◇No.11◇彼らは自由ではありません
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喫茶店を出たベポ達は、寄り道をせずに真っすぐにポーラータング号を停泊させた裏の港へ向かっていました。
どこを見ても、ロボット達が生き生きと働いていて、人間達も楽しそうです。
活気に溢れた街の真ん中を歩くベポは、ここならなまえも楽しく生きていけると、とてもご機嫌でした。
こんなにたくさんのロボットを見るのは初めてだ、とシャチも好奇心旺盛な様子で、楽しそうにキョロキョロとしています。
ですが、ペンギンだけは難しい顔をして視線だけを動かして周囲を見ていました。
「キャプテン、この島、何かおかしくないですか。」
「俺達には関係ねぇ。」
ローは、ペンギンを見ることもせずに短く答えました。
これ以上、その話はしない――、無言の圧力を感じて、ペンギンは口を閉じます。
どうやら、ローもこの島がどこかおかしいことに気づいているようでした。
それをベポが察してしまう前に、早くポーラータング号に戻ろうということでしょう。
シャチとは違い空気を読むペンギンは、それ以上、何も言いませんでしたが、この島の異常さは、それだけでは隠し切れませんでした。
すぐに、ベポも知ることになってしまったのです。
ペンギンがローに話しかけて、数分後でした。
魚屋の前を通り過ぎたとき、ガシャガシャン!と何かが壊れるような大きな音が響きました。
驚いたペンギン達が、音のした魚屋の方に視線を向けます。
「あ~ぁ、ついに壊れちまったか。もう5年だったか。
長く働いた方だろ。」
「チッ、面倒くせぇな。」
「おい!工場のやつらを呼んで来い!!スクラップ場に運ばせるぞ!!」
男達に命令をされて走って行ったのは、足がローラーになっているロボットでした。
集まった男達が見下ろしているのは、壊れてバラバラになっているロボットでした。
この島に来たときに、魚屋の前でマグロの解体ショーをしていたあのロボットです。
それからすぐに、身体の大きなロボットが2体やってきて、壊れたロボットを抱え上げました。
壊れたロボットをスクラップ工場へ運ぶためです。
さっきまで元気に働いているところを見ていただけに、ベポとシャチはとても悲しそうにその様子を眺めていました。
でも、壊れてしまったのなら仕方がない——、そうも思ったのです。
ですがー。
「いやだ…!私は壊れてなんかいない…!直せば!まだ使えるから、捨てないで…!!」
壊れたと思っていたロボットが悲痛な叫びを上げました。
でも、大きなロボットは無視をしますし、男達も早く連れていけと言うばかりです。
誰も、彼を助けようとはしませんでした。
結局、魚屋で働いていたロボットは悲痛な叫びを上げたまま、スクラップ場へと運ばれて行きました。
「仕方ないよ。アイツはもう充分働いた。長持ちした方だ。」
「僕達も捨てられないように、メンテナンスは丁寧にしなくちゃ。」
「働かなきゃ。」
「うん、働かなきゃ。」
ロボット達の小さな声が、あちこちからしてきます。
その声はどれも作りものの機械っぽく、さっきまでは心を感じなかったはずでした。
でも、今、噂話をしている彼らの声だけは、とても怯えているように聞こえたのです。
ベポが、ハッとして島を見渡します。
そして、とうとう、ベポも気づいてしまったようでした。
「どうして?ここ、人間が1人も働いてないよ。働いてるのはロボットだけだ。」
「それが、ロボットが人間と共に生きてるこの島のからくりだ。
さぁ、行くぞ。時間が惜しい。」
ベポは不安そうに島の様子を眺めていましたが、ローは、強引に話を切り上げて歩き始めます。
その後ろをペンギン、そして、周囲をチラチラと見ながらもシャチが追いかけます。
この島は、人間のために生まれたロボット達が一生を人間のために捧げる島だったということです。
だから、働けるロボット達は必要以上に元気に働き、働く必要のない人間達は笑っていたのです。
もしかすると、ロボットは給与すらももらっていないのかもしれません。
だって、命がひとつしかない人間と違って、ロボットの代わりなんて幾らでもいます。
24時間体制で働かされ続け、壊れたロボットから順にスクラップ工場で廃棄される。
その繰り返しなのでしょう。
ローには、この島に来たときからずっと、少し前に見たドレスローザの玩具達と、ここにいるロボットの姿が重なって見えていました。
この島のからくりに、すぐに気が付いていたのです。
でも、言いませんでした。
その必要性もありませんでしたし、それをしてしまったらベポが何を言い出すか分かっていたからです。
「キャプテン!!なまえを連れて帰って来よう!!ここはダメだ!!
なまえも捨てられちゃうよ!!」
ベポはローを追いかけ、腕を掴みました。
立ち止まったローが振り返り、口を開きます。
「アイツはそう簡単に壊れねぇ。こっから先はアイツが自分で決めることだ。」
「でも、ここに連れて来たのは俺達だ!!こんなとこだって分かってたら、連れて来なかった!!」
「ダメだって言ってんだろ。俺達は先を急・・・っ。」
「俺、迎えに行ってくる!!」
ベポが、来た道を戻って走って行きました。
強硬手段に出られてしまったら、仕方がありません。
ローはため息を吐くと、ペンギン達を引き連れて踵を返します。
どこを見ても、ロボット達が生き生きと働いていて、人間達も楽しそうです。
活気に溢れた街の真ん中を歩くベポは、ここならなまえも楽しく生きていけると、とてもご機嫌でした。
こんなにたくさんのロボットを見るのは初めてだ、とシャチも好奇心旺盛な様子で、楽しそうにキョロキョロとしています。
ですが、ペンギンだけは難しい顔をして視線だけを動かして周囲を見ていました。
「キャプテン、この島、何かおかしくないですか。」
「俺達には関係ねぇ。」
ローは、ペンギンを見ることもせずに短く答えました。
これ以上、その話はしない――、無言の圧力を感じて、ペンギンは口を閉じます。
どうやら、ローもこの島がどこかおかしいことに気づいているようでした。
それをベポが察してしまう前に、早くポーラータング号に戻ろうということでしょう。
シャチとは違い空気を読むペンギンは、それ以上、何も言いませんでしたが、この島の異常さは、それだけでは隠し切れませんでした。
すぐに、ベポも知ることになってしまったのです。
ペンギンがローに話しかけて、数分後でした。
魚屋の前を通り過ぎたとき、ガシャガシャン!と何かが壊れるような大きな音が響きました。
驚いたペンギン達が、音のした魚屋の方に視線を向けます。
「あ~ぁ、ついに壊れちまったか。もう5年だったか。
長く働いた方だろ。」
「チッ、面倒くせぇな。」
「おい!工場のやつらを呼んで来い!!スクラップ場に運ばせるぞ!!」
男達に命令をされて走って行ったのは、足がローラーになっているロボットでした。
集まった男達が見下ろしているのは、壊れてバラバラになっているロボットでした。
この島に来たときに、魚屋の前でマグロの解体ショーをしていたあのロボットです。
それからすぐに、身体の大きなロボットが2体やってきて、壊れたロボットを抱え上げました。
壊れたロボットをスクラップ工場へ運ぶためです。
さっきまで元気に働いているところを見ていただけに、ベポとシャチはとても悲しそうにその様子を眺めていました。
でも、壊れてしまったのなら仕方がない——、そうも思ったのです。
ですがー。
「いやだ…!私は壊れてなんかいない…!直せば!まだ使えるから、捨てないで…!!」
壊れたと思っていたロボットが悲痛な叫びを上げました。
でも、大きなロボットは無視をしますし、男達も早く連れていけと言うばかりです。
誰も、彼を助けようとはしませんでした。
結局、魚屋で働いていたロボットは悲痛な叫びを上げたまま、スクラップ場へと運ばれて行きました。
「仕方ないよ。アイツはもう充分働いた。長持ちした方だ。」
「僕達も捨てられないように、メンテナンスは丁寧にしなくちゃ。」
「働かなきゃ。」
「うん、働かなきゃ。」
ロボット達の小さな声が、あちこちからしてきます。
その声はどれも作りものの機械っぽく、さっきまでは心を感じなかったはずでした。
でも、今、噂話をしている彼らの声だけは、とても怯えているように聞こえたのです。
ベポが、ハッとして島を見渡します。
そして、とうとう、ベポも気づいてしまったようでした。
「どうして?ここ、人間が1人も働いてないよ。働いてるのはロボットだけだ。」
「それが、ロボットが人間と共に生きてるこの島のからくりだ。
さぁ、行くぞ。時間が惜しい。」
ベポは不安そうに島の様子を眺めていましたが、ローは、強引に話を切り上げて歩き始めます。
その後ろをペンギン、そして、周囲をチラチラと見ながらもシャチが追いかけます。
この島は、人間のために生まれたロボット達が一生を人間のために捧げる島だったということです。
だから、働けるロボット達は必要以上に元気に働き、働く必要のない人間達は笑っていたのです。
もしかすると、ロボットは給与すらももらっていないのかもしれません。
だって、命がひとつしかない人間と違って、ロボットの代わりなんて幾らでもいます。
24時間体制で働かされ続け、壊れたロボットから順にスクラップ工場で廃棄される。
その繰り返しなのでしょう。
ローには、この島に来たときからずっと、少し前に見たドレスローザの玩具達と、ここにいるロボットの姿が重なって見えていました。
この島のからくりに、すぐに気が付いていたのです。
でも、言いませんでした。
その必要性もありませんでしたし、それをしてしまったらベポが何を言い出すか分かっていたからです。
「キャプテン!!なまえを連れて帰って来よう!!ここはダメだ!!
なまえも捨てられちゃうよ!!」
ベポはローを追いかけ、腕を掴みました。
立ち止まったローが振り返り、口を開きます。
「アイツはそう簡単に壊れねぇ。こっから先はアイツが自分で決めることだ。」
「でも、ここに連れて来たのは俺達だ!!こんなとこだって分かってたら、連れて来なかった!!」
「ダメだって言ってんだろ。俺達は先を急・・・っ。」
「俺、迎えに行ってくる!!」
ベポが、来た道を戻って走って行きました。
強硬手段に出られてしまったら、仕方がありません。
ローはため息を吐くと、ペンギン達を引き連れて踵を返します。