◇No.11◇彼らは自由ではありません
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古びた小さな喫茶店の店内で、ベポが怒鳴っていました。
扉を開けて中に入ったロー達は、訝し気に眉を顰め、何があったのかとベポに訊ねます。
返事をしたのは、怒りで興奮しているベポではなく、カフェのオーナーでした。
「仕方なかったんだよ。うちは借金もたくさんあって…、
あのロボットの娘なら、見た目も綺麗だったし、どう見ても人間だし、
半永久的に壊れないって言うから、それなら使えるかもと思って…。」
「思って、どうしたんだ?」
続きを促したペンギンの声は、いつもよりも低く、軽蔑が滲んでいるように聞こえました。
ギリリと歯を鳴らし、オーナーを睨みつけるシャチの目にも軽蔑が見えます。
彼らには、悪い予感しかありませんでした。
ベポが激怒しているからという理由もありましたが、チラチラと不安そうに自分達を見ているオーナーの顔が、自分達が店を出た後に何があったのかを口よりも饒舌に語っていたのです。
「売りに行ったんだ…。」
「娼館にか。」
ペンギンがハッキリ言えば、オーナーはバツが悪そうに眉を顰め、目を反らしました。
そして、言い訳を始めます。
「この島は、ロボットしか働けないことになっているんだ。
でも、娼館だけは人間の女が働いてた。それで…、もしかして買ってくれるかと思って、
連れて行ってみたら、凄く高く売れて…、これでやっと私の借金が———!」
「知らないよ、そんなこと!!」
ベポが怒鳴りました。
そして、オーナーの胸ぐらを掴んで持ち上げます。
身体が浮いたオーナーは足をバタバタさせて悲鳴を上げますが、ベポは怒りに満ちた表情で怒鳴り続けました。
「なまえはこれから自由に生きようとしてたんだ!!
人間の男達の玩具になるためでも、人間の奴隷になるためでもない!!!!」
「ロ、ロボットが…っ、自由に生きようなんて、そんなおこがましいこと、考えるのが悪い…!!
アイツラは、人間がいないと、生まれてこないんだ…っ。
人間のために生きて…っ、何が悪いんだ…っ、わわ私は…っ!悪くない…っ!」
「…っ!!」
恐怖に引きつりながらも、オーナーは本音を叫びました。
それがこの島の住人達の価値観で、この世界全体でのロボットに対する考えです。
目の前にいる彼だけを責めても、無意味なのです。
悔しさと怒りで、ベポはオーナーの頬を殴り飛ばしました。
勢いよく飛んでいったオーナーが、壁際の棚に背中をぶつけて止まり、尻餅をつくように床に落ちました。
その衝撃で水槽が揺れて、水が少しだけ零れました。
それを待っていたみたいに1匹の熱帯魚が、水に紛れて飛び出してきました。
そして、床に落ちてピチピチと跳ねます。
この水槽の中から出ることさえ出来れば、自由になれるとでも思ったのでしょうか。
そこは、息すら出来ない世界だというのに——。
自由を求めてしまった熱帯魚は、冷たい床の上で次第におとなしくなっていきます。
もし、この熱帯魚が自由を求めさせえしなければ、濁った水と汚い檻の中で長生きが出来たのかもしれません。
『ここの魚は檻にいます。彼らは自由ではありません。
今から海に連れていきます。海で自由に生きなければなりません。』
汚れた水槽を抱えていたなまえの言葉が蘇りました。
ベポは熱帯魚をそっと拾い上げて、汚れた水槽の中に戻しました。
扉を開けて中に入ったロー達は、訝し気に眉を顰め、何があったのかとベポに訊ねます。
返事をしたのは、怒りで興奮しているベポではなく、カフェのオーナーでした。
「仕方なかったんだよ。うちは借金もたくさんあって…、
あのロボットの娘なら、見た目も綺麗だったし、どう見ても人間だし、
半永久的に壊れないって言うから、それなら使えるかもと思って…。」
「思って、どうしたんだ?」
続きを促したペンギンの声は、いつもよりも低く、軽蔑が滲んでいるように聞こえました。
ギリリと歯を鳴らし、オーナーを睨みつけるシャチの目にも軽蔑が見えます。
彼らには、悪い予感しかありませんでした。
ベポが激怒しているからという理由もありましたが、チラチラと不安そうに自分達を見ているオーナーの顔が、自分達が店を出た後に何があったのかを口よりも饒舌に語っていたのです。
「売りに行ったんだ…。」
「娼館にか。」
ペンギンがハッキリ言えば、オーナーはバツが悪そうに眉を顰め、目を反らしました。
そして、言い訳を始めます。
「この島は、ロボットしか働けないことになっているんだ。
でも、娼館だけは人間の女が働いてた。それで…、もしかして買ってくれるかと思って、
連れて行ってみたら、凄く高く売れて…、これでやっと私の借金が———!」
「知らないよ、そんなこと!!」
ベポが怒鳴りました。
そして、オーナーの胸ぐらを掴んで持ち上げます。
身体が浮いたオーナーは足をバタバタさせて悲鳴を上げますが、ベポは怒りに満ちた表情で怒鳴り続けました。
「なまえはこれから自由に生きようとしてたんだ!!
人間の男達の玩具になるためでも、人間の奴隷になるためでもない!!!!」
「ロ、ロボットが…っ、自由に生きようなんて、そんなおこがましいこと、考えるのが悪い…!!
アイツラは、人間がいないと、生まれてこないんだ…っ。
人間のために生きて…っ、何が悪いんだ…っ、わわ私は…っ!悪くない…っ!」
「…っ!!」
恐怖に引きつりながらも、オーナーは本音を叫びました。
それがこの島の住人達の価値観で、この世界全体でのロボットに対する考えです。
目の前にいる彼だけを責めても、無意味なのです。
悔しさと怒りで、ベポはオーナーの頬を殴り飛ばしました。
勢いよく飛んでいったオーナーが、壁際の棚に背中をぶつけて止まり、尻餅をつくように床に落ちました。
その衝撃で水槽が揺れて、水が少しだけ零れました。
それを待っていたみたいに1匹の熱帯魚が、水に紛れて飛び出してきました。
そして、床に落ちてピチピチと跳ねます。
この水槽の中から出ることさえ出来れば、自由になれるとでも思ったのでしょうか。
そこは、息すら出来ない世界だというのに——。
自由を求めてしまった熱帯魚は、冷たい床の上で次第におとなしくなっていきます。
もし、この熱帯魚が自由を求めさせえしなければ、濁った水と汚い檻の中で長生きが出来たのかもしれません。
『ここの魚は檻にいます。彼らは自由ではありません。
今から海に連れていきます。海で自由に生きなければなりません。』
汚れた水槽を抱えていたなまえの言葉が蘇りました。
ベポは熱帯魚をそっと拾い上げて、汚れた水槽の中に戻しました。