだ海軍が追いかけているとローから聞いた船員達は、急いでポーラータング号を出向させます。
ローは、甲板のベンチになまえを降ろすと、自分もその隣に腰を降ろしました。
流石に疲れたのか、それとも、自分がしてしまった自分らしくない行動を後悔しているのか、ローからため息がもれました。
「キャプテン、どうするんですか。
コイツを助けちまったとなっては、俺達はもう海軍にH0(エイチゼロ)の誘拐犯として
指名手配決定っすよ。」
ペンギンが心配そうに訊ねました。
彼と同じことを心配している船員も多数いました。彼らも不安そうにローの回答を待ちます。
「…仕方ねぇ。コイツを船員にする。」
「はッ!?海賊専用の殺人兵器をですか!?
そんなの危険すぎます…!!いつ本性を現すか分からないですよ!!」
「なまえは俺達を裏切ったりしない!!
ペンギンだって、俺達の為に犠牲になろうとしたなまえを見ただろ!!
キャプテンの為に、なまえは自分が死ぬことを選んだんだぞ!!」
ベポが凄い剣幕で怒鳴りました。
確かに、なまえが自分達の為に身を犠牲にしようとしたのはペンギンもしっかり見ています。
だからこそ、無事で戻って来られたのだと自覚もしているのです。
口ごもっていると、ローが続けました。
「とにかく、コイツにはまだ医療関連の書籍も書き出させ終わってねぇ。
どっちにしろ、しばらくは船に乗せるしかねぇなら、船員にして
俺達の手の内に入れておく方が安全だ。海軍に戻ったらただの強敵だ。」
「…それは、そうっすけど…。」
ペンギンは、反対する理由を失います。
でも、だからと言って、はいそうですかと納得も出来ません。
すると、数名の船員達が、海賊専用の殺人兵器として生まれたなまえなら強い戦力になるんじゃないかと口にし始めました。
確かに、それはあるかもしれません。
ですが、懸念もあるのです。
「なまえ。お前、どうしてちゃんと戦わなかった。
わざわざ俺達を逃がすためにケージに戻らなくても、
お前が戦えば、あんな奴らどうにでも出来たんじゃねぇのか。」
ローが険しい顔をしてなまえに訊ねます。
あの後、なんとか逃げ切ることは出来たローとなまえでしたが、さすがに海兵の数が多すぎました。
とても簡単には行きませんでしたが、なんとかオペオペの実の能力を駆使して、逃げることが出来ました。
確かに、なまえも一緒に戦ってはくれました。
でも、本気ではありませんでしたし、自分達を守るために力を使っているだけでした。
だから、ほとんどロー1人で戦っていたようなものです。
それでも、こうして逃げ切れたのは、海賊専用の殺人兵器として生まれたなまえが、それなりの戦闘能力を持っていたのも大きかったはずです。
でも、もしも、万が一にでもローが負けるようなことがあれば、なまえはまた自らケージに戻っていたのかもしれません。
「海軍、世界政府、天竜人には攻撃をしないようにプログラムされています。」
やっぱり——。
そう思ったのは、ローだけではありません。
ペンギンやシャチ、他の船員達もその可能性は考えていました。
でも、ローはその答えには満足していないようでした。
「それだけか?」
「悪い人を捕まえるように作られました。海賊は悪い人だと教えられましたが、違いました。
海軍も悪い人達ではありません。正義の人達です。
善い人達に怪我をさせては、いけません。」
なまえは真っすぐにローを見て言います。
それは、ローが思った通りの答えでした。
ロー達を逃がすとき、そして、ローと共に逃げるとき、なまえは誰も傷つけないようにしているようでした。
彼女は機械ですが、意思はあったのです。
それが、善い人達に怪我をさせてはいけない、という彼女の中の決まり事でした。
ローの優しさへの恩返しと、その決まり事を守るために、彼女は、二度と戻らないと決めていたケージに自ら戻ったのです。
「それじゃダメじゃないっすか。全然使えねぇ。
ただの女のポンコツロボが船員になっても、メリットねぇっすよ。」
誰が言ったのかは分かりませんでした。
だって、同じようなことを何人もの船員が口にしたし、殆どの船員がそう思ったからです。
海軍と戦うことの多い海賊になるのに、せっかくの戦闘能力を持っていても、海軍には手を出せないのじゃ話にならないのです。
それに、善い人達には怪我をさせられない、なんて言っていたら、海賊なんてやってられません。
分かっていても悔しくて、ベポが言い返そうとしたときです。
ローがなまえに言いました。
「なまえ、お前はこれからは自由に生きるんだったな。」
「はい、自由に生きます。」
「海賊は自由だ。お前が、海賊になると決めるなら俺の船に乗せてやる。」
「私が海賊になるんですか?それは命令ですか?」
「いいや。命令じゃねぇ。
自由に生きてぇなら、自分がどうするかくらい自分で決めろ。」
ローは、隣に座るなまえの顔を真っすぐに見て言います。
今まで、なまえは、ほとんどすべてを命令に従って生きてきました。
自分の身を犠牲にしてロー達を助けようとしたとき、あれが初めて自分が決めて、自分で動いたことだったのです。
自由に生きる——。
それがどういうことなのか、少しずつ分かっている気はしますが、なまえはまだ理解はしていません。
『海賊は自由だ。』
ローの言葉が、なまえの思考回路をグルグルとまわします。
そして、答えを出しました。