◇No.64◇独りきり残して死にません
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ペンギンは、船長室へと向かっていました。
この辺りの海域についてベポから確認したことと、次回上陸する島での作戦のことを船長であるローに伝えるためです。
早朝とまでは言わないが、太陽がまだ空に昇りきっていないこの時間なら、ローはまだ船長室にいるでしょうから、ペンギンの向かうべき先はそこで正解でしょう。
なまえが突然倒れてから、1か月程が経過しています。
あの後、船大工が彼女の身体を〝診察〟しましたが、機械に異常は出ていませんでした。
ですが、あの日から、なまえは眠るようになりました。
睡眠時間は決まってはいないようですが、大体、夜はローとバーで過ごし、0時がまわる頃に船長室に戻ってきてから就寝しているようです。
2週間ほど前までは、ローよりも早く起きて『朝です。』『朝です。』と起こしていたらしいのですが、最近ではお昼頃まで眠ることが多いのだと、ペンギンは、数日前にローから聞いたばかりでした。
「失礼します。」
船長室の扉を叩いた後、ローの返事を聞いてから、ペンギンは中に入りました。
ローは、まだベッドの上にいました。
上半身裸の状態で座り、大きめのブランケットを腰から下にかけて、片手でお気に入りの医療書を開いています。
まだベッドの上にいるローに気づいたペンギンは、一瞬、ギョッとしてしまいましたが、すぐに勘違いだと思い直しました。
恋人の腰のあたりで丸まって眠っているなまえは、肩までかけたブランケットからパジャマを覗かせていることに気が付いたからです。
ローは、空いた片方の手で、眠るなまえの髪を撫でてやっているようでした。きっと、そうやって触れる為だけに、目が覚めてからもベッドから降りずに彼女の隣に座っているのでしょう。
「その顔は、あまり良い結果じゃなかったみてぇだな。」
「この辺りの海域にについて、探索班に調べさせたところ
キャプテンの予想通りでした。
今、追跡班に準備をさせて、すぐに出発できるように———。」
「必要ねぇ。放っておけ。」
「え!?で、でも…っ!」
ペンギンは驚きました。
放っておくつもりがないから、自分に探索班を動かすように指示を出したのだと思っていたのです。
そうではなくても、この結果を見て、何もしないで放っておくなんてありえません。
もし、何かあったら———。
ですが、ローは「追跡をさせても無駄だ。」の一点張りで、頑なに放っておくようにと指示を出します。
「本当に、いいんですか…?」
ペンギンは、狼狽えていました。
チラリ、と見たなまえは気持ちよさそうに眠っています。
ローも、特に問題もなさそうな表情で医療書の1ページをめくりました。
頑固なローは、一度決めたら絶対に考えを曲げてはくれないことを古い付き合いであるペンギンは、よく知っていました。
これ以上は何を言っても無駄———そう悟ったペンギンは、了承の意思を伝えると、頭を下げて船長室を後にしました。
この辺りの海域についてベポから確認したことと、次回上陸する島での作戦のことを船長であるローに伝えるためです。
早朝とまでは言わないが、太陽がまだ空に昇りきっていないこの時間なら、ローはまだ船長室にいるでしょうから、ペンギンの向かうべき先はそこで正解でしょう。
なまえが突然倒れてから、1か月程が経過しています。
あの後、船大工が彼女の身体を〝診察〟しましたが、機械に異常は出ていませんでした。
ですが、あの日から、なまえは眠るようになりました。
睡眠時間は決まってはいないようですが、大体、夜はローとバーで過ごし、0時がまわる頃に船長室に戻ってきてから就寝しているようです。
2週間ほど前までは、ローよりも早く起きて『朝です。』『朝です。』と起こしていたらしいのですが、最近ではお昼頃まで眠ることが多いのだと、ペンギンは、数日前にローから聞いたばかりでした。
「失礼します。」
船長室の扉を叩いた後、ローの返事を聞いてから、ペンギンは中に入りました。
ローは、まだベッドの上にいました。
上半身裸の状態で座り、大きめのブランケットを腰から下にかけて、片手でお気に入りの医療書を開いています。
まだベッドの上にいるローに気づいたペンギンは、一瞬、ギョッとしてしまいましたが、すぐに勘違いだと思い直しました。
恋人の腰のあたりで丸まって眠っているなまえは、肩までかけたブランケットからパジャマを覗かせていることに気が付いたからです。
ローは、空いた片方の手で、眠るなまえの髪を撫でてやっているようでした。きっと、そうやって触れる為だけに、目が覚めてからもベッドから降りずに彼女の隣に座っているのでしょう。
「その顔は、あまり良い結果じゃなかったみてぇだな。」
「この辺りの海域にについて、探索班に調べさせたところ
キャプテンの予想通りでした。
今、追跡班に準備をさせて、すぐに出発できるように———。」
「必要ねぇ。放っておけ。」
「え!?で、でも…っ!」
ペンギンは驚きました。
放っておくつもりがないから、自分に探索班を動かすように指示を出したのだと思っていたのです。
そうではなくても、この結果を見て、何もしないで放っておくなんてありえません。
もし、何かあったら———。
ですが、ローは「追跡をさせても無駄だ。」の一点張りで、頑なに放っておくようにと指示を出します。
「本当に、いいんですか…?」
ペンギンは、狼狽えていました。
チラリ、と見たなまえは気持ちよさそうに眠っています。
ローも、特に問題もなさそうな表情で医療書の1ページをめくりました。
頑固なローは、一度決めたら絶対に考えを曲げてはくれないことを古い付き合いであるペンギンは、よく知っていました。
これ以上は何を言っても無駄———そう悟ったペンギンは、了承の意思を伝えると、頭を下げて船長室を後にしました。