◇No.12◇優しくしてくれました
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この島の娼館は、裏通りにひっそりと隠すように建っていました。
ロボットが大々的に働いているこの島で、唯一人間が働かなければならない場所だからなのかもしれません。
客だと勘違いをしたボーイに案内されたロー達が娼館の中に入ると同時に、大きな爆発音と女達の悲鳴が聞こえてきました。
建物が揺れるほどの爆発です。
まさかこの爆発になまえが巻き込まれたのでは——。
焦ったベポは、喫茶店のオーナーからもらってきた水槽を強引にシャチに持たせると、店の奥へと走り出しました。
その背中をロー達も追いかけます。
店の奥は、この娼館で働く若い女達の控室になっていました。
控室といっても、実際は、鉄の格子の中に押し込められた彼女達が客を待つための場所です。
その格子の外から、女を抱きにやって来た男達が好みの女性を選ぶのです。
ですが、ベポ達がそこへ辿り着いたときには、その格子が内側から破壊されていました。
若い女達が悲鳴を上げながら散り散りに逃げて行く中に、ベポはなまえの姿を見つけます。
慌ただしい中で、彼女だけはゆっくりと格子の外に出て来ました。
「なまえ!!無事だったんだねっ!よかった!!」
ベポがなまえに飛びついて、ギュッと強く抱きしめました。
その向こうから、この娼館の館長がやってきて、なまえに怒鳴りました。
「お前!!なんてことをしてくれたんだ!!
俺が世界中を駆け回って探しまくった女共を逃がしやがって!!!
お前には逃げていった女達の分まで働かせるからな!!」
館長の男は、怒りでベポのことなんか見えてない様子で、なまえの腕を掴みました。
驚いたのはベポの方です。
「え!?この爆発、なまえがやったのか!?」
ベポは、驚きで身体を離して、なまえに訊ねます。
「はい。ビームで。」
なまえが自分の右手のひらをベポに見せながら答えました。
ポーラータング号で見たときのように、手のひらの中央に黒い穴があき光が漏れだしました。
慌てて、もうやめるように言えば、なまえは右手で拳を作ってビームを消しました。
「アンタらがこのポンコツロボのオーナーか!?
見た目がいいから使えるかと思ったら、とんだ不良品だ!!」
娼館の館長の怒りは、ベポ達にまで及びました。
確かに、高値で買い取ったロボットが、控室を破壊して大事な娼婦まで逃がしてしまったとなれば、損害は大きいでしょう。
ただ、逃げるということは、娼婦達は自ら望んで働いていたわけではないということです。
そもそもこの娼館は、犯罪の上に成り立っていたのかもしれません。
そこをペンギンがつけば、館長はグッと悔しそうにしながら口ごもりました。
後ろ暗いところがあるのは、本当のようです。
「なまえ、どうして建物を壊したりしたの?嫌なことされたの?」
心配になって、ベポがなまえに訊ねました。
「私はもう二度と、ケージに戻ってはいけません。」
「え?」
「人間は自由なのに、彼女達は不自由でした。
だから壊しました。私も彼女達もケージにはもう二度と戻りません。」
なまえが答えたそれに、ローは心当たりがありました。
ケージにはもう二度と戻ってはいけないというのは、数日前に自分がなまえに言ったことです。
あの言葉をなまえがどれほど理解しているのか、それは今もよく分かりません。
でも、ケージの中に自由はないことを彼女は誰よりも知っているのでしょう。
だから、娼婦として無理やり働かされていた女性達共々、不自由を強いていたケージを破壊したのかもしれません。
なまえが自由に生きようとしているのが、自分を逃がしてくれた誰かの指示だからなのか、自分の意思なのかは分かりません。
ですが、彼女は確実に、自由に生きるために必要なことを少しずつ理解していたのです。
ロボットが大々的に働いているこの島で、唯一人間が働かなければならない場所だからなのかもしれません。
客だと勘違いをしたボーイに案内されたロー達が娼館の中に入ると同時に、大きな爆発音と女達の悲鳴が聞こえてきました。
建物が揺れるほどの爆発です。
まさかこの爆発になまえが巻き込まれたのでは——。
焦ったベポは、喫茶店のオーナーからもらってきた水槽を強引にシャチに持たせると、店の奥へと走り出しました。
その背中をロー達も追いかけます。
店の奥は、この娼館で働く若い女達の控室になっていました。
控室といっても、実際は、鉄の格子の中に押し込められた彼女達が客を待つための場所です。
その格子の外から、女を抱きにやって来た男達が好みの女性を選ぶのです。
ですが、ベポ達がそこへ辿り着いたときには、その格子が内側から破壊されていました。
若い女達が悲鳴を上げながら散り散りに逃げて行く中に、ベポはなまえの姿を見つけます。
慌ただしい中で、彼女だけはゆっくりと格子の外に出て来ました。
「なまえ!!無事だったんだねっ!よかった!!」
ベポがなまえに飛びついて、ギュッと強く抱きしめました。
その向こうから、この娼館の館長がやってきて、なまえに怒鳴りました。
「お前!!なんてことをしてくれたんだ!!
俺が世界中を駆け回って探しまくった女共を逃がしやがって!!!
お前には逃げていった女達の分まで働かせるからな!!」
館長の男は、怒りでベポのことなんか見えてない様子で、なまえの腕を掴みました。
驚いたのはベポの方です。
「え!?この爆発、なまえがやったのか!?」
ベポは、驚きで身体を離して、なまえに訊ねます。
「はい。ビームで。」
なまえが自分の右手のひらをベポに見せながら答えました。
ポーラータング号で見たときのように、手のひらの中央に黒い穴があき光が漏れだしました。
慌てて、もうやめるように言えば、なまえは右手で拳を作ってビームを消しました。
「アンタらがこのポンコツロボのオーナーか!?
見た目がいいから使えるかと思ったら、とんだ不良品だ!!」
娼館の館長の怒りは、ベポ達にまで及びました。
確かに、高値で買い取ったロボットが、控室を破壊して大事な娼婦まで逃がしてしまったとなれば、損害は大きいでしょう。
ただ、逃げるということは、娼婦達は自ら望んで働いていたわけではないということです。
そもそもこの娼館は、犯罪の上に成り立っていたのかもしれません。
そこをペンギンがつけば、館長はグッと悔しそうにしながら口ごもりました。
後ろ暗いところがあるのは、本当のようです。
「なまえ、どうして建物を壊したりしたの?嫌なことされたの?」
心配になって、ベポがなまえに訊ねました。
「私はもう二度と、ケージに戻ってはいけません。」
「え?」
「人間は自由なのに、彼女達は不自由でした。
だから壊しました。私も彼女達もケージにはもう二度と戻りません。」
なまえが答えたそれに、ローは心当たりがありました。
ケージにはもう二度と戻ってはいけないというのは、数日前に自分がなまえに言ったことです。
あの言葉をなまえがどれほど理解しているのか、それは今もよく分かりません。
でも、ケージの中に自由はないことを彼女は誰よりも知っているのでしょう。
だから、娼婦として無理やり働かされていた女性達共々、不自由を強いていたケージを破壊したのかもしれません。
なまえが自由に生きようとしているのが、自分を逃がしてくれた誰かの指示だからなのか、自分の意思なのかは分かりません。
ですが、彼女は確実に、自由に生きるために必要なことを少しずつ理解していたのです。