◇No.10◇恩返しをしているところです
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真夜中、ローは不寝番の船員達と一緒にレーダーを見ていました。
昨日の不審な動きをした何かが現れないかを確認するためです。
しかし、数時間粘りましたが、不審な動きをした何かどころか、平和しか映さないレーダーを眺めながら、ローは顎髭を親指でなぞって視線を斜め上に向けて考えます。
ペンギンからの報告については、とても残念でした。
船大工のダイと機械オタクのカイが心配したGPSのことは、ローも必ずどこかに埋め込まれているだろうと思っていたからです。
一応、なまえがポーラータング号に乗っている間は潜水艦になって海底を進むようにベポに指示を出していますが、世界政府はきっと、ハートの海賊団の船がどこを航海しているかを把握しているでしょう。
恐らく、何処へ向かおうとしているのかもー。
それに、昨晩の不審な動きをした何かもどうしても気になります。
あれは、船にしては小回りの利く動きでしたし、船ではないと思っているのです。
では、あれは何なのかー。
もし、あれが、世界政府がまた秘密裏に開発しているおかしな機械やロボットで、海底から奇襲を狙っているのだとしたら問題です。
ですが、そうだとしたら、そろそろ襲ってきてもいいはずだとも思うのです。
しかし、レーダー上におかしな動きのものは見当たりません。
「少しでもおかしなことがあればすぐに俺の部屋に来い。」
「はい!分かりました!」
不寝番の船員に指示を出して、ローは見張り部屋を出ました。
そして、船長室に戻ると、デスクにはまだなまえの姿がありました。
相変わらず、休むことなく羽ペンを動かしています。
ローは、デスクの椅子に座るなまえの横に立って、書き続けている紙の中身を覗き込みました。
「もう部屋に戻っていい。少し休め。」
「私に休憩は必要ありません。
そして、休んでいては間に合いません。」
「休まなかったら、下船する島に到着するまでに終わりそうなのか?」
「分かりません。でも、努力します。」
なまえは羽ペンを走らせながら、ローを見ることもせずに答えました。
世界中のすべての医療関連の書籍を書き出すように命令したので、急いでいるようです。
かなり多いでしょうし、全ては無理だとしてもできる限りは終わらせて欲しいのがローの正直な思いです。
「部屋の明かりは消す。デスクの明かりだけあれば問題ねぇよな?」
「はい、分かりました。」
ローは船長室の明かりを消しました。
真っ暗になった部屋で、デスク灯だけが白く光ります。
なまえの背中は、相変わらず、休まずに羽ペンを動かしています。
ベッドに入るとき、ローは、一度だけなまえの方を見ましたが、すぐに背を向けて目を閉じました。
昼間、ペンギンとシャチが、恩返しだの、惚れているだのと騒いでいたのは聞こえていました。
でも、献身的に命令に従っているなまえの背中を見ても、ローがそれを思い出すことすらありませでした。
だって、彼にとって、彼女はあくまでも機械であって、女性ではありませんでしたし、良い風に言っても、役に立つ道具に過ぎなかったのです。
意外と情に厚いところのあるローですが、それでもまさか、機械に対して人間にするような感情を抱くことなんて、ありえないのです。
昨日の不審な動きをした何かが現れないかを確認するためです。
しかし、数時間粘りましたが、不審な動きをした何かどころか、平和しか映さないレーダーを眺めながら、ローは顎髭を親指でなぞって視線を斜め上に向けて考えます。
ペンギンからの報告については、とても残念でした。
船大工のダイと機械オタクのカイが心配したGPSのことは、ローも必ずどこかに埋め込まれているだろうと思っていたからです。
一応、なまえがポーラータング号に乗っている間は潜水艦になって海底を進むようにベポに指示を出していますが、世界政府はきっと、ハートの海賊団の船がどこを航海しているかを把握しているでしょう。
恐らく、何処へ向かおうとしているのかもー。
それに、昨晩の不審な動きをした何かもどうしても気になります。
あれは、船にしては小回りの利く動きでしたし、船ではないと思っているのです。
では、あれは何なのかー。
もし、あれが、世界政府がまた秘密裏に開発しているおかしな機械やロボットで、海底から奇襲を狙っているのだとしたら問題です。
ですが、そうだとしたら、そろそろ襲ってきてもいいはずだとも思うのです。
しかし、レーダー上におかしな動きのものは見当たりません。
「少しでもおかしなことがあればすぐに俺の部屋に来い。」
「はい!分かりました!」
不寝番の船員に指示を出して、ローは見張り部屋を出ました。
そして、船長室に戻ると、デスクにはまだなまえの姿がありました。
相変わらず、休むことなく羽ペンを動かしています。
ローは、デスクの椅子に座るなまえの横に立って、書き続けている紙の中身を覗き込みました。
「もう部屋に戻っていい。少し休め。」
「私に休憩は必要ありません。
そして、休んでいては間に合いません。」
「休まなかったら、下船する島に到着するまでに終わりそうなのか?」
「分かりません。でも、努力します。」
なまえは羽ペンを走らせながら、ローを見ることもせずに答えました。
世界中のすべての医療関連の書籍を書き出すように命令したので、急いでいるようです。
かなり多いでしょうし、全ては無理だとしてもできる限りは終わらせて欲しいのがローの正直な思いです。
「部屋の明かりは消す。デスクの明かりだけあれば問題ねぇよな?」
「はい、分かりました。」
ローは船長室の明かりを消しました。
真っ暗になった部屋で、デスク灯だけが白く光ります。
なまえの背中は、相変わらず、休まずに羽ペンを動かしています。
ベッドに入るとき、ローは、一度だけなまえの方を見ましたが、すぐに背を向けて目を閉じました。
昼間、ペンギンとシャチが、恩返しだの、惚れているだのと騒いでいたのは聞こえていました。
でも、献身的に命令に従っているなまえの背中を見ても、ローがそれを思い出すことすらありませでした。
だって、彼にとって、彼女はあくまでも機械であって、女性ではありませんでしたし、良い風に言っても、役に立つ道具に過ぎなかったのです。
意外と情に厚いところのあるローですが、それでもまさか、機械に対して人間にするような感情を抱くことなんて、ありえないのです。